鮨 木場谷(きばたに)/金沢

金沢の風情ある茶屋街に佇む「鮨 木場谷(きばたに)」。食べログでは3.93(2020年5月)でブロンズメダル獲得と評価の高いお店です。
スラっと伸びた白木のカウンターに手入れが行き届いた箱庭がカッコイイ。木場谷光洋シェフは富山県出まれ。銀座「鮨 青木」などで修業の後、実家の鮮魚店を手伝いながらケータリング専門の鮨屋を手掛けるなど面白い経歴です。
ビールは1,000円を切り、日本酒も1合1,000円~と良心的な価格設定。地ビールのコレはビールとしては美味しいのですが、鮨にはあんまし合わんかった。ただしこれはチョイスした私の責任です。
アオリイカ。フレッシュな歯ごたえに溶けるような喉越しが美味。
どエロいもんが出てきました。甘海老をコノワタで和えています。コノワタとはナマコの内臓の塩辛であり、つまり日本酒を飲めということです。
ゴマフグの白子。トロりとした食感がやはりエロい。ぜんぜん知らなかったのですが、石川県はフグがめっちゃ獲れるらしいです。
タコの脚とタコの子供。脚はご存知の通りのタコ味なのですが、子供のほうはジャリジャリと面白い食感。これどういう仕組みなんやろ。
ウニをたっぷり混ぜ込んだクリームにシャリを載せ、大量の毛ガニをトッピング。くわー、これはもうノイマン効果のような破壊力ですね。小泉構文っぽく言うと、これを美味しくないという人はいないであろう、なぜなら美味しくないという人はいないからだ。
ノドグロ。金沢には世界中のノドグロが集まっているのでは無いかと思うほど、連日のノドグロ攻めです。ただしこのタレをたっぷり漬けるのはちょっと濃すぎかも。素材そのものが派手な味わいなので、シンプルな塩焼きで充分かもしれません。
お椀は甘鯛。味の濃い甘鯛であり魚そのものとしてとても美味。一番出汁も上品な味わいで、甘鯛の風味を引き立てます。
にぎりに入ります。まずはキス。キスって天ぷらでふーんってカンジなことが多いですが、にぎりで食べるのは珍しく、歯ごたえがありながらも清澄な味覚で面白かった。
ヒラメ。めちゃんこマッチョ。こんなにも弾力のあるヒラメは初めてかもしれません。モグモグと魅力的な食感を奏でます。
剣先イカは先のアオリイカとはまた違った風味。身の角が立っており(これはイカというよりも包丁の違いかも)、甘味が強く感じました。
マグロももちろん地元産。大将は朝から北陸を走り回り、氷見を始めとする名漁港でイケてる食材をゲットして来るとのこと。
中トロ。超高級店で食べるものほどの派手さはありませんが、しみじみと完璧に旨い。
大トロも大トロながら上品。クドい脂は無く、魚そのものの美味しさが伝わってきます。
コハダ。サッパリと締めてあり、やはりクドくない。当店のにぎりは全体的に軽やかで食べ疲れすることがありません。
バイ貝。コリコリとした食感。クセもなく見た目以上にスルっとイケます。
このアジは美味しいですねえ。ギュッと凝縮した旨味にムチっとした歯触り。
トリガイはトロトロにほぐれるように柔らかい。回転寿司で食べるトリガイは永遠に飲み込めない印象ですが、当店のそれはスルっとした喉越しです。
トヤマエビ。いわゆるボタンエビですが、このネトネトした食感と独特の甘味は何物にも代えがたい。
ウニ。美味しいのですが、これまでの東京の人間にとって特殊なタネに比べると影が薄いかもしれません。影といえば影山優佳が活動再開しましたね。これは人類にとって朗報。
あなご。こちらもウニと同様に一般的なもの。ちょっとサイズが小さいのが残念。
ネギトロは端的に言って最高ですね。サクからミンチへ向かう工程の時点でとんでもない量を手掛けているなと見惚れていましたが、やはり量や食べ応えも味覚の重要な一要素なのだ。
ギョクで〆てごちそうさまでした。

ひと通りを食べ、いくらか飲んでお会計はひとりあたり2.2万円。東京で食べる鮨のクオリティと同等かそれ以上であるのに、値段は6~7割で済むという金沢の奇跡。魚津「大門」の章でも記載しましたが、やはり東京の鮨はオワコンなのかもしれません。
17時からオープンしており、帰りの新幹線にも余裕で間に合うのも嬉しい。金沢グルメツアーの〆の食事にどうぞ。


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鮨は大好きなのですが、そんなに詳しくないです。居合い抜きのような真剣勝負のお店よりも、気楽でダラダラだべりながら酒を飲むようなお店を好みます。
この本は素晴らしいです。築地で働く方が著者であり、読んでるうちに寿司を食べたくなる魔力があります。鮮魚の旬や時々刻々と漁場が変わる産地についても地図入りでわかりやすい。Kindleとしてタブレットに忍ばせて鮨屋に行くのもいいですね。

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