鮨 難波/富山

富山駅から車で20分ほどの住宅街にある「鮨 難波」。なぜこんな場所に出店したかというと、「ついでじゃなくて、わざわざお越しいただけるお店にしたかった」とのこと。ミシュラン1ツ星。駐車場完備であり、車で来ているゲストがほとんどでした。
店内はカウンターが10席に個室のお座敷。難波薫シェフは岡山県岡山市出身であり、広島「うえ乃寿司」や富山「すし栄」などで経験を積んだ後に独立開業。各ゲストにどこから来たかを尋ね、県外客には近海モノを中心に出してくださるなど嬉しい対応。
生ビールは600円と、ミシュラン1ツ星の鮨屋としては破格の価格設定です。その上サーバーのメンテナンスも行き届いており量もたっぷりと理想的な生ビール。秒で2杯を飲み干してしまいました。その他、日本酒は富山だけでなく日本全国の銘酒を取りそろえているという印象です。
早速にぎりに入ります。まずはヒラメ。ムキムキと健康的な歯ごたえが印象的。
キジハタ。このタネは美味しいですねえ。ヒラメのようにマッチョな噛み応えながら旨味が強く、余韻が長い。
ガリは丸のまま漬け込んでブツ切りであり、私の好きなタイプです。おかわりをお願いした際は薄切りにして下さるなど、ゲストに楽しんでもらおうという意気込みを強く感じました。
アカイカ。ネットリと甘い、というわけではなく、フレッシュな食感と新鮮な甘味。
スマガツオ。カツオにも色々あって、皮目と共に香ばしく食べるというよりは、マグロのように繊細な風味を楽しむタネでした。
サクラマス。富山の国技である「ますのすし」に用いられるお魚です。フレッシュで透明感のある味覚であり、「ますのすし」の旨味と酸味とはまた違った愉しみが感じられました。
シロエビ。軍艦にしてこれでもかというほど盛ってくれました。上品な旨味に強い甘味。富山の美点のひとつである。
氷見鮪。氷見で水揚げされた本鮪。こいつが黒潮に乗って太りながら北上すると、青森とかあの辺で取れるハイパー高級魚になるのですね。現時点ではアッサリとした脂であり、仄かな酸味が支配的。
ノドグロ。普通に握ったのちに上から炭の熱をあて、炙りにしていきます。ジリジリと脂が溶ける音に旨味を感じる香り。これはもう、食べる前から美味しいですね。プレゼンテーションにやられた逸品でした。
越中ばい(白バイ貝)。コリっとした歯ごたえは良いのですが、独特の臭みが気になりました。
アマエビ。トロンとした口当たりにエロめな甘さ。全くもって甲殻類アレルギーの方は気の毒である。
キジエビ。初めて聞く海老の種類なのですが、富山では割にメジャーとのこと。アマエビよりも大振りで甘味も旨味も強くひたすらに美味しい。甲殻類アレルギーの方にはキャッシュレス・ポイント還元しても良いのではないかと思わせる美味しさです。
お椀で内蔵を温め終盤戦へと臨みます。
特大のシイタケを炙りシャリを挟むという一発芸。王道ではない組み立てではありますが、純粋に美味しく、肩ひじ張らず旨けりゃなんでもいいじゃん派には堪らない逸品。
アナゴもビッグサイズであり、シャリを巻き込むように握っていきます。もちろん1カンとしては巨大すぎるので2つにナイスカット。そのままシンプルに楽しむもよし、ツメでコッテリ食べるもよし。
カンピョウ巻きは大量のカンピョウに大量のワサビ。そのまま食べれば涙がでるほど辛く、これはこれで美味しいのですが、企画的に出されたオリーブオイルにつけて食べると不思議と辛味が和らぎ、新発見の味覚でした。
ギョクも美味しい。百合根とエビ(だっけ?)が練り込まれたものであり、玉子というよりも他の素材の複合的な味わいが支配的。
デザートは葛切り。自家製の梅シロップでサッパリとごちそうさまでした。
お会計はコース料理が5千円、少し飲んでもひとりあたり7千円を切りました。おー、これはベリーナイスな費用対効果ですねえ。富山の食材オールスターをにぎりで腹いっぱい楽しんでこの支払金額は素晴らしい。大将を始めお店の皆さんの感じもすこぶるよく、ざっくばらんに鮨を楽しむ雰囲気に満ちています。家の近所にあったらリピ確定やなあ。富山の民に嫉妬を覚えたランチでした。

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鮨は大好きなのですが、そんなに詳しくないです。居合い抜きのような真剣勝負のお店よりも、気楽でダラダラだべりながら酒を飲むようなお店を好みます。
この本は素晴らしいです。築地で働く方が著者であり、読んでるうちに寿司を食べたくなる魔力があります。鮮魚の旬や時々刻々と漁場が変わる産地についても地図入りでわかりやすい。Kindleとしてタブレットに忍ばせて鮨屋に行くのもいいですね。