お庭もあり、かなりゆったりとした造りのお店なのですが、カウンター8席に個室のみと贅沢な空間使いです。唐津将作シェフは長崎にあるご実家の和食店で腕を磨いた後、京都吉兆へ。2017年11月に独立を果たし、新たなステージへの挑戦です。
素敵な八寸。9時から時計回りにバイ貝、タコの子、なんだっけ?噴火湾の毛ガニ、枝豆サツマイモれんこん、中央のちまきには明石のタコ。生ビールは700円で酒は1合1,200円~と良心的な価格設定であり、この八寸でかなり飲めてしまいます。
お椀はハモ。生臭さは一切なく、一方でかなり食べ応えのあるサイズであり、かなり満足度の高い1杯です。
お刺身はアコウダイ。薄切りながら深海魚らしくマッチョな歯ごたえならに味わいであり美味。チリ酢をたっぷりつけて至福のひととき。
カツオの藁焼き。大サイズのカツオを目の前でジュウジュウと炙ってくださるため、とにかく香りが良い。食べる前からああこれはきっと美味しいなと感じ、実際に旨いのである。やっぱり音や香り、温度も料理にとっては重要なファクターなのである。
琵琶湖の鮎。やはりこちらも目の前で時間をかけてじっくりと炙ってくれます。他店に比べると、待つ度胸の光る長時間炙りであり、その甲斐あってか味覚が上手く凝縮されているような気がしました。
うほー、炊き合わせにカニやらウニやらなんとも豪華。サトイモやシイタケが主題のはずではありますが、スター食材に囲まれるとどうも目尻が下がってしまう。
お食事は炊き立ての白米に卵黄、ちりめん山椒、お漬物。ごはんのお代わりはもちろんOKで、ちりめん山椒も好きなだけぶっかけることができます。赤だしには味の濃いトウモロコシが加わっており面白い味覚でした。
ちなみに私が少し日本酒を残しているのを見かねてか、オマケでカラスミを付けてくれました。なんていい人なんだ。きっと大将も酒飲みに違いない。この発想は下戸には無い。
甘味は水ようかん。終盤に濃厚な砂糖の塊を食べるよりも、こういったスっと溶けていく系のスイーツのほうが私は好き。品の良い甘さと共に、店主がその場で立ててくれるお抹茶で心地よいフィニッシュです。
以上をひと通り食べ、ビールとお酒を飲んでお会計は1万円ポッキリ。たまらん。何なんだこの費用対効果の良さは。お料理だけだと7千円という奇跡の価格設定であり、その金額の割にはかなり気前の良い食材使いです。
これはいい店だ。次回は夜にフルパワーのマックスコースでお邪魔したいと思います。
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