佐野健シェフは銀座のフランス料理店や和食店で経験を重ねた後に独立。ワインラヴァーに理解があるようで、ペアリングでの提供はもちろんのこと、持ち込みも大歓迎とのこと。
アミューズはウズラ玉子の酢漬けにカレーの風味を足したもの。卵はワインとの相性が難しいことで悪名高い食材であるのに、いきなりチャレンジングです。ちなみに我々はお料理に合わせて泡白赤の3種をお願いしたのですが、いずれも料理に合うとは言い難かったので、これなら泡を一本持ち込めば良かったなと後悔。
客は我々しかいないのに妙に時間がかかって提供されたタコ。味はスーパーの総菜レベルであり作り置き感満載であるのに何故あんなにも時間を要したのか。私が主催するホームパーティーのほうが余程テンポが良いです。
バゲットはその辺のスーパーで売られているものと同等です。
イサキ。火が入り過ぎており、焼き目からは苦味しか感じられず、身はボソボソと水分が飛んでいます。素材そのものの質も悪い。つい前日まで富山の漁場を巡っていただけに、余計に質の悪さが目立ちしました。
やはりとても待たされます。満席で天手古舞ならまだしも、客は我々しかいないというのにこのテンポの悪さは何なのでしょう。その答えはテイクアウト。目の前のゲストそっちのけで、全精力をテイクアウトに注いでいるのです。受け取り客が来るたびに手を止め雑談し、我々は猫のように放り出されたまま。そんな状況で食べる料理などオッパッピーである。
信じがたいことに、仕込んであった肉にチョロっと焼き目をつけるだけで30分も待たされました。ホールスタッフも客席が一切見えておらず、話の長い料理教室が如くシェフと調理方法について話し込んだままです。調理時間の長さと味の良さが全く関係ナシゴレンなのも腹が立つ。
出前か出張料理にでもお出かけしたのか突然シェフが店から消え、調理はホールスタッフが引き継ぎます。焼き目を付けるだけだから誰が担当しても同じという判断なのかもしれませんが、それならわざわざ外食なんかしないんだけど。けっきょく先の肉を焼き終えてから我々の退店までシェフは戻って来ませんでした。
デザートや食後のお茶は無く、上記ひと通りのコースとグラスワインを3杯飲んでお会計はひとりあたり1万円。やばたにえん。これは本気でやばたにえん。久しぶりに心から頭に来たお店でした。そんなにテイクアウトが大事ならテイクアウト専門店にすればいいのに。だがしかしもう手遅れだ。
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広尾は初デートに良い街です。謎にハイセンスな雰囲気と下町的な親しみやすさが同居する。飲食店も都内トップクラスの名店が比較的リーズナブルな価格設定に落ち着いています。
- TAIAN TOKYO(タイアン トウキョウ) ←この迫力はやはりフランス料理でないと到達できない。
- ア・ニュ Shohei Shimono ←フレンチをベースとした旨いもの屋。
- レストラン アラジン ←記憶がハッキリと残る料理。
- レストランひらまつ ←何度も何度も訪れているのに美味しい。
- Ode(オード) ←先進的、かつ、安定した味わい。
- ランベリー(L'Embellir) ←この店は本物だ。
- マルゴット エ バッチャーレ(Margotto e Baciare) ←あれだけのトリュフ料理とキャビアを食べてこの価格というのはリーズナブル。
- おでこ(au deco) ←フランス料理を食べ込んだ仲間たちでどうぞ。
- コントワール ミサゴ(Comptoir Missago) ←とにかく融通のきく旨いもの屋。
- ヨシダ ハウス(YOSHIDA HOUSE) ←日常に寄り添う究極の普通。
- ポンテ デル ピアット (PONTE DEL PIATTO) ←抜群に旨くてそんなに高くない。
- リストランテ ペガソ(PEGASO) ←接待や綺麗なデートにうってつけ。
- ラ トラットリアッチャ(La Trattoriaccia) ←令和のビスボッチャ。
- ボッテガ(BOTTEGA) ←料理に対して実に真面目。
- アンティキサポーリ(Antichi Sapori) ←食後酒3種が飲み放題。
「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。