ひさ倉 (ひさくら)/奄美大島

奄美の郷土料理と言えば「鶏飯(けいはん)」。一般的には鶏肉の炊き込みご飯を想像しがちですが、奄美の鶏飯は出汁茶漬け的な料理です。400年ほど前、奄美が薩摩藩の支配下にあった頃に始まった、役人を接待するために考案された殿様料理。元祖は奄美大島北部にある「みなとや」ですが、ハコが小さく行列どころか駐車場待ちすら発生する状態。
我々も最初は「みなとや」を訪問したのですが、どう見ても無理めだったので、2番人気の「ひさ倉 (ひさくら)」へと向かいました。こちらは駐車場50台の164席とのことで、「待つことはほぼ無い」とのことです。
店内はテーブル・椅子席、畳敷き座敷、団体専用席と使い勝手抜群。オムツ替えスペースまであり、飲食店として足りないものは何もないといった仕様です。店員の挙動もシステマティック。
注文後すぐにセッティングされれる鶏飯。おひつに入った白米に鍋でチンチンに熱された鶏スープ。具材として裂いた鶏肉と錦糸卵、ネギ、紅ショウガなどなど。ライスとスープはお代わりOKで、これで千円ちょっとです。
セルフで盛り付け鶏飯が完成しました。これが、旨い。「名物に旨い物なし」とはよく言われますが、ここの鶏飯は本当に美味しい。九州のリゾートホテルの朝食ビュッフェのラインナップに載りがちな鶏飯ですが、アレとは全く別物。

とにかくスープに深みがあり、何でも自家養鶏場で2年間放し飼いにした地鶏を4〜5時間かけて煮込んでいるとのこと。「納得のいく味を出すために、鶏や野菜などの具材は全て自家生産」と意識が高い。
こちらは「とりさし」。「さつま若しゃも」という品種らしく、激しい噛み応えながらクリアな味わい。モモの部分の刺身って珍しいよなあ。キンキンに冷えているので、少しスープで温めながら食べるとより美味しい。
こちらは焼鳥。これはまあ、別に普通ですね。もちろんそれなりに美味しいのですが、鶏飯ならびに鳥刺の美味しさが圧倒的であったため霞んで見えました。
豚足の塩焼きも同様。鶏料理屋に来て豚足を注文した私の責任です。
かなり豪快に飲み食いしてお会計はひとりあたり1,500円ほど。これはやばたんまるな費用対効果ですね。あなたが仮に食べ盛りの中高生だったとしても、ライスとスープおかわり自由という仕組みで必ず満腹となるでしょう。午前中オープンの夜閉店までのノンストップ営業というのも観光客にとっても魅力的。今回の奄美旅行で最もビビビと来たお店でした。

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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。