20:00の2回転目の予約でお邪魔したのですが、1回転目20:00までの客がまだ中にいたので20:00を過ぎても中に入れません。これは謎の運用ですね。普通に2回転目は20:30に予約を取れば良いものを、どうしてそこまでジャストインタイムに拘る必要があるのか。元SEであればバッファという概念を持って仕事に取り組んでも良さそうなものなのに。1回転目の客には追い出された感が、2回転目の客は待たされた感が芽生えるため、互いに失礼です。
飲み物のメニューはなく口頭での説明に留まります。「すし匠」系列は飲み物のメニューを置かない方針なのでしょうが、ハワイの総本山にはきちんと用意されており、なんやようわかりません。なお、お会計時には明細をしっかりとお出し頂けます。ビールは800円に日本酒は徳利で千円強と、まあ、こんなもんでしょう。
最初からガリや海藻などが並べられ、好きなタイミングで自由に食べることができます。結果酒が進むことになり、呑兵衛には堪らない仕組みです。なお、当店は「すし匠」の直系であるためつまみと握りが交互に展開されるスタイルでの提供です。シャリも魚の特徴に合わせて3種の酢飯を使い分けます。
最初の1カン目にノドグロ。思いのほか淡白な味わいであり、ブラインドで食べればノドグロだとわからないかもしれません。
生ワカメのしゃぶしゃぶ。決して不味くはありませんが、これはちょっと意図がわかりませんでした。
マダイの刺身はコリっとした食感で健康的な味わい。
毛ガニの巻物。シャリに毛ガニを混ぜ込んでミニサイズの手巻きにして供されます。これは美味しいですねえ、海苔の風味にカニの旨味がベストマッチ。ぴょーんとテンションが上がりました。
茶碗蒸しはこのこの(なまこの卵巣を使った珍味)が入っており、茶碗蒸しなのに酒を呼ぶという興味深い一品。
アジの海苔巻。米は用いておらず、海苔と味の風味で勝負します。ローカーボ族が泣いて喜ぶ味わいです。
アオリイカはシンプルな味わいで印象に残らず。
春のお野菜うるいをゴマのおソースで。これはソースが美味しいですねえ。このままアイスクリームにしてしまいたいぐらいの上品な甘さを湛えた素敵な味わいでした。
昆布締めのサヨリを卵黄ソースで。程よく凝縮が乗ったサヨリにトロンとしたソースが心地よい。日本酒をおかわりだ!
他方、個体の問題なのかコハダは美味しくなかった。大味な割にクセも強かったです。
名誉挽回、メジマグロは抜群に美味しい。タマネギにニンニク風味の醤油(?)が忍び込んでおり酒が進む。当店は主役の付属品たるソース等の味わいが見事です。
メロンのお漬物。ウリだとはわかりますが、言われなければメロンとは認識できないコリっとした味わい。
エボダイは燻製をきかせており、やはりお酒が進みます。
カワハギを肝のソースで和えたもの。やはりソースが旨い。皿に残ったタレはワカメで拭って食べて二度おいしい。本日一番のお皿でした。
白子は炭火で焼いたものに上品な出汁を注ぎ入れます。間違いなく美味しいのですが量が少なく、旨いだけにストレスが溜まりました。
ヅケを辛子で。じっとりとコクがありつつもカラシがスカっと爽やかな後味を演出します。
子持ちヤリイカを煮たもの。おー、これまた日本酒を呼ぶ味濃いめであり、酒飲みには堪らない逸品です。
シマエビはトロンと柔らかくネットリとした舌触り。甘味も強く後を引く美味しさです。
ぶり大根は美味しいのですが、まあ、いわゆる定食屋で食べるそれと大きな違いはありあませんでした。ぶり大根とはそういう料理なのかもしれません。
あきさみよー!と、特大の煮蛤にテンションがあがる。ぷっくりと腫れあがった個体には美味しさが詰まっており、香りの良い海苔と共に偉大な味わいです。
タチウオはシンプルに炙りで。「すし匠」系列にお邪魔するといつもの思うのですが、この品数の多さは常軌を逸していますね。仕込み、大変だろうなあ。
ウニは小さめのポーションに、やはり海苔をバリっときかせます。ウニは絶対に軍艦派の私にとっては嬉しいバランス感覚でした。
大根の漬物が旨い。漬物ではありますが大根のフレッシュさが伝わって来ると言う、隠しきれないプロの匂いを感じる味わいです。
中トロは王道の味わい。脂の甘味と肉の旨味、ちょっとした酸味が調和してグッドです。
他方、玉子は記憶に残りません。不味くはありませんが、ウチのオカンが家でつくるものと大差なく感じました。以上で一通り。
ここからは追加。私は穴子でココカラファインです。丁寧に仕込まれた穴子にチョロっと甘だれを塗って品の良い味わい。
連れはノドグロの炙り。この女は追加の際に100%高級食材を狙ってきます。喉黒い女である。
味噌汁はコースに含まれておらず不思議な感じ。味わいは先の玉子と同様ウチのオカンレベルだったので、追加でお願いする必要は無かったかもしれません。
トロタク。トロと沢庵の美味しさはさることながら、シャリの味が強く量も多く、シャリを前面に押し出した味わいで印象的。
他方、カンピョウはズバっとワサビをきかせており、カンピョウの美味しさもさることながら記憶に残ったのはワサビのアタックでした。
デザートは紅玉りんごシャーベット。美味しいのですが、既製品のそれと何が違うかと問われれば回答に窮する。おおー!と思う皿があると思えばオカンと一緒やんと感じる皿も結構あったりと、ボラティリティの大きなコース仕立てでした。
お会計はひとりあたり3万円弱。立地とカジュアルな雰囲気を考えればあと数千円は安く仕上がって欲しかったなあ。大将をはじめ従業員も客も全体的に感じが良く、緊張することなくワイワイと楽しめるお店です。少量多皿構成で座持ちが良く、恐るべき手際の良さは圧巻。間延びせず会話が途切れることも無いので、男女間の黎明期にちょっと贅沢する際に良いかもしれません。
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鮨は大好きなのですが、そんなに詳しくないです。居合い抜きのような真剣勝負のお店よりも、気楽でダラダラだべりながら酒を飲むようなお店を好みます。
- すし匠/ワイキキ ←このお店の真価が問われるのは数十年後のはず。
- すし宮川/円山公園(札幌) ←人生でトップクラスに旨い鮨でした。
- 鮨さいとう/六本木一丁目 ←価格設定に色々と考えさせられる。
- 東麻布天本/赤羽橋 ←欅坂46のような鮨。
- 紀尾井町 三谷/永田町 ←単純計算で年間3億円近い売上。恐ろしい鮨屋。
- 鮨舳/瓦町(高松) ←真っ当な江戸前。銀座の半額で何度でも通いたい。
- 天寿し/小倉 ←何度でも行きたいし、誰にでもオススメできるお店。
- 鮨 安吉/博多 ←お会計は銀座の半額。ミシュラン2ツ星は荷が重いけれども、この費用対効果は魅力的。
- ひでたか/すすきの ←鮨は好きだけどオタクではないライト層にとっては最高峰に位置づけられるお店。
- 鮨 志の助/新西金沢 ←とにもかくにも費用対効果が抜群すぎる。
- 小松弥助/金沢(石川) ←「まごころでにぎる」を体現する鮨屋。
- 太平寿し/野々市(石川) ←金沢の人が東京で鮨を食べると頭から湯気を出して怒るに違いない。
この本は素晴らしいです。築地で働く方が著者であり、読んでるうちに寿司を食べたくなる魔力があります。鮮魚の旬や時々刻々と漁場が変わる産地についても地図入りでわかりやすい。Kindleとしてタブレットに忍ばせて鮨屋に行くのもいいですね。