カウンターが8席に座敷がいくつか。店主は和食の名店において12年間みっちりと修業したのちに独立。ベースは和食ですが、欧米系のテイストも混ぜ込んだ何でも屋という印象の料理構成。
酒が安い。薄はりのグラスに丁寧に注がれた生ビールが600円。冷酒も1合で一律800円。ワインも例えばシャンパーニュのボトルで1万円を切ってきます。
お通しは旬のお野菜のウニソース和え。カリフラワーの土っぽいニュアンスにウニの磯の風味がよく合います。
お造り盛り合わせ。そうそう、当店は「麻布六角」のように金額がメニューに記載されていないのですが、それは来店人数によってポーションを調整するためです。今回はひとりでお邪魔しましたが、1人前でもキレイに盛り付けてくれました。
内容はキスの昆布締めに甘エビ雲丹醤油漬け、明石のタイにタコ。キスにジットリと旨味が増しており酒が進む。甘エビはネトネトと官能的な舌触りであり、マッチョなタコの歯ごたえも印象的。
ブリカマの塩焼き。まずはそのまま頂いて身と脂の旨味を楽しみ、続いて出汁醤油をかけて酒のツマミへと変幻自在。キモも凝縮感があって良し。粗めの大根おろしでお口をサッパリ。
牛タンコロッケのマッシュルームソース。思いがけずオシャレな一皿で驚き。ただし牛タンがパサついており旨味に乏しいのが玉に瑕。マッシュルームソースも家庭料理の域を出ませんでした。
野性の猪の沢煮。たっぷりの肉と野菜をお椀で頂きます。期待以上の迫力に恵比須顔。野性の猪と言えども臭味などは一切なく、猛々しい歯ごたえと旨味のみを楽しみます。白眉はお出し。旨味の強いはっきりとした調味であり、山椒をはじめとしたエモいハーブ使いに拍手喝采。
〆にドライカレー温玉乗せ。ライスはしっかりと1膳以上あり勇猛邁進とも言うべきポーションです。思いのほか味が濃くスパイシーであるため汗が噴き出してきました。
満腹になるまで好きなだけ食べ、ビールと日本酒2合を飲んで1.2万円。これはリーズナブルですねえ。東京であれば2万円請求されてもおかしくないレベルです。高級料亭のような佇まいでありながら、好きな食べ物を気軽にアラカルト注文できるのがすごく良い。お店の方の感じもすごく良い。ひとりで行くも良し、カップルで行くも良し、グループで行くも良し。カジュアル和食の最高峰とも言うべきお店です。オススメ!
関連記事
関西も食のレベルは高い。しかも東京に比べて1~2割物価が安く、予約も取りやすいので良いこと尽くめです。印象的だった有名店をまとめました。
- アニエルドール/阿波座 ←近年流行の奇抜なだけの料理とは一線を画す
- lumiere l'esprit k(リュミエールレスプリカ)/難波 ←何を食べているかはっきりと理解できるものが多く、素材が前面に出た実直な調理
- ハジメ/肥後橋 ←半額だったとしてもまだ納得いかない
- フジヤ1935/堺筋本町 ←これが苦痛で仕方が無かった
- ルポンドシエル/北浜 ←そのきっかけを与えてくれたお店となりました。おすすめです
- ラベ/西梅田 ←大好き、クラシックなフレンチ
- ユニッソンデクール/なにわ橋 ←現在は試行錯誤中
- カランドリエ/本町 ←この美味しさを維持したまま、突き抜ける何かを手にしたとき
- ピエール/大阪 ←笑っちゃうほど酷いオペレーション
- ラ・フェット ひらまつ 大阪/中之島 ←信頼できるお店です。大事な日に是非どうぞ
- リストランテ ル・ミディ ひらまつ/西梅田 ←ブラックスワン的な皿は無いものの、全てが及第点を超えている
- 弧柳/北新地 ←悪運に正当な客が付き合わないといけない仕組み
- とんかつマンジェ/八尾 ←6時間待ちですが、わが心のトンカツランキング、ダントツの1位です。
- 六覺燈/なんば ←客に対して、ここまであっけらかんと言い切れるのはすごい