鮨富士/すすきの(札幌)

すすきのは狸小路アーケードに直結する雑居ビル3階。相当に古い建物ですが丁寧にメンテナンスされており、共用のお手洗いなどは非常にキレイ。
カウンター8席とテーブルが1卓の小さなお店。厨房とカウンターの仕切りは低くシームレスに繋がっており、大将の握る姿が良く見える。工藤真也シェフは札幌「すし善」や銀座「銀座鮨処順」などで修行し2008年に独立。
始まりの小鉢は何故かポテサラ。決して不味いわけではありませんが、意図は不明。
芽ネギを巻いているのはマツカワ。カレイの中であり、ヒラメに負けない美味しさ。クリアな味わいながら旨味も強い。奥はヤナギノマイ。ソイの仲間であり歯ごたえが良くクセがない。
ホタテも清澄な味わいであり、ややもするとコンパクトに感じるかもしれません。ちなみに添えられたワカメの緑の味が濃く、ポン酢でサッパリとたべて美味。
お酒はサッポロクラシックに始まり日本酒をいくつか。1合700円台〜と良心的な価格設定であり、ガンガンと飲める設計です。
マグロは函館の戸井産。津軽海峡の北側に面した注目の漁港で、海峡を挟んで南側が青森の大間にあたります。赤身は肉のような強い味わいがあり、トロは脂がしつこくなくサッパリと旨い。
カニのほぐし身をトッピングした冷製の茶碗蒸し。キノコの風味や海鮮の出汁が強く美味。
カニやタコ、クジラ、クラゲ、ホタテなど海の幸が一堂に会します。ミョウガのシャキっとした食感が引き立て役。
海鮮サラダ(?)でしょうか、北海道産の真っ白なトウモロコシや万願寺唐辛子。ヒラマサが旨い。 ただし肉の存在は謎。北海道の牛肉(忘れた)なのですが、ただただ固く旨味も抜けておりゴールが見えません。
にぎりに入りましょう。まずはスルメイカ。スルっと柔らかく甘みが強い。北海道産の山わさびが乙な味。
日高の定置網漁業で漁獲される天然秋鮭ブランド「銀聖」。これがシャケかと思うほど上品な味わいであり、ブラインドで食べれば鮭と答えられないかもしれません。他方、鮭特有の脂や旨味は薄く、上品すぎるきらいもあります。
ガリはショウガを丸のまま着けて、その場でスライスしてくれる私好みのタイプでした。
ワラサ。若いブリであり脂のノリは中程度。心のある身の旨味に舌鼓。
利尻のウニ。美味しいのですが、この量の少なさは何なんだ。普通のシャリのサイズに軍艦巻きで、磯の風味をきかせて食べたかった。
お椀はこれでもかというほど海藻が投入されており、ちょっとグロいです。
シンコ。仕込み具合は申し分ないのですが、身が薄く食べごたえに乏しい。もう少し枚数を増やしてくれると嬉しいな。
エビは甘エビとボタンエビを同時に。美味しいのですが、同時に提供する意図は不明。1本づつ食べ比べたほうが味わいにグラデーションがでて楽しいと思うのだけれど。
玉子は焼きたててホンワリと温かく優しい味わい。
松茸。見た目通りの味わいであり、香りは良いのですが鮨のタネとするには微妙かもしれません。

ここで大将の手が止まったので、あ?え?これで終わり?というヘンテコなフィナーレでした。穴子や巻物など終わりを予感させるものが無かったため、心の準備ができておらず不完全燃焼です。

お会計はひとりあたり1.5万円と、カウンターに座って食べる鮨にしては安いほうでしょう。しかしながら記憶に残る逸品というものは無く、少量他皿の料理が淡々と終わった感覚です。もうちょっと値段が高くても良いから、迫力のあるストーリ仕立てが良かったなあ。酒は安いので、飲み中心のつもりで訪れると良いでしょう。


食べログ グルメブログランキング

関連記事
鮨は大好きなのですが、そんなに詳しくないです。居合い抜きのような真剣勝負のお店よりも、気楽でダラダラだべりながら酒を飲むようなお店を好みます。
この本は素晴らしいです。築地で働く方が著者であり、読んでるうちに寿司を食べたくなる魔力があります。鮮魚の旬や時々刻々と漁場が変わる産地についても地図入りでわかりやすい。Kindleとしてタブレットに忍ばせて鮨屋に行くのもいいですね。