軒先にあるサンプルが昭和の雰囲気を誘います。並のカレーが500円で、カツカレーが650円と、その差は150円しかありません。スーパーの総菜コーナーよりもカツの価格設定が優しい。ちなみに昔は「全部乗せ」なる裏メニューがあり、メガ盛りカレーの聖地として崇められていたのですが、現在は廃止となった模様。
手術室のように白い壁や机、蛍光灯が印象的。ゲストは全員が中年男性の1人客であり、店員は元気いっぱいでチャキチャキと作業をこなしている中、客は皆、黙々とカレーを貪り食っており、かなり独特な雰囲気です。
スプーンが突っ込まれたお冷に謎の小さな白いカップ。これはスープか?ソースか?コーヒーか?とおっかなびっくり口をつけてみると、恐らくはコーヒーです。しかしながら仮にコーヒーだったとして、それは私がこれまでの長い人生において最も不味いコーヒーであった。
本題のカレー。白米を盛り付けルーを流し込み、カットしたカツを乗せた上でもういちどカレーをトッピングします。ルーでカツをサンドイッチするイメージです。ルーは粘度の高いドロドロとしたものであり、スパイス感には乏しく、一方で挽肉由来のコクが感じられました。学食や社食などで食べるカレーに似た味わいです。
カツは揚げ油が良くないのか、ジャクジャクと胸に残る味わいであり、まあ、150円のトッピングであればこんなもんかという味わいです。ちなみにお隣のオッチャンは「カツカレーにシュウマイ乗せで」というメニューにないものを注文しており、そのシュウマイは衣を身にまといガッツリと油で揚げられたものでした。
お会計は650円。都内で食べるカツカレーとしては安いほうかもしれませんが、やはり家庭料理の延長であり、電車を乗り継いでわざわざ食べに行くほどではないかもしれません。近隣住民や勤め人向きの、日常に溶け込んだカツカレーでした。
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- ケンゾーエステイトワイナリー /六本木 ←野菜が溶け込み甘さを感じる一方で、きちんとスパイスが立っている本格派。
- 香妃園/六本木 ←六本木で遊ぶのに知らないのはモグり。
- ルソイ/目黒 ←インドやスリランカまでスパイスを買い付けに行くカレーマニアが太鼓判。
- 東洋軒/赤坂見附 ←和牛の脂のコクが凝縮され、果物の甘味で包み込み、スパイスでキリリと〆るブラックカレー。
- スパイスボックス(Spice Box)/神田 ←日本人の口に合う本格派。ボリュームが心底満点。
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