虎峰(こほう)/六本木

六本木ドン・キホーテの裏あたりにある「虎峰(こほう)」。1日2回転一斉スタートおかかせコースのみの中華料理店。少量多皿構成であり、時には30皿近くにも及ぶと話題のお店です。
山本雅シェフはスイスホテル南海大阪「エンプレスルーム」、恵比寿「MASA'S KITCHEN(マサズキッチン)」などで腕を磨き、2016年に当店の料理長に就任。14席のカウンターにはうるさ型のフーディーたちがズラりと並びます。丸見えの厨房はライブ感抜群。調理の過程の油がカラカラと爆ぜる音が心地よい。
料理が1.5万円のアルコールペアリングが1万円、水やら税サやらで、合計ひとりあたり3万円弱を要します。アルコールペアリングはシャンパーニュに始まり多種多様な酒を用意してくれリーズナブルに感じました。30皿もあったらマリアージュ考えるの大変やろな。
オマール海老にカラスミ。当然に美味しいのですが指先ほどのポーションであり、美味しいだけにストレスがたまりました。
クラゲにピンクグレープフルーツ。これはまあ、その名の通りの味わいです。
アオリイカ。ショウガやネギなどで程よく調味してくれていますが、何よりもまずイカが旨い。素材の勝利です。
ピータン豆腐。これもまあ、その名の通りの味わいでした。
子持ちヤリイカはふんわりと柔らかく清澄な味わい。
北京ダックにはカダイフ(パスタみたいなやつ)が組み込まれており、サクサクとクリスピーナ食感がグッド。
ひな鶏の香味煮込み。味は悪くないのですが妙にヌルく温度帯が勿体なかった。
ターサイ(?)の炒め物。これはシンプルながら美味しいですねえ。素材の濃さと調理の勢い、いずれを取っても抜群の一皿でした。
サクラガニ(?)のしんじょう。トップのキャビアは余計かな。せっかくのカニの風味とケンカしているように感じました。
マナガツオの揚げ蒸しに、
ヒラメ。このあたり似たような料理がバタバタっと続いたので、記憶が混濁しております。
豚バラのチャーシュー。バリっと味覚が方向転換。赤ワインとの組み合わせもグッド。
よだれ鶏に和牛を用いた逸品。ふんにゃりと柔らかく甘い牛肉にガツんと暴力的なタレ。これは直線的で実に美味しい。
残ったソースに麺を投入し、卵黄ソースをトロリとかけ、追い麺料理としても楽しめます。
上湯スープのタケノコ。じっくり味わえば美味しいのでしょうが、ただただ慌ただしく追い立てられるように食べてしまったのが残念。
焼餃子にはクラゲに春菊。まさに焼きたての餃子はやはり旨い。付け合わせの生ザーサイとパパイヤのお漬物(?)は清澄な味わい。
極太の春巻き。具材にはホタルイカにタラの芽、うるいと大人の苦味が心地よい。目の前でクルクルと巻いてじっくり油で揚げられる工程を眺めるのが楽しい。
 牡蠣のフリットにダイコンもち。凝縮感のある牡蠣と滋味あふれる大根の風味の対比が良かった。
オマール海老とマコモダケの炒め物。オマールが美味しいのは当然として、調理ならびに調味が素晴らしいですね。シェフの腕であれば高級食材に頼る必要もなかろうに。
エゾシカのトウガラシ炒め。濃密な味わいの肉に、さらに濃密なソース。赤ワインと合わせたいところですが、ややピリッとしすぎな部分もあり、ワインに合わせるには難しい料理かもしれません。
オマール海老のチリソースがけ。海老の旨味とソースの味わいが上手く対話し、なるほどの1皿でした。
〆の料理はフカヒレの白湯煮込み。天下一品のコッテリを上品にしたような味わい。白米を放り込んだ高級おじやが実に美味しい。
デザートは杏仁豆腐に
オーギョーチー(ゼリーのデザート)、
ゴマ団子、
の山椒アイス。このあたりの味覚は一般的な中華料理店のものであり、無理やり皿数を稼ぎにいった感がありました。
中国茶で〆。ごちそうさまでした。

どの皿も外すことなく美味しいのですが、いずれもシングルヒット止まりであり、ホームラン級の記憶に残る料理はありませんでした。この食後感で3万円弱は高い。また、あまりに皿数が多くバタバタと落ち着かないのも気になるところ。接待などで訪れることはまず無理なので、無口でグルメな友人と共に訪れ、じっくり食に向かい合いましょう。


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それほど中華料理に詳しくありません。ある一定レベルを超えると味のレベルが頭打ちになって、差別化要因が高級食材ぐらいしか残らないような気がしているんです。そんな私が「おっ」と思った印象深いお店が下記の通り。
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