スプラウトカフェ さくら坂(SPROUT cafe)/六本木一丁目

「シャングリラに行かない?」と連れられたのは虎ノ門のThe Okura Tokyo。へ?シャングリラって丸の内じゃなかったけ?どゆこと?
なるほどホテル併設の「大倉集古館」で開催されている桃源郷展のことでしたか。日常的に「シャングリラ(Shangri-La)」という響きは耳にしていますが、元々はイギリスの作家ジェームズ・ヒルトンが1933年に出版した小説『失われた地平線』に登場する理想郷の名称であり、転じて一般的に理想郷(桃源郷)と同義として扱われる単語なのです。
ちなみに「大倉集古館」とは明治から大正時代にかけて活躍した実業家・大倉喜八郎が設立した日本で最初の私立美術館。文化財の海外流出を嘆いて自腹で全部買いまくった情熱の人です。尺八とフルートを合わせた「オークラウロ」などオモロな楽器も展示されています。
前置きが長くなりました。夕食まで少し時間があったので、前から気になっていたカフェでお茶でもしようと「スプラウトカフェ さくら坂(SPROUT cafe)」に立ち寄る。アークヒルズのアネックスという位置づけであり、距離はだいぶ離れてはいますがヒルズのポイントカードも使えます。
ここも美術館ではないかと見紛うほどの展示品の数々。壁には絵、天井にはシャンデリアと取り留めのないラインナップではありますが、全てが不思議と調和しています。それを人はセンスという。
モンブランに目が無い連れはディスプレイから目を離さない。あのね、僕らは今から2時間後には別のレストランのテーブルについているんだよ。「六本木でしょ?歩けば何とかなるかもしれない」何がどう何とかなるというのだ。

我々のやり取りを聞いた店員は「ふたりでひとつでも結構ですよ~」と気を使ってくれるのですが、途端に顔を曇らせる彼女。どうやらふたりでふたつ食べるつもりだったようです。
「人生は楽しむためにあるってこと、忘れないでね」結局ふたりでふたつを注文することに。まあいい、デザートが最初に来たと思えば総摂取カロリーは変わらないはず、と自分自身に言い聞かせます。大人のストレスは食事でしか癒せないのだ。
モンブラン。和栗をたっぷりと使用した上品な甘味であり、内部にも栗がゴロゴロ。行き当たりばったりで食べるケーキとしてはかなりの美味しさです。
私はイチヂクのショートケーキ。ありそうでないショートケーキであり見目麗しいのですが、味そのものは中くらい。むう、モンブランの圧勝である。
コーヒーも丁寧に淹れられた本格派で美味。
ケーキひとつ1,000円、コーヒーは700円と値は張りますが、圧倒的な空間力に居心地の良さ、ガラガラに空いていることを考えればその価値は充分にあります。客層が雑多なホテルのラウンジよりもグっと印象が良い。今度はテラス席でランチでもしようかしらん。


食べログ グルメブログランキング

人気の記事

「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。