マレーシア航空ファーストクラス/クアラ・ルンプール→成田

ファーストクラスでの世界一周の旅、最終章。〆はマレーシア航空でクアラ・ルンプールから成田へと向かいます。
ちなみに予約をした時点ではファーストクラスだったのですが、搭乗時には「ビジネススイート」という新しいブランドへと進化していました。「ファーストクラスでの出張など贅沢だ!けしからん!」という世の風潮を敏感に察知したマレーシア航空が、座席とサービスの内容は変えず名称だけ「ビジネス」と冠し、出張族でも気兼ねなしに利用してもらおうと戦略的に新設した斬新かつ狡猾なクラスです。なお、予約クラスはFのまま。
まずはファーストクラスラウンジから。チェックインなど事務処理を行うターミナルからエアロトレインに乗り、サテライト側2階のへと向かいます。自社有償のファーストクラス客だけでなく、ワンワールドのエメラルドメンバー(JALだとJGCプレミア以上)も受け入れている模様。
いきなりの濡れ場で恐縮ですが、日中はクアラ・ルンプールの街を歩き回り汗みずくとなっていたので、まずはシャワーを浴び着替えを済ます。シャワールームの仕様は一般的なラウンジのそれと同等であり、ファーストクラスらしさはありませんでした。
サッパリした後は案内係に促され、ダイニングエリアへと移動。内装ならびに椅子やテーブルなど全てが高級レストランのそれと同等であり、平たく言うとテンアゲです。
シャンパーニュはドゥ・ヴノージュの安いやつのみ。うーん、これはファーストクラスラウンジとしては少し貧弱ですね。アメリカン航空のクリュッグ飲み放題などを見習ってほしいところ。機内の泡がより上質であることを期待して数杯に留めます。
料理はアラカルト形式で、お好きなものをお好きなだけ。まずはシュリンプカクテル。盛り付けこそは立派ですが、まあ、普通のエビでした。
サラダにも仰々しい料理名がついていましたが、普通のミックスサラダです。うーん、このラウンジの料理は不味くはありませんがファミレスレベルですね。あるいはクルーズ船のレストランに似た方向性です。
チキン。この料理はグッドです。鶏肉そのものの美味しさもさることながら、カレー風味のソースも食欲をそそる味わいでした。
他方、カニのパニーニは全然ダメ。期待していたほどカニ肉は挟まれておらず、パンは妙に油っぽく野暮ったい。付け合せのポテトチップスのほうが美味しく感じるレベルです。
満腹になったのでラウンジエリアへと移動。このラウンジ、人は少なく雰囲気は良いのですが、しっかりとパソコンが打てるようなデスクが無く電源も限られているので作業場としては微妙です。お隣のビジネスクラスラウンジへと移動しようかとまで考えてしまいました。
なお、ラウンジエリアには料理は置かれておらず、ダイニングでしっかり食べなさいというルールです。アルコールも置かれていないのですが、それはスタッフに言えばダイニングにあるレパートリーの中から持ってきてもらえます
搭乗。シンプルでスッキリとしたデザイン。他社のファーストクラスに比べると横幅が少し狭く感じます。
ちなみに今回の機材は最新鋭のA350。ファーストクラスは4席のみと特別感があります。
座席は狭いですが収納は恐ろしく広い。並のバッグであれば余裕で脇の収納に片付けることができるでしょう。いきおい頭上の棚はスッカラカンとなるので、収納効率はあまり良いとは言えません。
手元の収納は電源やUSBポート、操作パネルやシート調整ボタンなどが一堂に会し使い勝手が良い。鏡も備え付けられており女子に優しい。
ウェルカムシャンパーニュはコント。私の最も好きな泡のひとつであり、他のゲストは一切飲んでいなかったので(宗教上の理由?)独り占めです。同時に飲み切らなければ流しに捨てられてしまうという妙な義務感も生じました。
機内用のパジャマも用意されます。が、飛行時間は7時間とそれほど長くなく、そもそも半そで半ズボンというパジャマよりもカジュアルな服装であったため、今回はお着換えしませんでした。
アメニティが詰まったバッグは高級皮革アクセサリを専門とする英国の「アスピナル・オブ・ロンドン(Aspinal of London)」のもの。普通に買えば何万円もするようなポーチで嬉しいのですが、果たして飛行機という移動手段で必要な演出かと問われると疑問。ジップロックでいいからその分チケット代を安くして欲しい。
アメニティそのものはフランスの「PAYOT」。マレーシアのフラッグキャリアに乗り、イギリスのポーチを開ければフランスのコスメが入っておりとりとめがありません。
そうそう、今回の機材は上空でwifiを利用することができます。ファーストクラス客はクーポンをもらえるので無料。ただしFだろうがCだろうがYだろうが使用する回線は同じであり速度が全く出ないので、実質使い物になりませんでした。
安定飛行に入り、食事が始まりました。レッドアイフライトでありラウンジでしっかりと食べていたので、ちょっとつまむ程度です。マレーシア航空自慢のサテだったのですが、これがびっくりするほど不味く、セブンイレブンのホットスナックのほうがレベルは上です。今後の食事にも見るべきものは何もないだろうと判断し、「朝食も何ももう要らない」とCAに伝え、ふて寝します。
歯磨きに行っている間にベッドを作ってもらいました。改めてみるとやはり狭い。収納スペースあんなに要らんやろ。
照明を落としドアを閉めるとまるで漫画喫茶のようです。敷布団の厚さも薄く寝心地はあまり良いとは言えません。マレーシア航空はファーストクラスを戦略的に「ビジネススイート」と呼ぶことにしましたが、なるほどそのクオリティはまさにビジネスクラスであり、日系ならびに中東系エアラインのビジネスクラスよりも質が劣るような気がしました。

ということで、半年かけてワンワールドのファーストクラスを乗り比べて来ましたが、あえて序列をつけるとするならば

【機内】

【ラウンジ】
カタール>超えられない壁>アメリカンブリティッシュエアウェイズ>マレーシア≒JAL
(※キャセイのファーストクラスラウンジは利用せず)

という並びになります。JALは機内は良いのですがラウンジが貧弱ですねえ。機上でキャビアとかサロンとかは正直過剰なので、その分ラウンジを充実させて欲しいところです。その逆はアメリカン航空。ラウンジは魅力的ですが機内はただ寝るだけという、ある意味では最も合理的な仕組みかもしれません。総合力という意味ではカタール航空が一番でしょう。あのラウンジの豪華さはラウンジの定義を根底から覆す破壊力があります。

ということで、ファーストクラスでの世界一周の旅は一旦終了。そして先ほど、2週目をポチりました。12月下旬に日本を発ちます。それではさらばだ。


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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。

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