ランチは税別で2,500円~と強気。私はスペシャリテである牛肉のタルタルが含まれる「タルタルランチ」を注文。3,500円です。
「この前、CAをナンパすることについて色々書いてたけれど」彼女は眉根に皺を寄せながら言う。「それってANAの話でしょ?あっちはCAも客も年齢層が若いからナンパが成立するんだって。JALはCAも客も高齢化が進んでるから、ナンパについてったなんて話、全然聞かないんだけど」彼女は小さな角を生やした。CAをナンパするならANA、CAをナンパするならANA。私の心の手帳に格言が深く刻まれた瞬間である。
「本日のスープ」はカボチャでした。カボチャのスープは甘味が悪目立ちすることが多いですが、当店のそれは塩気と旨味が支配的であり、食事で頂くものとしては最適。かなり私好みの味わいでした。
じゃあさ、パイロットとCAって何かあったりするの?AVでそういう設定のもの多いけど。彼女は軽蔑を具現化した眼差しを私に向けながら答える。「あのねえ、言っとくけど、コックピットとキャビンは仲悪いからね」ここで言うコックピットとはパイロットを指し、キャビンとはCAを指します。
スペシャリテの「タルタルステーキ」。当店は保健所より「認定生食用肉取扱者等施設」として認定されているため、熟成肉の生食が可能なのです。旨味の強い熟成赤身肉を店内でミンチし、エシャロットやケッパー、卵黄などで味覚を整えます。ほう、旨いじゃないか。目黒「セラフェ(Cellar Fête)」で食べたそれに比べると段違いに美味しく、量も多く感じました。やっぱり混雑したディナーだとバタついちゃうのかな。
付け合わせの「雪室熟成フライド ポテト」は揚げたてのホクホク。素材そのものの良さがダイレクトに伝わり相当美味しい。「サラダ」もつくと聞いていたのですが、左上の葉っぱ数枚がそれとのことだったので少しサゲ。
「出発前にカンタンな打ち合わせがあって、これこれこういうタイミングでサービスが忙しくなるって言ってるのに、全く聞いてないの。パイロットのどちらかがトイレに行きたい時は、操縦席に残されたパイロットが悪さしないかを見張る規則があって、CAをひとり操縦席に置かないといけないんだけど、サービスでめっちゃくちゃ忙しくなるってタイミングで『トイレ行きたい』とか言われるとしばき倒したくなる」
ランチ時のアルコールは500円。サービス価格と言えどもタルタルにキッチリと合う1杯でナイスです。セラフェのふざけたワイン選びは何だったのか。
「グレープフルーツジュースは量が限られてるのね。あたしたちはお客様のために取っておきたくて何とかやりくりしてるってのに『新しいの開ければいいじゃん』とか無神経に言ってくる。でも、日本のエアラインはマシなほうで、中東系のコックピットは神様扱いよ。シートベルトが外れたら真っ先にコックピットにご機嫌伺いしなくちゃいけないんだって」
パンはまあ、普通です。これぐらいプレーンなほうが生肉と食べるには丁度よいともいえる。「パイロットはひとりひとりが中小企業の社長みたいな姿勢で天上天下唯我独尊。安全について拘りはあるみたいだけど、あまりお客様のことを考えてる印象は無いなあ」
ちなみに、昔は長い国際線を飛んだ到着日にパイロットとCAみんなで食事に行くみたいな文化があったらしいですが、同時多発的なアルコール問題で「渡航先では飲酒NG」という自主規制が敷かれることとなり、自然とそういった文化などは廃れ、パイロットとCAは接点が完全に無くなったそうです。
「結局、コックピットとキャビンでは目指してるゴールが違うから、構造的にわかり合うことはできないのよ」彼女はたっぷり3秒は溜息をついた。
酒と税金を入れてお会計は4,400円。料理は悪くないけれど、ちょっと高いかなあ。少なくともフランスのビストロであれば同等のランチが20ユーロ代で食べることができることを考えると割高に感じました。お得なランチでこうなのだから、夜はより厳しい戦いを強いられるかもしれません。
また、食後のコーヒーのミルクがコーヒー・フレッシュであり、飲食店としての矜持が感じられずサゲ。少なくともランチで4,000円を超えるフランス料理屋で出すべき液体ではないでしょう。
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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。