お店の一番奥の窓際の席をご用意して頂けました。薄暮から日の入りに至るまでの景色の美しさは溜息が出るほどですが、真っ暗になってからはガラス窓に自分の顔がずっと映っているので諸刃の剣です。コースは最高値のデギュスタシオンを注文。13,310円です。
飲み物メニューをお借りすると、ドゥーツの何でもないグラスが2,500円近くと発狂価格。心の扉がバタバタっと閉じかけましたが、お料理に合わせた3杯ペアリングであれば4千円強と、ホテルにしては実に良心的。この店のワインの値付けはどうなっとるんや。
アミューズにグジェール。チーズを混ぜたシュー皮であり、一般的な味わいです。
前菜はワラサ。脂たっぷりのファットボーイであり美味。調味は控えめであり、ワラサの美味しさが上手に引き出されています。
アワビのグリル。これは美味しいですねえ。アワビの身そのものはもとより、肝を用いたリゾットが抜群に美味しい。チーズのチップスも旨味を補強し、酒の進む1皿でした。
パンは酸味のあるパン(パンドカンパーニュ?)とフォカッチャの2種。オリーブオイルがお隣の小豆島産のものであり、味が濃く新鮮。パンというよりもオリーブオイルを食べたという印象です。
スープは聖護院かぶ。フランス料理の王道といった味わいです。
地元のヒラメとのことですが、これは全くもって凡庸な一皿です。そのへんのビストロで食べれる、というか結婚式披露宴で出てくるような魚料理であり、不味くはありませんが驚きもありませんでした。
和牛のランプ肉もそれなりに美味しいのですが、やはり披露宴料理感が拭えない。jane doeとも言うべき身元不明な料理であり、やはりこのあたりが地方のホテルメシの限界なのかもしれません。
地元のイチゴで口直しをしたのちに、
メインのデザートへと移行。料理に比べると、こちらは思いのほか凝っています。一口サイズにカットされたダックワーズ(アーモンド風味のメレンゲを使った焼き菓子)にバニラアイスとチョコアイスを重ね合わせる。ヘーゼルナッツの泡で風味づけするなど、パティシエの矜持を感じました。
小菓子とコーヒーで〆。ごちそうさまでした。お会計はひとりあたり2万円弱。費用対効果としてはちょっとアレですが、リゾートホテルで食べるフランス料理という意味ではこんなものかもしれません。
ワラサ・アワビあたりまではおお、同じ監修でも和歌山「オテル・ド・ヨシノ」は完全に超えている!とテンアゲだったのですが、ヒラメあたりから急に失速してしまいました。せっかく瀬戸内海に面しているのだから、凡庸な肉料理なんぞを出さずに「アビス」のように魚介料理に徹すれば良いのに。
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「好きな料理のジャンルは?」と問われると、すぐさまフレンチと答えます。フレンチにも色々ありますが、私の好きな方向性は下記の通り。あなたがこれらの店が好きであれば、当ブログはあなたの店探しの一助となるでしょう。
- ガストロノミー ジョエル・ロブション ←最高の夜をありがとう。
- アピシウス ←東京最高峰のレストラン。
- ナリサワ ←何度訪れても完璧。
- ナベノイズム ←世界観がきちんとある。
- ル・マンジュ・トゥー/神楽坂 ←接客は完璧。料理は美味そのもの。皿出しのテンポも良く、とにかく居心地の良いお店。客層も好き。
- TAIAN TOKYO(タイアン トウキョウ)/西麻布 ←流行り廃りに捉われないマッチョな料理。
- メシモ(MECIMO)/小田原 ←重厚長大なレストランの裏をかく魅力的な設計
- ア・ニュ Shohei Shimono/広尾 ←リニューアルしてリベラルに、旨けりゃなんでもいいじゃん的に
- ラフィナージュ(L'affinage)/銀座 ←王道中の王道。銀座とは考えられない値付け。
- ル・マノアール・ダスティン/銀座 ←まさに正統。
- SUGALABO ←料理だけなら一番好きかも。
- エクアトゥール ←天才によって創られる唯一無二の料理。
- ete(エテ) ←美食の行き着く先はお抱えの料理人。
- レヴォ ←人里離れた場所にありながら、日本いや世界でもトップレベルのフランス料理店。
- マノワール・ディノ(Manoir d'inno)/表参道 ←料理は直球勝負。ワインは高くない。
- フロリレージュ ←間違いなく世界を狙える。
- クレッセント/芝公園 ←グランメゾン中のグランメゾン。
- アサヒナガストロノーム/日本橋 ←そこらのフランス料理店とは格が違う。
- ティエリー マルクス ←料理の良さはもちろんのこと、ワインのペアリングが見事。
- エステール(ESTERRE)/大手町 ←料理もサービスもパーフェクト。外せない食事ならココ。
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