サンジャン・ピエドポー(Saint-Jean-Pied-de-Port)/渋谷

2016年より「フランスの最も美しい村」に加盟した「サンジャン・ピエドポー(Saint-Jean-Pied-de-Port)」。その村の名前を冠に掲げたバスク料理店が当店です。バスクとはスペインの北端、フランスとの国境にある自治州。ラテン系ともゲルマン系とも似つかない、孤立した言語「バスク語」を固有の言語とする、文化的に特殊な地域です。バスク語は「悪魔も逃げ出す」ほど習得が難しい言語だそうです。
店内はカジュアルなビストロという雰囲気であり、Tシャツなどでお邪魔しても大丈夫でしょう。随所に掲げられるバスクグッズに、店主のこの地方への愛情が伝わってきます。

ちなみに、スペインのサッカーリーグでは一度も二部に降格したことがないチームが三つだけあって、レアル、バルサ、そしてバスクのアスレチック・ビルバオです。しかもビルバオは他のチームのように外人を獲得したりせず、スペイン人すらも使わないバスク人だけのチーム。なんだかカッチョエエですな。
ランチはメインだけ、メインと前菜またはデザート、それら全部、の3種であり、私は真ん中のセットメニューをチョイス。飲み物もつくということだったので、ユニブラン(ブドウの品種)で作った微発泡のブドウジュースを頂きました。
まずは前菜盛り合わせ。これが本当の盛り合わせだと言わんばかりの盛りっぷりです。巨大な葉っぱが目立ちますが、サーモンのタルタル(?)にキャロットラペ、ラタトゥイユ、リエット(?)などもしっかり盛られており、小食な女の子だとコレとパンだけで満腹になりそうです。
ホワホワに温かいパンも美味。イーストを感じる奥行きのある味わいであり、素朴ですが確実に旨い。
メインは特製のロールキャベツを選択。成人男性のゲンコツほどの大きさの特大ロールキャベツにトマト、シンプルなパスタといった構成です。
ロールキャベツそのものもシンプルな調理なのですが、しみじみ旨い。派手さはありませんが、フランスにいる親戚の叔母さんが作ってくれそうな優しい味わいです。麺も、まあ、麺なのですが、ロールキャベツに寄り添う穏やかな味わいで美味。
〆にお茶菓子を頂いてごちそうさまでした。ちょっと色々美味しすぎたでの、追加でもう1セット注文しようかなと迷いましたが、いや、次回は夜に訪れることにしましょう。
お会計は1,650円。恐るべき満足度の高さです。千円台の昼食フレンチでは恵比寿「スブリデオ レストラーレ(Subrideo Restaurare)」と双璧をなす費用対効果でしょう。バスク料理って割にニッチなジャンルなのに、「ローブリュー」「アバスク」となぜかこのあたりに集中しており、そのいずれもレベルが高いのが面白い。バスク人が渋谷に来るとびっくりすることでしょう。

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