私厨房 勇(yung)/白金高輪

広尾駅または白金高輪駅から徒歩10~15分、北里通り沿いにある中華料理店「私厨房 勇(yung)」。ミシュラン1ツ星、食べログでは4.05でブロンズメダル獲得と安定した人気を誇ります。近くにはヲタク系中華「蓮香(レンシャン)」フレンチ方程式「アルゴリズム(l'algorithme)」など実力店が百花繚乱。
「私房菜」とは香港で有名シェフが引退後にズッ友を招いてホームパーティをすることですが、当店はそのコンセプトをアレンジしたカウンターフレンチ。原勇太シェフは柏の広東料理「文菜華」の 渡辺展久シェフに師事した後、松戸に「中国麺飯勇」をオープン。その後、渡辺展久シェフプロデュースのもと白金の地にて当店を開業しました。
ハートランドの小瓶が700円と悪くない値段です。その他、グラスワインは千数百円、ボトルでも5千円と、ミシュラン星付きレストランとしては良心的な価格設定です。
前菜盛り合わせは新レンコンの黒酢炊きに蒸し鶏のネギ生姜野沢菜ソース、タイの刺身のサラダ。蒸し鶏が美味しいですねえ。単に蒸しているわけではなく、チキンライス的にチキンにしっとりと味が沁みており美味。エキゾチックなソースも面白い。
新ゴボウと中国ハムのポタージュ。土を感じる力強い味わいであり、中華でもフレンチでもどこでも通用する旨さです。
活鮑のチャイニーズステーキ。エログロな見た目ではありますが文句なしに旨い。フンニャリと柔らかいのに弾力も感じられ、鮑そのものの味が深い。肝のソースにも奥行きがあり、はっきり言ってアホみたいに高い白金台「ShinoiS(シノワ)」の鮑料理よりも全然美味しかった。
三陸産帆立貝と中国野菜の炒め。ザアっと油通ししているのにも関わらずサッパリとしたテイストです。調味は控えめであり、野菜の旨味に突き動かされる味覚です。
牛頬肉のフレッシュトマト煮込み。牛頬肉はそれほど好きな食材ではないのですが、当店は新鮮なトマトを巧みに取り入れているため、独特の味のため込みやクドさは無くスカっと美味しかった。やはり酸味というのは料理における重要なファクターなのだと再認識。
〆のお食事は梅と紫蘇のスープ炒飯。梅の酸味と紫蘇の爽やかさがレンゲを後押しし、終盤であってもスイスイと食べ進めることができました。以上で7,500円のコースが一通りです。
お腹に余裕があればアラカルトで追加できるということで、香港麺の醤油焼きそばを連れとシェア。なんとも繊細で緻密な焼きそば。私は年に5回も香港を訪れる中々の香港好きですが、今まで食べた香港麺の醤油焼きそばの中で一番美味しかった。
もう少しイケるということで、担々麺を連れとシェア。アタックこそ上品ですが、後からジンワリと汗が噴き出てくるしみじみ系の担々麺です。
濃厚にして濃密な杏仁豆腐で〆。ごちそうさまでした。コース料理に少し追加し、軽くビールを飲んでお会計はひとりあたり12,000円ほど。うーん、1万円に収まれば言うべきことは何もないのですが、まあ、あのアワビや牛頬肉の素材を考えれば妥当かもしれません。

客はバラバラに来るというのにシェフの手際が非常に良く、およそ待たされたという感じが全くなかったのが素晴らしい。脇を固めるサービス陣のゆるキャラっぷりも心地よく、肩肘は張らないけれどしっかり美味しくセンスも良い、そんなお店です。オシャレなデートでたまには中華でも、みたいなシチュエーションでどうぞ。

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それほど中華料理に詳しくありません。ある一定レベルを超えると味のレベルが頭打ちになって、差別化要因が高級食材ぐらいしか残らないような気がしているんです。そんな私が「おっ」と思った印象深いお店が下記の通り。
1,300円としてはものすごい情報量のムック。中国料理を系統ごとに分類し、たっぷりの写真をベースに詳しく解説。家庭向けのレシピも豊富で、理論と実戦がリーズナブルに得られる良本です。