アムール(AMOUR)/恵比寿

西麻布から恵比寿に移転した 「アムール(AMOUR)」。以前の邸宅風のハコも素敵でしたが、今回の温かみのある一軒家もまた居心地良し。写真の1階ウェイティングスペースからはガラス張りの厨房を見学することができライブ感たっぷり。
ダイニングは2階。白をベースとしたシンプルで落ち着いた空間であり、大きな窓から樹々がチラチラ。今回は真冬での訪問でしたが初夏などはグリーンが心地よいことでしょう。
グラスのシャンパーニュで乾杯。キリっと爽快食欲増進。酒と風呂は日が高いほうが美味しい。

後藤祐輔シェフはアルザスの3ツ星「オ・クロコディル」、銀座「レカン」白金台「カンテサンス」、宇都宮「オトワレストラン」、西麻布「エキュレ」などの名店で経験を積み、西麻布時代の当店からシェフを務めています。
「芽キャベツの収穫」というプレゼンテーションのアミューズ。この中から当たりの芽キャベツを探します。中にはコンテなどが詰まったグジェールが。はっきりと旨味と塩気が感じられるパンチのある一口。

ちなみに当店は「ジャパニーズフレンチ」をコンセプトとしており、使用する食材は全て国産品だそうな。
旨味たっぷりの松葉ガニにカリフラワーのムース(?)を流し込み、これまた旨味と塩気がたっぷりのイクラをトッピング。わかり易い味わいに思わず笑みがこぼれます。
パンは京都の有名なパン屋さんからのお取り寄せ。米粉・フォカッチャ・カンパーニュ・クロワッサンと凝った品ぞろえであり、カンパーニュの滋味深い味わいが心に残りました。すなわち全種類食べたのである。
スペシャリテの「オマール海老のビスク」。これでもかと濃縮したオマール海老のスープをトマトのフラン(茶碗蒸し)に流し込み、オマール海老の身をトッピング。甲殻類原理主義者の私としてはうれピーマン。とにかく海老の味覚が響く、単刀直入に美味しい1皿です。
シラーを用いたニュージーランドのロゼをグラスで頂いたのですが、これはあまり好きじゃない。妙に甘くペタペタとした余韻であり、思い切って鰻のかば焼きとかのほうが合うワインなのかもしれません。
魚料理は寒鰆。柚子のオイルや春菊と魚介の出汁のソースはミラクルに美味しいのですが、肝腎の魚そのものの質がイマイチ。火入れの問題なのかなあ。ソースが抜群に旨いだけに複雑な感想が残った料理でした。
メインはエゾジカ。これはまあ、普通のエゾジカですね。付け合わせの下仁田ネギが妙に美味しく主役を喰っています。鷸蚌の争いと言うべきか何というか、どちらを際立たせないのかが見えづらいメインでした。
グラスで赤のシラーを。こちらは価格(1杯1,500円)の割に迫力のある味覚であり、まさに葡萄を絞ってきましたと言わんばかりのフレッシュさで美味しかった。
デザートはモンブラン(?)。パートフィロ(春巻きみたいな皮)や栗そのものを全面に押し出した変わったタイプなのですが、個人的にはベーシックなモンブランのほうが好きかもしれません。付け合わせのミルクのジェラートはグッド。
相変わらず小菓子が凝っています。ギモーヴのキリっとした酸味とホワイトチョコレート(?)のコッテリした甘さが個人的にツボ。
屋久島のナントカ茶でごちそうさまでした。ランチのコースを一通り食べて3杯飲んでひとりあたり1.5万円に収まるのは中々のコスパです。6~7年前の西麻布時代にお邪魔した時よりもオリジナリティが明確になっており、その進化にドキドキしました。他方、メインで失速した感は拭えないので、次回は夜に、メインをズバリ指定して臨みたいと思いました。才能とは才能を信じる力だ。


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