厨房は1階にあり、この日は1階で貸し切り、一般のゲストは2階に案内されていました。テーブル間隔にゆとりがあり、他のゲストに気を散らされることはありません。
ワインは料理にあわせて全てソムリエにお任せ。アミューズから律儀に1品に1杯づつ用意してくれるので、トータルではかなりの量を飲んだ気がします。産地は全てイタリア産であり、前夜のとりとめのないラインナップとは真逆のセレクションでした。
アミューズはポワロ―葱とジャガイモのスープ。ネギの味わいの良さはもちろんのこと、カルダモンの風味がきいており、北アフリカを思わせるエスニックな味わい。
前菜は天然のブリ。薄いスライスではありますが脂に厚みがあり、じっとりと印象深い味わい。次郎柿の甘味が独特で印象的な一皿です。
パンは米粉のパンに始まり全粒粉のパンへと移行し、徐々に深みが増していく凝ったスタイルでした。
魚料理は木更津産のスズキ。皮目をバリっと焼きつつジューシーな仕上がりであり、リヴォルノ風のカッチュッコ(魚のシチュー) ソースに良く合います。
旬の「あやめ雪かぶ」とギリシャから取り寄せたカラスミ(写真を撮り忘れたので画像は公式ウェブサイトより)。これがカラスミかと驚くほど柔らかく繊細な味わいです。日本酒と合わせても良かったかもしれません。
パスタは苦味のきいた菜の花にグアンチャーレ(豚ほほ肉の生ハム)でシンプルに。究極の普通とも言うべき、良い意味で素朴な味わいです。大食漢の私としてはもう少し量があれば尚良し。
リゾットはサルシッチャ(ソーセージ)を軸に、カラピンチャという葉を用いた中央アジア的スパイシーな味付け。米への火の通りもピッタシであり、調味も濃く、酒飲みには堪らない逸品です。
メインは「上州せせらぎポーク」のサルティンボッカ。短時間で簡単にできることから「口に飛び込む」の意味であり、モーニング娘。がアンバサダーとなったシルクドソレイユの演目「サルティンバンコ」と同義です。一般的には肉に生ハムを巻き付けるのですが、当店のそれは別にパリっと水気を飛ばし、ますますお酒が進みました。
デザートは「シェフ特製の!」と煽ってくる割に普通のティラミスでした。いえ、美味しいのですが、妙な煽り文句のせいでヘンに期待してしまった。
アールグレイでお口を整えごちそうさまでした。
皿数は多く、それに寄り添ったワインの総量もかなりであり、結構酔っぱらいました。お会計はひとりあたり1.5万ほどであり、立地を考えれば実にリーズナブルな価格設定です。派手さはありませんが堅実で粘り強い味わい。グルメな友達とじっくり料理とワインを味わいたい夜にピッタリ。オススメです。
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イタリア料理屋ではあっと驚く独創的な料理に出遭うことは少ないですが、安定して美味しくそんなに高くないことが多いのが嬉しい。
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- リストランテ カッパス(Ristorante kappas)/表参道 ←コスパ抜群。質実剛健。
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- サーラアマービレ/銀座 ←ランチのフリーフローがお得。
日本のイタリア料理の歴史から現代イタリアンの魅力まで余すこと無く紹介されており、情報量が異常なほど多く、馬鹿ではちょっと読み切れないほどの魅力に溢れた1冊です。外食好きの方は絶対買っておきましょう。