これ以上は無いというぐらい感じの良い料理人夫婦がお出迎え。8席ほどのマイクロサイズのお店であり予約は必須。近所の常連多めな地元に愛されるイタリアンレストランです。
まずは「元気がでる山盛りViaggioサラダ」。その名に違わず山盛りサイズであり、用いられている食材も豊富。シンプルですが晴れ晴れしい味わいの1皿です。
前菜セット2種。どう見ても4種ですが、名審判は細かなことに拘らず流すもの。手前はゴルゴンゾーラのハチミツがけ。クセは控えめで青カビ系が苦手でも大丈夫でしょう。手前の薄切りはハムではなく「モルタデッラ(mortadella)」というソーセージ。奥のハムは自家製のものであり、ムシャムシャとした食感が肉を食べてる感を煽ります。
ラツィオ州の郷土料理「カルボナーラ」は生クリームを用いない本格派。肉はベーコンでもパンチェッタでもなく「グァンチャーレ(guanciale)」を使用。グァンチャーレとは豚の頬肉いわゆる豚トロを塩漬けにして2、3週間熟成させたものであるため、巷間に流布するカルボナーラよりもコクが強い。細麺ではなくリガトーニ(デカいショートパスタ)を用いるのもローマっ子スタイル。
「メカジキのアグロドルチェ」は日本の甘酢漬けや南蛮漬けのような味わい。それもそのはず「アグロ=酸っぱい」「ドルチェ=甘い」の意であり甘酸っぱい味覚です。メカジキの清澄な味わいに強い酸が食欲をそそります。
勢いに乗ってもう1本。酒屋で1,500円ほどのワインであり、一般的に安いワインは3~4倍で出すお店が多い中、当店は3,000円での提供と良心的。白い花を思わせる香りに複雑で芳醇な味わい。値段からは考えられないほどのボリューム感でした。
肉料理には「骨付き鶏もも肉とパプリカの煮込み」をチョイス。勢いシンプルで素朴な味わいになりがちな鶏肉ですが、クリームとパプリカで実にコッテリとした味わいです。上質なデロンとした鶏の皮は骨のキワが一番旨い。
〆のパスタはアマトリチャーナ。やはり本物志向でグアンチャーレを用いています。トマトやタマネギ、グァンチャーレの旨味がブカティーニ(穴あきロングパスタ)の内部まで入り込み、ペコリーノチーズの塩気と旨味と相俟って絶品であった。
小さいお店なので長居は無用、食べたら帰りましょう。「気をつかってもらっちゃって~、お詫びにグラッパを」と、かなりたっぷりの食後酒をサービスして頂けました。いいなあ、こういうの。余計な従業員を雇わずに目の届く範囲で凝った料理を出して地元民に愛される。レストランの未来はこの業態にあるのかもしれません。
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芝公園あたりは飲食店が少ない。その中でのお気に入りをご紹介。
- マンチズ バーガー シャック ←「あたしの人生で一番美味しいハンバーガーかもしれない」
- オデリスドドディーヌ ←大門駅すぐ、カジュアルで使い勝手の良いお店。でも料理はきちんと美味しい。
- レピフエドディーヌ ←ディーヌ系2号店。安定の費用対効果。
- レジャルダンデドディーヌ ←ディーヌ系3号店。ポーション控えめだけど一番雰囲気が大人。
- 旅するイタリア食堂 ヴィアッジョ ディ サポーリ ←席数8のマイクロイタリアン
- ナポリスタカ ←星型ピザは唯一無二の美味しさ。
- ル・パン・コティディアン ←雰囲気抜群。最高の立地。屋内屋外いずれも素敵。ただしトイレが死ぬほどダサい。
- ステラガーデン ←12時ピッタリに東京タワーの灯が消える瞬間を。
- 水炊き鼓次郎(コジロウ) ←唐揚げ定食の世界大会があれば入賞間違いなし。
- いづる ←ここ数年で最も記憶に残ったラーメン。
- タイ国専門食堂 ←費用対効果が抜群。オススメです。
- 洋食や シェ・ノブ ←日替わり一品メニュー40食一本勝負。
- 焼きそば専門店りょう ←とにかく麺が旨い。
- 味芳斎 ←唐辛子でガツンと直線的に攻める店