茶谷公一シェフはイタリアの星付きレストランでの修行後、日本にて独立。お酒に理解のある料理人のようで、「ご注文されたワインに合わせて料理を変えます」と懐が深い。店内もシックで大人の雰囲気です。
グラスのスプマンテで乾杯。柑橘が強く爽やかな味覚であり、ゴクゴク飲んでしまいました。
泡に合わせて自家製のポリポリをつまみます。素朴な味わいで良き酒のお供です。
リボリータに生ハムに火を入れたもの。。「リ」は再び、「ボリータ」は煮込むという意味であり、残り物の野菜をや硬くなったパンを再利用したトスカーナ地方の家庭料理です。豆のホクホクとした食感に黒キャベツ(?)の甘味が優しい味覚を表現します。ハムは悪くはないのですが、個人的には生ハムのままのほうが好き。
和食の八寸をイメージしたプレート。左手前はトラフグ。厚く切られたてっさに軽く火を通し、その辺のフグ料理屋で食べるよりも余程旨い。右手前はクエ。サっと油で揚げており、クエの身に凝縮感を生み出しつつもカラリとした食感がグッド。奥はトリッパであり、これぞイタリア料理という王道の味わいです。
お酒の値付けが良心的。ボトルのワインは5千円台から用意されており、たっぷり飲みたい方にとっては使い勝手が良いでしょう。グラスも豊富で、日本酒なども用意されていました。
トリュフのタリオリーニ。シンプルな麺、シンプルなチーズ、シンプルなトリュフ、シンプルな調理。極限にまで装飾を削ぎ落した素朴なパスタです。それぞれの素材の風味が立っており、本日一番のお皿でした。
パンが旨い。赤ワインのパンにナッツのパンなのですが、その辺のフレンチレストランが尻尾を巻いて逃げ出すほどの高クオリティです。イタリアンはフォカッチャでお茶を濁す店が多い中、このパンの品質には料理人としての矜持を感じました。
肉はカイノミとウチモモの2種。「4%の奇跡」として評される薩摩牛を用いています。それぞれ肉の味が強く美味。ただし、ソースも濃厚コッテリ系であり若干食べ疲れしてしまいました。ここは肉を活かしてもっとシンプルな調味でも良かったかもしれません。
ローカーボな連れはデザートをチーズに差し替えました。ゴルゴンゾーラの辛口に水牛を用いたカマンベール、モンドールです。この席数のイタリアンでチーズまできちんと用意しているのは素晴らしい。
私はそのままデザートでお願いしたのですが、イチゴを主体に濃厚なアイスクリームにトリュフをトッピングするという逸品。「何それズルい。聞いてない。あたしのトリュフ」と、このあと少しだけ喧嘩になりました。
お茶菓子とコーヒーを頂いてごちそうさまでした。お腹いっぱい食べてそこそこ飲んでひとりあたり1.4万円ほど。なかなかの費用対効果です。お店の落ち着いた雰囲気や客層、マダムのつかず離れずの接客も好き。店側はある程度放っておいてくれて、親しい人とじっくりお話するにはうってつけのお店。もちろんデートにも◎。
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イタリア料理屋ではあっと驚く独創的な料理に出遭うことは少ないですが、安定して美味しくそんなに高くないことが多いのが嬉しい。
- ヴィラ・アイーダ(Villa AiDA)/岩出(和歌山) ←我が心のイタリアン第1位。
- TACUBO(タクボ)/代官山 ←ポイントは二番手の存在。
- リストランテ カッパス(Ristorante kappas)/表参道 ←コスパ抜群。質実剛健。
- プリンチピオ ←こんなに有意義な6,800円があるか?
- ポンテ デル ピアット (PONTE DEL PIATTO)/広尾 ←少量多皿でどれも旨い。
- アッピア/広尾 ←客の注文力が試される偉大な店。すごく高いのが難点。
- RISTORANTE YAGI(リストランテ ヤギ)/代官山 ←都内の予約の取れないイタリアン・レストランの代名詞となる日も近い。
- リストランテ・オステリア/六本木 ←ベーシックにすごく美味しい。誰もが納得。
- サローネ2007/元町 ←ランチのポモドーロは絶品。グラム数が指定できるもの最THE高。
- トラットリア アマルフィターナ ←精神的にも費用対効果も本物のトラットリア
- ロッツォシチリア/南麻布 ←雰囲気良く客のレベル高し。ウイキョウのパスタが秀逸。
- カーザヴィニタリア/麻布十番 ←ゴージャスな店内と落ち着いた雰囲気。そのくせ高くない。
- アクアパッツァ/広尾 ←日本人向けイタリアン。誰が食べても納得の味わい。
- アンビグラム/広尾 ←肉塊に喰らいつく幸せ。やや割高なのが難点。
- サーラアマービレ/銀座 ←ランチのフリーフローがお得。
日本のイタリア料理の歴史から現代イタリアンの魅力まで余すこと無く紹介されており、情報量が異常なほど多く、馬鹿ではちょっと読み切れないほどの魅力に溢れた1冊です。外食好きの方は絶対買っておきましょう。