これぞフランス料理とも言うべき重厚長大な接客ならびに客層。こういうお店には港区おじさんはやって来ないので雰囲気はとても良いです。ランチコースはいくつかあるのですが、皿数によって値段が変わる従量課金制度。お料理の説明がディズニーランドのアトラクションのような語り口であり、聞いているだけで腹が鳴る。
ランチの料理代金に比べるとワインは相対的に高く感じます。表参道「マノワール・ディノ(Manoir d'inno)」では寧ろ割安に感じたのですが、あれはディナーだったからかなあ。そういう意味で「水でいいです」組にとっては驚愕の費用対効果を誇るランチでしょう。
前菜はアスパラガスにホッキ貝。アスパラガスが美味しい。本当に美味しい。別段ややこしい調理をしているわけではないのですが、素材の味そのままに美味しかった。他方、ホッキ貝には重層的に味を重ねており、ジューシーな貝の風味と相俟って奥行きのある味わいです。
ブリオッシュ(?)でしょうか。バターがきいて食べ応えがあります。この後のパンはシンプルなバゲットであり、ソースが自慢のイノ系列であればこれぐらいがちょうど良い。
メインは仔羊をチョイス。シンプルな1皿ですが単刀直入に旨い。肉の美味しさは当然として、添えられたヤングコーンとそのヒゲやアスパラソバージュで前の皿の余韻を引っ張るあたりセンスを感じます。右手前の脂が強い部位には実山椒でアクセントを置くなど論理的な1皿でした。
デザートは杏仁豆腐風味のアイスクリームにマンゴーたち。美味しいのですが、イノと言えばワゴンデザートであり、公式ウェブサイトにも
「※すべてのコースにワゴンデザートとコーヒー、紅茶をご用意しております。」と記載されているのに何の断りも無しに1皿で済ますのは色々と違うと思う。夢から覚めた瞬間です。
ワゴンデザートは楽しみにしていただけに残念ではありますが、全体を通してみればやはりイノと唸ってしまう、抜け目のない構成でした。お会計はひとりあたり1万円ほどであり、この料理とこの接客・雰囲気を考えると妥当と言える支払金額でしょう。絶対に失敗できないディナーなどに最適。安心安定のイノ系列でした。
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「好きな料理のジャンルは?」と問われると、すぐさまフレンチと答えます。フレンチにも色々ありますが、私の好きな方向性は下記の通り。あなたがこれらの店が好きであれば、当ブログはあなたの店探しの一助となるでしょう。
- ガストロノミー ジョエル・ロブション ←最高の夜をありがとう。
- アピシウス ←東京最高峰のレストラン。
- ナリサワ ←何度訪れても完璧。
- ナベノイズム ←世界観がきちんとある。
- ル・マンジュ・トゥー/神楽坂 ←接客は完璧。料理は美味そのもの。皿出しのテンポも良く、とにかく居心地の良いお店。客層も好き。
- TAIAN TOKYO(タイアン トウキョウ)/西麻布 ←流行り廃りに捉われないマッチョな料理。
- メシモ(MECIMO)/小田原 ←重厚長大なレストランの裏をかく魅力的な設計
- ア・ニュ Shohei Shimono/広尾 ←リニューアルしてリベラルに、旨けりゃなんでもいいじゃん的に
- ラフィナージュ(L'affinage)/銀座 ←王道中の王道。銀座とは考えられない値付け。
- ル・マノアール・ダスティン/銀座 ←まさに正統。
- SUGALABO ←料理だけなら一番好きかも。
- エクアトゥール ←天才によって創られる唯一無二の料理。
- ete(エテ) ←美食の行き着く先はお抱えの料理人。
- レヴォ ←人里離れた場所にありながら、日本いや世界でもトップレベルのフランス料理店。
- マノワール・ディノ(Manoir d'inno)/表参道 ←料理は直球勝負。ワインは高くない。
- フロリレージュ ←間違いなく世界を狙える。
- クレッセント/芝公園 ←グランメゾン中のグランメゾン。
- アサヒナガストロノーム/日本橋 ←そこらのフランス料理店とは格が違う。
- ティエリー マルクス ←料理の良さはもちろんのこと、ワインのペアリングが見事。
- エステール(ESTERRE)/大手町 ←料理もサービスもパーフェクト。外せない食事ならココ。