TAIAN TOKYO(タイアン トウキョウ)/西麻布

毎年、白トリュフで盛大な誕生日パーティーを開催してくれるグルメ男子。彼のお誕生日祝いほど緊張するイベントはありません。男ふたりだし、ガッツリ食う組み合わせだし、ということで白羽の矢が立ったのは西麻布「TAIAN TOKYO(タイアン トウキョウ)」。8か月ぶりの訪問です。
盛直行シェフはロブションを20年近く勤めあげた大ベテラン。前回はランチでしたが、今回は2.4万円のディナーコースで当店のフルパワーを堪能します。店名は千利休の作で京都に現存する国宝の茶室「待庵」が由来。
ワインはボトルで2本入れました。シェフはブルゴーニュ推しでありワインリストもブルゴーニュとシャンパーニュの占有率が高い。値付けは控えめであり特にペアリングという仕組みも存在しないため、ボトルで注文するのが良いでしょう。
見て下さい、このキャビアの量を。唐揚げサイズの伊勢海老の身に堂々とキャビアをトッピングし、底に敷いたフレッシュチーズで全体を取りまとめる。この時点で毎年の白トリュフ祭りへのアンサーソングとして相応しいかどうかの不安はパッと消えました。
続いて馬肉。味が濃くマッチョな肉質に、濃厚なマンゴーの甘さが迫り来る。トリュフも必要に応じた香りを放っています。
見て下さい、このキャビアの量を。今夜は2人で1缶を消費している恐れがあり、トライポフォビアであれば卒倒しそうな魚卵群です。魚は脂たっぷりのキンキ。まさにジューシーといった味わいであり、キャビアの塩気がよくなじむ。タケノコやホワイトアスパラガスの滋味あふれる味覚にソースをたっぷりとつけて2度美味しい。
「続いてオマール」とは伺っていたのですが、爆弾サイズのアワビが付け合わせで置かれておりもはやワロタレベルではない。和食を感じさせるシンプルな調味で、オマール・アワビ元来の味わいがビンビンに伝わり、痺れるような美味しさがありました。
メインはルーアン鴨。ひとりあたり100グラムは余裕で超えていそうなエモボディ。シャラン鴨よりも更に上位にあたる鴨であり、野性味に溢れ味が濃い。それでいて味覚のタッチは繊細。食欲をそそる皮目の香りに上品な脂。シャンベルタンに良く合う圧倒的な肉料理でした。
〆の食事にはウニのリゾット。しかしこれはリゾットというよりもウニである。その辺の鮨屋が尻尾を巻いて逃げ出すほどのウニの量および質であり、トウモロコシの甘味が濃厚なライスにジットリと良く合います。
デザートでサッパリと、ということはなく、先のウニに負けない濃厚さがありますこのバニラアイスクリームには。写真からは伝わりづらいですが、このあまおうは信じられない大きさであり、今あなたが想像しているイチゴのサイズよりも倍は大きいことでしょう。
紅茶で〆てごちそうさまでした。相変わらずというべきか、更にというべきか、圧倒的に記憶に残るコース仕立てでした。悪魔的技巧でややこしい調理をしているわけではないのですが、この迫力はやはりフランス料理でないと到達できない。

詰めれば10人は入るハコですが、毎日あえて2組程度に客数を抑えているのもゲストとしては凄くいい(経営としては知らん)。流行り廃りに捉われず美食を追及する男友達と共にどうぞ。


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