齊藤四郎シェフは近所の「ふぐ武」で鰻・河豚・すっぽんの取り扱いの経験を積んだのち1983年に独立。特に鰻については志村けんが週5日も通って食べたという逸話も。とは言え店内はテレビが流れ至ってカジュアルな雰囲気。居酒屋的な料理も多く気取らないお店です。
瓶ビールは700円。十番の居酒屋としては良心的な部類でしょう。その他、サワーやハイボールも同価格帯であり、日本酒は1合で千円弱といったところでした。
「最近、物凄く口説かれているんだけど」彼女は新しいおもちゃを見つけたかのように言う。「初デートで自分のプレゼン資料を持ってくるの。パワポ20枚。家柄だとか、大学だとか、仕事だとか」
お通しが旨い。既製品を出しただけで500円を奪っていく意識低い系の飲み屋とは異なり、きちんと手が込んでいます。おっちゃんが作っていましたがまさにおふくろの味。
いるなあ、そういう男。自分の中身の話はしないでブランドの話ばかりする。旦那なんて、それなりに休みがとれて、家事を一緒にやってくれて、実家がややこしくなければ充分だということを知らずに。
れんこんのきんぴら。外食では家庭での調理が面倒なものから注文するのが鉄則。シャクシャクとした食感に出汁がきいて美味。
「でも、そろそろ結婚はしたいなあ」彼女は頬を膨らませながら言う。「結婚してないと、社会不適合者みたいに思われるでしょ?だから、何とかしなきゃって、自分で自分を追い詰めちゃってるんだよね」あたしは充電が90%を切るとソワソワするタイプなの、彼女は小さく付け加えた。
舞茸の天ぷら。ベーシックな味わいですが心温まる味わい。オマケでついてきた大葉も良い香りで素敵なアクセント。
牛もつ煮込み。丁寧に処理されたホルモンに臭味はなく、ピリ辛な調味と共にごはんが欲しくなる味わいです。
から揚げは大山鶏を用いており堂々たる美味しさ。ちなみに焼鳥メニューも充実しており、それらにも大山鶏を用いているそうな。
「結婚しなきゃって強迫観念に悩まされてるの。もう、何もかもが嫌になって、ひとりで強いお酒を飲んだくれたりすることもある。自分が何をしようとしているか分からない。でも、何をするか分からないことは分かってる」彼女はそこに答えが書いてあるかのように、グラスをじっと見つめた。
塩さば。ほんのりとした塩味に凝縮感のあるサバの旨味。大根おろしをたっぷりつけて、これが日本の食卓である。
うーん、考えすぎじゃない?フランス人なんて誰も結婚してないし、したとしてもすぐに離婚してる。小さな子供がいる家庭ぐらいだよ、結婚してるのは。閣僚は全員が離婚してて、週刊誌なんかも男女間のスキャンダルには興味なし。キミにとっての結婚のゴールは何?基準を日本社会じゃなくて、自分においたらどう?
主題の鰻料理に入ります。旨きは2,500円と中々の価格設定ですが、オムレツほどの卵の量にたっぷりの鰻が。割と雑めな調理ではありますが、この鰻の量で2,500円というのは悪くないディールです。
4番サード、うな重。鹿児島県産の330グラムの鰻を用いており、並の鰻屋の特上レベルのポーションです。産地は鹿児島ではありますが調理は関東風の蒸しスタイルでふっくらフワフワと磯山さやか的な味わい。他方、タレは思ったよりサッパリしています。個人的には鰻は関西以西のバリっと焼いた形式(特に鹿児島であれば「うなぎの美鶴」だ!)のほうが好きですが、まあそれは神学論争のようなものでしょう。
肝吸いにはしっかりと肝が入っており、ここが雑居ビルに入居する居酒屋であることを忘れるほど高潔たる味わいです。
「あなたは何度も結婚してズルい。格差社会とかいうけれど、お金なんかよりも恋愛格差のほうが人間にとって問題なんじゃないかしら?私の今日は、私が生きたかった未来じゃないの。最後に残ったピスタチオは開けづらいものなのよ」
深みのあるお新香もグッド。ごちそうさまでした。
飲んで食べて〆は鰻重と贅沢な飲みでしたがお会計はひとりあたり8千円ほど。立地と鰻料理を食べたことを考えれば実にリーズナブルであり、高級食材を除けば5千円に収まりそうな勢いです。加えて店は空いており、お店側も感じは良いが客に干渉してこないスタイルで居心地が大変良かった。「十番の何でもない居酒屋なんだけど、〆は鰻重なんだよね」みたいなデートのお誘い、すごく素敵じゃないですか?
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麻布十番には日本料理店も結構多いのですが、割高であることが多いです。外すと懐が大ダメージを受けるので、信頼のおける口コミと、味覚が似た友人の感想に頼って訪れましょう。
- かどわき ←高級食材をまとめ上げる確かな腕に舌を巻く。
- あらいかわ ←とにかく酒に合う旨いものを追求する。
- 鈴田式(すずたしき) ←食通のオーナーの記憶の断片を味見するというオムニバス形式のコース。
- 鮨みうら ← ゲームチェンジャーとなりうるお店。
- 御料理 辻 ←デビュー1年で1ツ星。ランチは飲んで食べて1万円!
- ふくだ ←完成された簡素さを追求する方向性。
- 幸村 ←兎にも角にも固定電話。
- 六角 ←居酒屋としてはものすごく高い。
- 東郷 ←創作性に富んでいるというよりは混乱をきたしている。
- 暗闇坂 宮下 ←奇跡の1,600円鯛茶漬けランチ!
- すぎ乃 ←おでん専門店。割烹の煮物椀が次々に出てくる感じ。
- しき ←〆は鰻重。
- 尾崎幸隆 ←子連れで旨いものを食べたいご家族にオススメ。
- 日本料理 徳 ←石垣牛がメイン。ちょっと割高。
- 鮓職人 秦野よしき ←自由奔放で楽しい鮨屋。
- おざき ←外国人を接待するなら間違いの無いお店。
- たきや ←世界中からの予約争奪戦が始まりそうな予感。
- 天冨良よこ田 ←天ぷら入門編にはオススメ。
- 六覺燈 ←泡と揚げ物との組み合わせ。
- りゅうの介 ←味は良いがガチョーンなお会計。
- 南麻布 あら喜 ←カジュアルな雰囲気なのに滅茶苦茶高い。
- 麻布十番グルメまとめ ←ほぼ毎日、麻布十番で外食しています。その経験をオススメ店と共に大公開!
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