Umi(ウミ)/恵比寿

恵比寿駅から徒歩10分ほど。坂を登った住宅街にある一軒家フレンチ。看板が出ていない普通の家なので、食べログの外観写真と睨めっこしながら訪れましょう。
店内もまさに家といった佇まい。藤木千夏シェフはホテルオークラを経て渡仏。帰国後、銀座「ロオジエ」なので腕をふるったのち再渡仏し、パリ「Restaurant Sola」のスーシェフを務めました。

ただしちょっと気になるのが公式ウェブサイトにあったコンセプト説明。祖母の教えてくれた昔ながらの一汁多菜をメインに魔法使いがどうのこうのと、若干お花畑寄りな芸風なのかもしれません。
ブランドブランで乾杯。思ったよりもコクがあり厚みを感じる1杯でスタートです。
アミューズは3種。カツオをタタキっぽく炙ったものにビーツのソースなど。見た目通りの味わいで美味。サツマイモのスープは美味しいのですが、最初に食べるにはやや重い。奥のフォアグラのテリーヌは正攻法で良かったです。
30分待って出てきた前菜。客はわれわれ含めて4人しかいないのに、この皿出しの遅さは何なのでしょう。しかし困ったことに料理は大変美味しい。臓器を含めたイカの全てが詰まった料理であり、素材の旨味を完璧に活かした逸品です。
グラスワインは1,000円~と良心的。続く料理も見越してマルボロを。思いきりの良い酸味が潔い。イカには合いませんでしたが、次の料理のシェリービネガーソースにはピッタリでした。
やはり30分を要する魚料理。マダイのパイ包み焼きをソース・ブールブランで。なるほど時間をかけただけあって実に旨い。ジューシーなマダイ、香りの良いパイ、ソースの酸味、大葉による味覚のアクセントなどどれを取っても一級品です。

しかしこのテンポの悪さは何とかならんもんか。同じツーマンセルの「TAIAN TOKYO(タイアン トウキョウ)」なら客を待たせることなどいざ知らず、線路を渡った「mori(モリ)」はワンオペながら速度は倍である。
自家製のライ麦パン。美味しいのですが、ご丁寧にパンまで出てくるのが遅いです。サービス?アシスタント?のもう一人の動きが良くないですね。チョコマカと良くは動いているのですが価値は生み出しておらず無能な働き者といった風情です。
更に30分を要した肉料理。清澄な肉質ながら凝縮感がありジューシー。旨いじゃないか。付け合わせの野菜、特にジャガイモの美味しさも堂に入っており、実に規範的な美味しさに溢れる1皿でした。
赤のグラスワインは全てがボルドーであり、うちひとつは在庫切れという体たらく。トヨタであれば即刻クビである。加えてサービスは残る2つのワインの説明もろくにできません。たった数種のグラスワインの方向性ぐらい、きちんと説明できるようにしとこうぜ。味見して10分も検索すれば整理できるやろ。何だか最近ワインのサービスに恵まれてないなあ。
デザートについても30分を要するのは納得がいかない。こんなのスプーンでチョイチョイ盛り付けるだけじゃないか。恐らくブイーンブイーンと音が鳴りっ放しだったので造りたてのアイスクリームなのかもしれませんが、そういうのは「カンテサンス」のような大箱でやるべき作業である。
小菓子とコーヒーにも20分。その割には黒焦げで苦味が強く美味しくありませんでした。
繰り返しにはなりますが、とにかく料理を出すテンポが悪いです。接待などでは使えず、付き合いの浅い人との食事なら会話が尽きてしまうほどの間の長さでした(隣のカップルは途中からずっとスマホをいじってた)。ア・ラ・ミニュットで提供したいという意識の高さは伝わってくるのですが、この価格帯でそこまで求められているのかは疑問です。
一方で、調理に係るセンスは間違いなく良い。値段を考えれば極上と言って良い程の料理の数々。これならいっそのこと「été(エテ)」のように客単価を5万円にして客数をグっと絞ったほうが、全員が幸せになれるような気がしました(そういえば同じ「夏」だ)。少なくとも現時点では会話が途切れることのない仲良し女子4人組とかで訪れるのが得策でしょう。時間に余裕を持ってどうぞ。


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Umi
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