誰かの家に遊びに来たかのような内装。カジュアルなテーブルが雑然と並べられています。厨房からは蛍光灯の灯りがビンビンに弾け飛んでおり、ロマンティックとは言い難い雰囲気です。
メニュー表が難解。ランチのメニューはカレーが千円強でありディナーよりも割安に価格設定されているのですが、ところどころ夜のメニューが値段を変えずに仕込まれているため、釈然としない気持ちになる蓋然性が高い。ちなみに「チキン・オムライス」は2,000円、「ビーフ・オムライス」は3,000円と本所吾妻橋「レストラン吾妻」に通じる驚きがありました。
私は「ドライカレー・オムレツのせ(中辛)」を注文。単品だと1,100円であり、スープは100円増しです。
スープ。唇にゼラチンがひっかかりそうになるほど濃厚な味わいで美味。銀座「レカン」「ペリニィヨン」で腕を磨き、京橋「ドン・ピエール」のシェフを張った鈴木正幸シェフの経歴は伊達ではありません。これでプラス100円というのは大変お得。ちょっと温度が低くぬるく感じたのは少し残念。
本題の 「ドライカレー・オムレツのせ(中辛)」。サービスの手が空いておらずシェフが直々に配膳してくれたのですが、うーん、このぐちゃついた黄色の物体は何でしょう。
隣のテーブルの方の同じメニューは百科事典の挿絵にでも入れたいぐらい美しいオムレツが鎮座していただけに切なさは倍増です。そのへんで美意識を発揮しない料理人は私は信用できかねる。
隣のテーブルでは「タンポポを開く」タイミングでキャッキャウフフと嬌声が上がるのですが、私の黄色い物質は最初からスクランブル発進しており、その喜びも中くらいである。黄色い物質そのものは美味。カレーに混ぜ込むというよりは、プレーンなライスと共に口に含んで最強の黄色い物質かけごはんといった仕様です。カレーそのものは悪くはないのですが、家庭的というかオカンが作ったカレーそのものであり特長に乏しい。
目をつぶって食べてこの味覚であれば割に費用対効果は良いかもしれませんが、料理の仕上がりが一定しておらずテーブルによって見た目がバラバラというのは職業意識としてどうなのでしょう。料理とは味が良ければ全て良しというものではないと思うのだけれど。
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