我々が通されたのは川沿いの特等席なのですが、掘りごたつではないため足が痛い。欧米人には厳しい仕様です。また、この空間はとても素敵なのですが奥の厨房あたりは取っ散らかっており、飲食店としての素養を疑う整理整頓レベルでした。コロナ禍のテイクアウトでバタバタなのはわかりますが、開けてゲストを迎えるからにはベストを尽くせ。
「会ってくれてありがと。『Stay Home』で人を誘いにくい雰囲気でしょ?しかも医者が医療関係者でない一般の方にコロナうつしたりなんかしたら色々と叩かれちゃうし」つるんとした肌が魅力的な女医は言う。あの、僕は『医療関係者でない一般の方』なんだけど。
意外に酒が高い。小瓶が700円近くであり、冷酒は1合で1,100円もします。また、店員の雰囲気がどことなくピリついており、お世辞でも居心地が良いとは言えません。我々に対する失礼はありませんでしたが、隣のテーブルのゲストへの態度が高圧的であり気まずかった。
「コロナで仕事が超ヒマなんだよね。うつるかも、ってビビって外来にくる人が本当に減った。このままだと病院経営が立ち行かなくなって、違う意味で医療崩壊しちゃうかも」彼女は駿河湾よりも深い溜息をついた。
前菜はタマネギの何かだったっけなあ。構成要素がバラバラで料理としての一体感が無い1皿でした。
「さっきまでカイザー(帝王切開)やってたんだけど、体重100キロ超えでさ。一太刀ではいかなくて、ズバズバやってもいつまでたっても脂なの。あそこまで太れるのはもはや才能だわ。あたしなら体調崩しちゃうもん、太り過ぎると」
「しみずの白菜サラダ」。白菜の質が悪く生で食べるには厳しい。水滴が浮いておりヘンに水っぽく美味しくなかった。
「しかもそういうのに限って多産なんだよね。平気で4~5人ポコポコ産んじゃう。放っておくとまた妊娠していよいよ子宮が破裂レベルだから、もう避妊治療しちゃったけど」もはや扱いがペット並である。
「ヴェルサイユの茶碗蒸し」は佐賀県産「ヴェルサイユの卵」を用いているそうで、卵と鶏のスープの組み合わせがグッド。ただしトップの茶色いタレが奇妙な味であり茶碗蒸しに合うとは言えませんでした。
「保険証持ってない患者なんてザラ。セイホ(生活保護受給者のこと。医療費は無料)と外国人の相手ばっかりよ。産んだら日本国籍取れるからって、言葉も通じないのにわざわざ日本に産みに来るの。立派な福祉国家だわ、ニッポンは」
「骨付きもも肉のがぶり揚げ」は鳥取県産の大山鶏のもも肉をバリっと揚げたものであり素直に美味しい。本日一番のお皿でした。
「一度も診察に来ないでいきなり出産ってパターンもあるの。素性が全く知れないのを即本番で相手にするんだから恐ろしいったらありゃしない。肝炎とか性病とかに罹ってるかもしれないし、コロナが可愛く見えてくるわ。破水してから来たり、その辺で産んで胎盤つながったまま来たり」
メインディッシュの水炊きはイマイチ。スープの外観はクリーミーで美味しそうなのですが、実際に口にすると奥行きが無くコンパクトな味わい。鶏肉も肉そのものの味が薄く期待ハズレです。また、野菜をゴミ箱みたいな箱に入れるプレゼンテーションもどうかと思う。
「でもまあ、そういう患者は素直なのが唯一の救いね。医者に対して敬意を持って接してくれて、言うことはきちんと聞いてくれる。由緒正しい病院だと、患者の情報リテラシがヘンに高くて社会的地位もそれなりにある場合が多いから、クレーマーに当たる確率も高くなる。論文まで持って来てあれこれ言われたことあるもん」
〆の食事はちゃんぽん麺にしてもらってのですが、やはりスープに複雑味が欠け、フラットな味わいでした。
「医者は、基本的には患者のことを良くしたいと思ってる。本気で病気を治したいと思ってる。それなのに猜疑心の塊で来られると、精神的にキツいんだよね」クールでシビアな雰囲気の彼女が初めて弱音を吐きました。今夜はワンチャンあるかもしれません。
デザートのピスタチオアイスもピスタチオの風味よりも砂糖の甘味が悪目立ちし顔が歪むほど甘い。この後の血糖値スパイクは約束されました。
鍋のコースにビールを1本注文し、お会計はひとりあたり6千円弱。絶対額としては高くありませんが、料理のクオリティを考えれば割高です。店内に清潔感は無く接客も微妙。アラカルトだともう少し印象が違うのかなあ。
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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。