島之内 一陽(しまのうち いちよう)/難波

難波から少し歩いて歌舞伎町的な界隈を抜けた場所にある人気の割烹。食べログは3.88(2020年2月)でブロンズメダル獲得。予約困難店なのですが、1回転目の客が出て席が空いたら電話をしてくれるシステムも採用しています。
カウンターが8席に座敷がいくつか。店主は和食の名店において12年間みっちりと修業したのちに独立。ベースは和食ですが、欧米系のテイストも混ぜ込んだ何でも屋という印象の料理構成。
酒が安い。薄はりのグラスに丁寧に注がれた生ビールが600円。冷酒も1合で一律800円。ワインも例えばシャンパーニュのボトルで1万円を切ってきます。
お通しは旬のお野菜のウニソース和え。カリフラワーの土っぽいニュアンスにウニの磯の風味がよく合います。
お造り盛り合わせ。そうそう、当店は「麻布六角」のように金額がメニューに記載されていないのですが、それは来店人数によってポーションを調整するためです。今回はひとりでお邪魔しましたが、1人前でもキレイに盛り付けてくれました。

内容はキスの昆布締めに甘エビ雲丹醤油漬け、明石のタイにタコ。キスにジットリと旨味が増しており酒が進む。甘エビはネトネトと官能的な舌触りであり、マッチョなタコの歯ごたえも印象的。
ブリカマの塩焼き。まずはそのまま頂いて身と脂の旨味を楽しみ、続いて出汁醤油をかけて酒のツマミへと変幻自在。キモも凝縮感があって良し。粗めの大根おろしでお口をサッパリ。
牛タンコロッケのマッシュルームソース。思いがけずオシャレな一皿で驚き。ただし牛タンがパサついており旨味に乏しいのが玉に瑕。マッシュルームソースも家庭料理の域を出ませんでした。
野性の猪の沢煮。たっぷりの肉と野菜をお椀で頂きます。期待以上の迫力に恵比須顔。野性の猪と言えども臭味などは一切なく、猛々しい歯ごたえと旨味のみを楽しみます。白眉はお出し。旨味の強いはっきりとした調味であり、山椒をはじめとしたエモいハーブ使いに拍手喝采。
〆にドライカレー温玉乗せ。ライスはしっかりと1膳以上あり勇猛邁進とも言うべきポーションです。思いのほか味が濃くスパイシーであるため汗が噴き出してきました。
満腹になるまで好きなだけ食べ、ビールと日本酒2合を飲んで1.2万円。これはリーズナブルですねえ。東京であれば2万円請求されてもおかしくないレベルです。高級料亭のような佇まいでありながら、好きな食べ物を気軽にアラカルト注文できるのがすごく良い。お店の方の感じもすごく良い。ひとりで行くも良し、カップルで行くも良し、グループで行くも良し。カジュアル和食の最高峰とも言うべきお店です。オススメ!


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