水道橋駅から徒歩5分ほど。雨の日の平日13時過ぎだというのにこの行列。人気のほどが窺えます。加来翔太朗シェフは生粋のカレーヲタ。学生時代に神保町エリアのカレー屋巡りをしていくうちにインド料理に傾倒し始め、インド現地での修業も経験しています。
カウンター8席に4人がけのテーブルが2つの店内。厨房の他、サービス専門の店員もおりカレー屋としては潤沢な布陣です。昼は純粋なカレー屋ですが、夜にはツマミや酒などビストロメニューもラインナップに加わるそうな。
私は「マトンカレー」のルー大盛りにチーズのトッピング、いくつかのトッピングが付く「カレーセット」を注文。合計で1,680円と中々の値段です。
マトンとは生後1年以上の羊のことであり、独特の香りが強くコントラバーシャルな食材。しかし当店はスパイスを巧みに活かし、マトンの良い面のみをプッシュしています。ルーにはドロドロと旨い何かが大量に溶け込んでおり、マトンの肉の旨味を中心に奥行きのある味覚が百花繚乱。これは旨いカレーだ。
チーズトッピングはルーの下に敷かれています。これはまあ、普通にとろけるチーズなのですが、スパイシーなルーの辛味を和らげるお母さんのような味覚。下に敷かれているので常時トロトロという仕様です。
ライスはまさかの日本米。しかしながらこれは意図した出来事であり、濃厚なスパイスを日本の甘いお米が優しく受け止め、実にちょうど良い塩梅に思えました。神保町界隈はルーは旨いがライスが微妙な店が多いだけに嬉しい。
「カレーセット」は「ダル(豆のカレー)」「サブジ(野菜のスパイス炒め)」「野菜のピクルス」の三本柱。写真の黄色いカレーが「ダル(豆のカレー)」であり、なるほど豆の甘味と穀物感が強く、辛めのマトンカレーの良い緩衝材となっています。
「サブジ(野菜のスパイス炒め)」はスパイスのきいた、家庭では表現できない乙な味。ピクルスも単なる酢漬けではなくどことなくスパイシー。150円の追加料金でこれらの味覚を追加で楽しめるのはお得と言えるでしょう。
スパイスたっぷりのインド風のルーに日本米を合わせるという日印同盟的魅力的なカレーでした。お隣さんが食べていたチキンカレーはよりスパイシーな仕様に見受けられ、また、入店時には既に売り切れのキーマカレーも気になる。今度は夜に酒を飲みに来るのも悪くない。良い店です。
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カレーって美味しいですよね。インドカレーも日本カレーも大好き。ただしそれほど詳しいジャンルではなく、スパイスマニアには逆立ちしても勝てないので、意外性のあるオススメカレーをご紹介。
- 酒肆ガランス/白金高輪 ←本格派。カレー屋は当店に修行しに来るように。
- ラ・ファソン古賀/代々木上原 ←予約必須。欧風カレーの最高峰。
- ケンゾーエステイトワイナリー /六本木 ←野菜が溶け込み甘さを感じる一方で、きちんとスパイスが立っている本格派。
- 香妃園/六本木 ←六本木で遊ぶのに知らないのはモグり。
- 東洋軒/赤坂見附 ←和牛の脂のコクが凝縮され、果物の甘味で包み込み、スパイスでキリリと〆るブラックカレー。
- カレー&オリエンタルバル 桃の実/水道橋 ←マトンカレーが実に奥行きのある味わい。
- ボンディ(Bondy)/神保町 ←アタックとしては甘味。続いて穏やかな辛味が到来するという仕様。
- スープカレー屋 鴻(オードリー)/神保町 ←豚骨の旨味がクセになるカレー。
- エチオピア/神保町 ←ルーが絶品。豆サラダと野菜が上々。
- ディラン/新お茶の水 ←意外にも家庭的でゆるふわな味わい。
- スパイスボックス(Spice Box)/神田 ←日本人の口に合う本格派。ボリュームが心底満点。
- 印度料理シタール/検見川 ←千葉の僻地で大行列の超有名カレー屋。
- コチンニヴァース/西新宿五丁目 ←「なぜここに?」と住宅街に突如現れる本格派。
カレーにまつわる単語が辞典形式にまとめられ、知っていそうで全く知らないカレーエピソードがたくさん詰まっています。気合を入れてカレーを食べに行く前に目を通してから臨むと楽しさ倍増!