酒類は都心ほど高くはなく、3杯のペアリングで5,000円前後。しかも1杯が120mlと通常サイズであり、5杯のペアリングなどをお願いした日にはしっかり酔えるでしょう。イタリアの自然派を中心に意思のあるラインナップで好感が持てました。
まずはサワラ。カラスミやグリーンピース、マスタードを用いているのが面白い。ただしサワラの水分が抜けており瑞々しさに欠け、パサっとした食感だったのは残念。
スクランブルエッグにホワイトアスパラガス。これは美味しいですねえ。トロっとした舌ざわりの半熟卵に濃厚なチーズソースがたっぷり。ジューシーなアスパラにも甘味が詰まっており、記憶に残った1皿です。
パンはシンプルなフォカッチャですが、基本的に味濃いめソース多めなスタイルであるため、これぐらい素朴なものがちょうど良い。
ファゴッティーノと言って、ワンタンの皮のようなパリパリ生地の中にはカニの身がギッシリ。熟成されたジャガイモのペースト(?)も大地を感じる味わいです。
自家製のタリオリーニ(パスタ)には唐辛子が練り込まれており目で楽しい。アサリとムール貝のラグーも旨味たっぷりであり、周囲を彩る香草のソースは爽やかな味覚。
スペシャリテの「アニョロティ・ダル・プリン」。シェフが長く滞在したピエモンテの郷土料理であり、ラビオリの中にはウサギ肉など様々なひき肉が詰まっています。素朴ながらも発見があり、民族の太陽とも言うべき味わいです。
メインは豚のロースト。なんてことのない(と言ったら失礼かもしれませんが)調理なのですが、これが、旨い。素材の味をガッチリと保持しつつバランスの良い調味で全体として完成された味覚を提供してくれます。肉と脂のバランスも良く、しっかり食べたぞという印象を植え付けてくれました。付け合わせの野菜の味も濃くて美味。
お口直しにはブラッドオレンジにローズマリーの氷菓。鼻から緑の香りが抜けていきます。
デザートは「ボネッ」という、チョコレート風味のプリン。悪くはないのですが、豚肉が迫力のある味わいだっただけに、もう少し濃厚な甘味のほうが嬉しかった。
お茶菓子と奈良の紅茶を頂いてごちそうさまでした。
お会計はひとりあたり1.3万円。上質な料理をしっかり摂り、グラスワインを3杯飲んでこの価格というのはリーズナブルです。王道中の王道といった味わいが続くので、クラシック好きには堪らない料理構成でした。酒を飲ませる料理であり酒の価格設定は控えめなので、左党と下戸では評価が分かれるかもしれませんが、私は次回、5杯コースのペアリングでディナーに臨みたいと思います。
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イタリア料理屋ではあっと驚く独創的な料理に出遭うことは少ないですが、安定して美味しくそんなに高くないことが多いのが嬉しい。
- ヴィラ・アイーダ(Villa AiDA)/岩出(和歌山) ←我が心のイタリアン第1位。
- TACUBO(タクボ)/代官山 ←ポイントは二番手の存在。
- RISTORANTE YAGI(リストランテ ヤギ)/代官山 ←都内の予約の取れないイタリアン・レストランの代名詞となる日も近い。
- リストランテ カッパス(Ristorante kappas)/表参道 ←コスパ抜群。質実剛健。
- リストランテ・オステリア/六本木 ←ベーシックにすごく美味しい。誰もが納得。
- プリンチピオ/麻布十番 ←こんなに有意義な6,800円があるか?
- カーザヴィニタリア/麻布十番 ←ゴージャスな店内と落ち着いた雰囲気。そのくせ高くない。
- ロッツォシチリア/南麻布 ←雰囲気良く客のレベル高し。ウイキョウのパスタが秀逸。
- ラ トラットリアッチャ(La Trattoriaccia)/広尾 ←すべてが期待以上、満足感しかありません。
- ポンテ デル ピアット (PONTE DEL PIATTO)/広尾 ←少量多皿でどれも旨い。
- アクアパッツァ/広尾 ←日本人向けイタリアン。誰が食べても納得の味わい。
- アンビグラム/広尾 ←肉塊に喰らいつく幸せ。やや割高なのが難点。
- アッピア/広尾 ←客の注文力が試される偉大な店。すごく高いのが難点。
- サローネ2007/元町 ←ランチのポモドーロは絶品。グラム数が指定できるもの最THE高。
- トラットリア アマルフィターナ/渋谷 ←精神的にも費用対効果も本物のトラットリア
- サーラアマービレ/銀座 ←ランチのフリーフローがお得。
日本のイタリア料理の歴史から現代イタリアンの魅力まで余すこと無く紹介されており、情報量が異常なほど多く、馬鹿ではちょっと読み切れないほどの魅力に溢れた1冊です。外食好きの方は絶対買っておきましょう。