大久保と新大久保のあいだ、コリアンタウンとして有名なこの地域には近年ネパール勢やイスラム勢の進出が甚だしい。今回は食べログ百名店にも選出された「ナングロガル(Nanglo Ghar)」へ、ネパール風のカレーを楽しみに伺います。
怪しげな雑居ビルの狭い階段を登ると、更に怪しげな扉に急な階段が。加えて踊り場には両替商が入居しています。そう言えば近くのネパール料理屋「MOMO(モモ)」の脇にも外貨送金ショップがあったな。カレーと金融は相性が良いのかしら。外観以上に怪しげな店内。真昼間だというのにカーテンを引き、そのカーテンの色はピンク色です。入店時には私以外にゲストはいませんでしたが、その後続々と客は増え始めその全員が日本人でなく、東京にいながらにして見事なアウェー感です。
注文後すぐに提供されるサラダ。これはまあ、オマケのサラダ味ですね。ドレッシングも既製品の味わいであり特筆すべき点はありません。
「ディロセット(THAKALI DHIDO SET)」を注文。1,500円です。ネパール風のオツマミがいくつかにカレーが2種。カレーは魚・ラム・チキン・ポークから選択することができます。
主題のディロ。標高が高く土地が痩せていて米が栽培できない北ネパールの主食で、蕎麦粉を練ってそばかき状にしたもの。ザラっとした舌ざわりにモッタリとした食感。正直、大して美味しくありません。普通のライスにすれば良かった。人生とは後悔の連続だ。
ラムのカレー。独特のクセが強烈でラムというよりマトンだと思うのですが、バリバリのスパイス使いは日本人には表現できない風味です。温度がちょっとぬるかったのが残念。
魚のカレーはスープカレー状態。ラムのカレーよりも液状化が進み、また、スパイスのアタックも強烈になっています。小骨が多く食べづらい面もありますが、全体として魅力的な味わいでした。
これはカレーではなく豆のスープでしょうか。離乳食のような口当たりに穏やかな調味であり、先のカレーたちと同じ料理人が作ったとは思えないマイルドな味わいでした。
その他、パリパリしたクレープや炒めたホウレンソ、謎の植物や穀物に調味料と、普通に日本で暮らしていれば交錯することのない興味深い食べ物ばかり。いずれも味が濃くスパイシーなので酒に合うのではないか。気の置けない仲間たちと色々注文しながら宴会するのが正しい使いかたかもしれません。次回は夜にチャレンジ。
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