昼夜1組づつの貸し切りイタリアン。厨房に繋がるダイニングルームで食べているような感覚です。三沢賢シェフは東京で腕を磨いた後にイタリアへと渡り、ミシュランの星付きレストランなどで活躍。帰国後は数々のイタリア料理店でシェフと活躍したのち、本部の地にて開業。
パルマ産の生ハムに冬瓜を砂糖で煮た琉球王朝伝統の銘菓「冬瓜漬」をバターで挟みます。生ハムの塩気と不思議にマッチし、生ハムメロン的な楽しさがありました。
前菜は、ほんのり温かいマリネ。地元の車エビにタコ、アーガイ(ヒブダイ)。アーガイとは青く輝くトロピカル系の白身魚であり、熱を通しているのに硬く締まらず柔らかい。プレーンな味わいにちょっとしたマリネの酸味が良く合います。
パン(フォカッチャ?)はごくごくシンプルなものであり印象に残らず。お料理のソースをつけて食べるにはこれぐらいでちょうど良いのかもしれません。
太目の麺に、あぐー豚の自家製サルシッチャと黒キャベツ。麺の湯で加減はこれ以上はないというレベルに完璧であり、やはりシェフのフルパワーを感じるには少人数での貸し切りしかないのかもしれません。黒キャベツは味が濃く、軽く素揚げすると海苔のような風味が感じられ美味しかった。
ミーバイ(スジアラ)と白ナスにセモリナ粉を塗して揚げます。ミーバイとはハタ科の高級魚であり、ハマダイ(アカマチ)やシロクラベラ(マクブー)とともに沖縄三大高級魚として知られています。清澄な味わいで美味しいのですが、上品すぎるきらいがあり印象には残りづらかった。白ナスのトロトロ感は堪らん。
メインは本部牛。首の部分であり、筋を丁寧に取り切って再構築したハンバーグのような肉塊です。付け合わせは黒アワビダケに花ニラ、カブ。ソースにはタスマニアのマスタードを使用。
肉が絶品。ガシャガシャと迫力のある噛み応えであり、その食感に負けじと肉の味が濃い。和牛のとろけるような甘さも美味しいですが、やはり肉といえばマッチョな味わいが好き。芝公園「マンチズ バーガー シャック(MUNCH'S BURGER SHACK)」の粗挽きパティを思い出しました。
デザートにはパルミジャーノを用いたチーズケーキ。塩気や旨味が強く酒にも合いそうな面白い甘味です。地元の塩が効いたジェラートも乙な味わい。
食後のお茶はコーヒー・紅茶などの定番に加え、ハーブティーもラインナップ。これがニッキやシナモンのような香りの漂う地元のものであり、興味深い味わいでした。
炭酸水を1本飲んで、税やらサービス料やらでお会計はひとり当たり7,000円強。沖縄のランチとしては高く感じますが、一流のシェフを貸し切り最高のロケーションで最高の料理を食べることができると考えれば安いもの。やっぱりレストランの究極系はこういう業態なんじゃないかなあ。大箱は接待やプロポーズ用に、個人店や貸し切りOK店は自腹で美食を追求する者のために。今後はそんな風に二極化が進んで行きそうな気がしました。
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イタリア料理屋ではあっと驚く独創的な料理に出遭うことは少ないですが、安定して美味しくそんなに高くないことが多いのが嬉しい。
- ヴィラ・アイーダ(Villa AiDA)/岩出(和歌山) ←我が心のイタリアン第1位。
- TACUBO(タクボ)/代官山 ←ポイントは二番手の存在。
- リストランテ カッパス(Ristorante kappas)/表参道 ←コスパ抜群。質実剛健。
- プリンチピオ ←こんなに有意義な6,800円があるか?
- ポンテ デル ピアット (PONTE DEL PIATTO)/広尾 ←少量多皿でどれも旨い。
- アッピア/広尾 ←客の注文力が試される偉大な店。すごく高いのが難点。
- RISTORANTE YAGI(リストランテ ヤギ)/代官山 ←都内の予約の取れないイタリアン・レストランの代名詞となる日も近い。
- リストランテ・オステリア/六本木 ←ベーシックにすごく美味しい。誰もが納得。
- サローネ2007/元町 ←ランチのポモドーロは絶品。グラム数が指定できるもの最THE高。
- トラットリア アマルフィターナ ←精神的にも費用対効果も本物のトラットリア
- ロッツォシチリア/南麻布 ←雰囲気良く客のレベル高し。ウイキョウのパスタが秀逸。
- カーザヴィニタリア/麻布十番 ←ゴージャスな店内と落ち着いた雰囲気。そのくせ高くない。
- アクアパッツァ/広尾 ←日本人向けイタリアン。誰が食べても納得の味わい。
- アンビグラム/広尾 ←肉塊に喰らいつく幸せ。やや割高なのが難点。
- サーラアマービレ/銀座 ←ランチのフリーフローがお得。
日本のイタリア料理の歴史から現代イタリアンの魅力まで余すこと無く紹介されており、情報量が異常なほど多く、馬鹿ではちょっと読み切れないほどの魅力に溢れた1冊です。外食好きの方は絶対買っておきましょう。
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