Tigre（ティグレ）／恵比寿

広尾駅と恵比寿駅の中間に位置するイタリアン「Tigre（ティグレ）」。駅から割に遠いためかヘンな客はおらず、大人の雰囲気なお店です。遠藤正人シェフはこの道20年の大ベテラン。
店内はカウンター席、テーブル席、個室と色々な使い道。グループでもおひとりさまでも良し。客単価は1万円もしないのですが、バリっとしたテーブルクロスを貼っている点に矜持を感じました。

「カレシができたんだけど」彼女は少しも嬉しくなさそうに言う。「なんか、嫉妬深いんだよね。1ヵ月付き合ってようやく本性が見えて来た」
イタリアンレストランではありますが、フランスのワインも豊富。ボトルは4千円台から用意されており、グラスワインも沢山。これぐらいの価格帯ならビビらずにガンガン飲むことができるのだ。

「今夜あなたと食事してるってのも、すごく気に入らないみたい。『恋人がいるのによくわからない既婚者と食事に行く意味が解らない』だって」よくわからない既婚とは失礼な話である。こんなにも情報公開に努めているというのに。
6種類の前菜の盛り合わせ。魚と肉の良いバランス。いずれも味が濃くワインにピッタリ。サーモンのパリっとした皮の食感と、レバーの官能的な舌触りが心に残りました。

「カレ、これまでメンヘラ気味の子としか付き合ったことが無いっぽくて、付き合い始めるとずっと一緒にいるみたいなんだよね。あたしからすると、そういう女のほうがよっぽどヤリマンで、ちょっとしたきっかけですぐに浮気とかするイメージなんだけど（電通調べ認知度98％）」
パンはピンポン玉サイズのコロンと可愛らしいパン。全体的に味付けが濃いお店なので、素朴な味わいのパンでちょうど良い。

「奴らは世の中の異性全員が恋愛ひいては性欲の対象ってことでしょ？ケダモノよね」まあまあ、そういうのはどっちが正しいとかじゃなくて、種族が違うだけじゃないの？。僕たちは文化的に成熟しているから、性別を超えた共同体を形成することができる。そういう種族なんだ。そこで神学論争をしてもロジハラと受け止められるだけで、1ミリもわかってもらえないよ。1ミリもね。
パスタはホタルイカ から。麺にはイカスミが練り込んであり、磯の香りが立ち込めます。ホタルイカの旨味も強く、炭水化物ながら酒を呼ぶ一皿です。

「あたしは経営者で、今の日本は男社会だからどうやったって男性と一緒に居る機会は増えるでしょ？打ち合わせを兼ねた食事なんてザラにある。カレシの言うことを聞いてたら、あたし、会社潰しちゃうんだけど」じゃあ、別れればいいじゃないか。そうだ、今すぐ別れよう。ケータイ貸して、僕がちょうど良い具合に嫌われるテイストのLINEを打って差し上げよう。
カルボナーラは恐らく生クリーム不使用の本格派。卵黄の風味が強く焼鳥のちょうちんを食べているかのようです。

「うーん、別れるかどうかは考え中。だって、好きだし、カレのこと」よくわからないなあ、そんなカレのどこが良いわけ？たぶんExcelに勝手に色を付けていくタイプでしょ？好きな理由を教えてよ。
メインは津軽鶏のインボルティーニ。インボルティーニとは肉巻きのロースト（または煮込み）的なイタリアの定番料理。当店ではそれをスタイリッシュに盛り付け、きちんとしたメインディッシュとして成立しています。逞しい鶏の味わいに滋味あふれる野菜の旨味。シンプルですが王道に旨かった。
デザートはチョコケーキにバニラアイス。いずれもどストレートな味わいであり、安定安心の締めくくりです。

「人を好きになる理由なんてないでしょ？気づいたら好きになってた、これが理由」じゃ、僕とそのカレ、どっちが好きなわけ？「それは答えたくない。次の店に行きましょう」気分屋の女王さまはするりと席を立った。
食後のお茶までついてコース料理は5千円ポッキリ。ワインを飲んでもひとりあたり7～8千円で済みました。これはとってもリーズナブルあるね。月〜木曜日はラストオーダー24:30、金土曜日はラストオーダー26:00というタフガイっぷりも嬉しい。これは良いお店を見つけました。今度は2次会3次会で使ってみようっと。


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恵比寿も十番に負けず劣らず良い街ですよね。1度住んで、片っ端から食べ歩いてみたいなあ。よそ者ながら印象に残ったお店は下記の通り。
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