鳥しき系列らしく焼き場をぐるりと取り囲むカウンター形式。BGMは無く、炭の爆ぜる音トンカチで割る音などが心地よいBGMです。換気が良いのか煙臭さは微塵も感じられません。
ビールも日本酒もワインも1杯千円弱と、ミシュラン1ツ星店としては良心的な価格設定です。店主を筆頭にスタッフの兄ちゃんたち全員が威勢よく、それでいて腰も低く居心地の良い雰囲気です。
まずはお新香と大根おろし。いずれもお口直しに用いるものですが、お新香が自家製なのか家庭的でザックリとした味わいでグッド。
おまかせでスタート。まずは血肝にシシトウ。レバーの滑らかな舌触りに独特の旨味。何度食べてもこのグループの血肝は絶品である。他方、シシトウは普通のシシトウでした。
ギンナン。こちらも焼鳥屋としては一般的な味わい。
砂肝は味そのものというよりは歯ごたえを楽しむ1本。強めに塩が振られており、レモン汁をギュっと絞って酒をクイ。
マルハツ。表面はパンパンに膨れ上がり、歯を差し込むとジュワーと溢れ出るエキス。生姜の風味もアクセントとして丁度良い。
厚揚げは炭火でバリバリに焼いて炭の香りを味わう1皿。内部は沸騰しそうなほどに熱く、舌触りは滑らか。たっぷりの薬味も嬉しい限り。
「石川芋」という品種の里芋。少し小ぶりでチュルンとした歯触り。
せせり。首のお肉です。ムキっとした歯ごたえと上品な脂が混在し、これぞ焼鳥の真骨頂と笑みがこぼれる。
カッパ(?)って聞こえましたが、どうやらヤゲン軟骨のことのようです。ナンコツだけでなく肉もしっかりと貼り付いており、肉の美味しさとナンコツの食感をダブルプレーできる1本です。
どんこしいたけ。おおー、これは大きい。迫力がある。凝縮された大地の味わいです。
白玉。うずらの卵です。表面はしっかりと火が通っているのに、黄身は半熟。半熟卵原理主義者にとっては永遠に食べ続けることのできる串でした。
ソリレス。胴体とモモの付け根の部分であり、珍重されている部位です。実にマッチョな歯ごたえであり、噛みしめるほどの肉の旨味が滲み出てきます。
お、このアスパラは美味しいぞ。質の高いアスパラにじっくりと火を入れ続け、表面はバリっと香ばしい。欧米系のレストランで食べるアスパラはグダついていることが多いですが、こういう調理も良いものですな。
つくね。粗挽きでムシャムシャとハンバーグのような食感。炭の香りがバリバリに効いていて食欲をそそります。
ナスは美味しいのですが、アスパラほどの気づきはありませんでした。
手羽先はビッグなピースがふたつもあり、串というよりも手を使ってムシャムシャと食べ進めます。食べ終わった後に光の速さでオシボリを交換してくれるが素晴らしい。
背肝。鶏の腎臓。背中側にあるそうです。とろーりふんわりと柔らかく、舌の上でホロホロと溶けていきます。フォアグラみたいな食感。恐らく焼鳥屋では生まれて初めて食べるものだったんで、強く心に残りました。
〆の食事には親子丼を指定。肉は伊達鶏、卵は青森県産の「こだわり白玉子」。火のよく通った箇所と生の個所が旨い具合に入り混じり、濃密にして濃厚な1杯。つゆなのか生卵なのか液状化が進んでおり、お茶漬けのようにサラサラと一気食いしてしまいました。
フィナーレに鶏スープ。しみじみとした旨味が五臓六腑に染み渡る。
お口直しにイチゴでごちそうさまでした。
お土産に焼鳥弁当ひとつ2,500円をお願いして、お会計はひとりあたり1.5万円強。おろ?思ったより高くつきました。とは言えこの系列内では高くついたというだけであって、ディナーの満足度としては充分にリーズナブルです。
ちなみにこちらのお弁当は「鍈輝(えいき)」などに比べるとそぼろ肉が多め。コロナ中はテイクアウトでの注文もできるそうです。
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