カレー&オリエンタルバル 桃の実/水道橋

食べログの百名店に選出されポイントは4点に迫り(2019年12月)、日本のカレー屋の中でもトップランカーに位置する「桃の実」。1号店はワインとの相性をコンセプトとしたビストロですが、当店はスパイスを惜しげもなく用いたインドテイストのカレーが主力選手です。
水道橋駅から徒歩5分ほど。雨の日の平日13時過ぎだというのにこの行列。人気のほどが窺えます。加来翔太朗シェフは生粋のカレーヲタ。学生時代に神保町エリアのカレー屋巡りをしていくうちにインド料理に傾倒し始め、インド現地での修業も経験しています。
カウンター8席に4人がけのテーブルが2つの店内。厨房の他、サービス専門の店員もおりカレー屋としては潤沢な布陣です。昼は純粋なカレー屋ですが、夜にはツマミや酒などビストロメニューもラインナップに加わるそうな。
私は「マトンカレー」のルー大盛りにチーズのトッピング、いくつかのトッピングが付く「カレーセット」を注文。合計で1,680円と中々の値段です。
マトンとは生後1年以上の羊のことであり、独特の香りが強くコントラバーシャルな食材。しかし当店はスパイスを巧みに活かし、マトンの良い面のみをプッシュしています。ルーにはドロドロと旨い何かが大量に溶け込んでおり、マトンの肉の旨味を中心に奥行きのある味覚が百花繚乱。これは旨いカレーだ。
チーズトッピングはルーの下に敷かれています。これはまあ、普通にとろけるチーズなのですが、スパイシーなルーの辛味を和らげるお母さんのような味覚。下に敷かれているので常時トロトロという仕様です。
ライスはまさかの日本米。しかしながらこれは意図した出来事であり、濃厚なスパイスを日本の甘いお米が優しく受け止め、実にちょうど良い塩梅に思えました。神保町界隈はルーは旨いがライスが微妙な店が多いだけに嬉しい。
「カレーセット」は「ダル(豆のカレー)」「サブジ(野菜のスパイス炒め)」「野菜のピクルス」の三本柱。写真の黄色いカレーが「ダル(豆のカレー)」であり、なるほど豆の甘味と穀物感が強く、辛めのマトンカレーの良い緩衝材となっています。
「サブジ(野菜のスパイス炒め)」はスパイスのきいた、家庭では表現できない乙な味。ピクルスも単なる酢漬けではなくどことなくスパイシー。150円の追加料金でこれらの味覚を追加で楽しめるのはお得と言えるでしょう。
スパイスたっぷりのインド風のルーに日本米を合わせるという日印同盟的魅力的なカレーでした。お隣さんが食べていたチキンカレーはよりスパイシーな仕様に見受けられ、また、入店時には既に売り切れのキーマカレーも気になる。今度は夜に酒を飲みに来るのも悪くない。良い店です。


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