アメリカの古きダサきスポーツバーといった雰囲気の店内。昼間だというのに薄暗く、アメフトの試合を流すテレビがそこかしこで光ります。
酒は安い。アルコールであっても5ドル前後から始まり、地元の親しい友人がダラダラ飲み食いしながらスポーツを見続ける光景が目に浮かびます。
「料理は全部ファミリー・スタイルだからね!」とウインクする愛想の良い店員。ポークチョップとフライドライスが人気とのことだったので、その両方を注文。茶色い料理ばっかりだし、サラダも追加するかあと妻に相談すると「死ぬほど量が多いからやめておけ」と全力で止められました。
スペシャリテのポークチョップ。一般的なそれと異なり、フライドチキンの豚肉版のような仕様です。見た目の通り雑な味わいであり、日本のトンカツのほうがレベルは高い。ソースもただのケチャップであり、料理人として矜持を感じません。
フライドライスはダイヤモンド・ヘッドもかくやと思わせる盛り付けです。見た目こそ特徴的ですが、味わいはアメリカで食べるごくごく普通のチャーハンです。誤解を恐れずに言えば、パンダ・エクスプレスと大差ありません。
ポークチョップは意地で食べ切り、フライドライスは半分以上持ち帰ることになりました。全然美味しくないじゃないか、と妻に抗議すると「まあ、ハワイの人はこういうものを日常的に食べてるのよ。ソウルフードってやつ?あなたもラーメン二郎、好きでしょう?」二郎は普通に旨いじゃないか、と言いかけてつつ、ここで神学論争めいたことをしても仕方がないので言葉を飲み込む。夫婦円満の秘訣である。
料理だけに集中すれば何でもない無国籍料理屋ですが、ローカルの雰囲気に浸るという意味では意義のあるお店かもしれません。話の種にどうぞ。
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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。
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