内装も木を多用した温かみのある雰囲気です。お手洗いにはウッドチップが置かれており木の香りが心地よい。店名はイタリア語で「そのまま」という意味。井村俊介シェフは十番「カーザ・ヴィニタリア」、広尾「ボッテガ」を経て2019年に独立開業。
ボトルワインは5千円台~で、イタリアのナチュラルワインが多い。ワインリストは無く、ボトルの相談のたびにシェフが厨房からやって来てくれるのは嬉しいのですが、そのあいだ厨房での作業が全てストップし、結果、料理の提供が恐ろしく遅いお店となっています。シェフと同じレベルでワインを語れる方がひとりいれば当店のオペレーションは劇的に改善すると思うのだけれど。
レバーペーストのクロスティーニ(小さなトースト)。先頭打者スリーベースと言うべきか、このレバーのペーストは美味しいですねえ。凝縮感があって見た目以上に濃密な味わいであり、注文前は1皿800円は高いなあと思っていましたが、食べればその価値がハッキリとわかる味わいです。
他方、ういきょうとブラッドオレンジのサラダはイマイチ。切って混ぜて出しただけの皿であり、料理というよりも素材です。これが1,600円というのは割高だし、提供に1時間近くを要したのも意味不明。
フォカッチャはお願いするたびに軽く温めてくれます。シンプルながら表面がサクっとして美味。
ギアラと黒キャベツの煮込み。牛の胃袋の料理であり苦手な方も多いですが、当店のそれは絶品。素材から出た旨味が還流してバランス良く全ての素材に馴染んでいます。調味は結構強く、先のパンならびにワインと共に楽しむに最適。本日一番のお皿でした。ややもすると人生で食べたギアラ料理の中で一番かもしれません。
白魚とカラスミのパスタ。たっぷりのカラスミの下には麺と間違うほどの量の白魚。炭水化物というよりも酒のツマミと言うべき旨味の強さ。ワインが進む。
メインはホロホロ鳥バター。シンプルで美味しいのですが、あまりに素朴すぎるという意見もあり、これで2,900円という価格設定は高く感じました。
お腹に余裕があったのでパスタを追加注文。エゾ鹿のラグーはやはり肉の量が多く、先のパスタと同様に酒を飲ませる逸品です。ある意味ではメインディッシュの鶏よりも迫力を感じました。
ワインをひとり1本づつにグラスワインを1杯飲んで、お会計はひとりあたり1.4万円。うーん、ちょっとこれは高いなあ。料理は間違いなく美味しいのですが、立地やカジュアルな雰囲気、皿出しのテンポの悪さを考えれば数千円は高く感じました。今のところ独立開業のご祝儀相場が続き連日連夜満員御礼ではありますが、いずれラッシュが落ち着きオペレーションが改善すればまた印象が変わるかもしれません。3年後に来てみようっと。
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イタリア料理屋ではあっと驚く独創的な料理に出遭うことは少ないですが、安定して美味しくそんなに高くないことが多いのが嬉しい。
- ヴィラ・アイーダ(Villa AiDA)/岩出(和歌山) ←我が心のイタリアン第1位。
- TACUBO(タクボ)/代官山 ←ポイントは二番手の存在。
- RISTORANTE YAGI(リストランテ ヤギ)/代官山 ←都内の予約の取れないイタリアン・レストランの代名詞となる日も近い。
- リストランテ カッパス(Ristorante kappas)/表参道 ←コスパ抜群。質実剛健。
- リストランテ・オステリア/六本木 ←ベーシックにすごく美味しい。誰もが納得。
- プリンチピオ/麻布十番 ←こんなに有意義な6,800円があるか?
- カーザヴィニタリア/麻布十番 ←ゴージャスな店内と落ち着いた雰囲気。そのくせ高くない。
- ロッツォシチリア/南麻布 ←雰囲気良く客のレベル高し。ウイキョウのパスタが秀逸。
- ラ トラットリアッチャ(La Trattoriaccia)/広尾 ←すべてが期待以上、満足感しかありません。
- ポンテ デル ピアット (PONTE DEL PIATTO)/広尾 ←少量多皿でどれも旨い。
- アクアパッツァ/広尾 ←日本人向けイタリアン。誰が食べても納得の味わい。
- アンビグラム/広尾 ←肉塊に喰らいつく幸せ。やや割高なのが難点。
- アッピア/広尾 ←客の注文力が試される偉大な店。すごく高いのが難点。
- サローネ2007/元町 ←ランチのポモドーロは絶品。グラム数が指定できるもの最THE高。
- トラットリア アマルフィターナ/渋谷 ←精神的にも費用対効果も本物のトラットリア
- サーラアマービレ/銀座 ←ランチのフリーフローがお得。
日本のイタリア料理の歴史から現代イタリアンの魅力まで余すこと無く紹介されており、情報量が異常なほど多く、馬鹿ではちょっと読み切れないほどの魅力に溢れた1冊です。外食好きの方は絶対買っておきましょう。