「ファーストクラスで世界一周できたカラクリ」に記した通り、ワンワールド系のファーストクラスにはそれなりに乗ってきたのですが、灯台下暗し、JALが提供する「国内線ファーストクラス」には乗ったことがありませんでした。
それもそのはず、「国内線ファーストクラス」の路線は極端に少ないんですね(画像は公式ウェブサイトより)。試しに乗ってみたいなあ、どうせ乗るなら長距離の那覇かなあとポチポチ検索し、那覇→羽田で3万数千円というお買い得なチケットが見つかったので即予約。ちなみに当日に空席がある場合は8千円でアップグレードできるそうです。飛行機に乗り込む前にラウンジへ。国内線は「ダイヤモンド・プレミアラウンジ」と呼ぶそうです。国際線だと素直に「ファーストクラスラウンジ」と呼ぶのでややこしい。入り口はいつもの「サクララウンジ」と共用で、受付を済ました後に二手に分かれます。
左が「ダイヤモンド・プレミアラウンジ」、右が「サクララウンジ」であり、ご覧の通り「ダイヤモンド・プレミアラウンジ」のほうが狭い。もちろんファーストクラス客やそれに準ずる客(JALやワンワールドの最上級会員)は絶対数が少ないという理由からでしょう。
なのですが、ラウンジ内は結構混んでいました。時間帯にも拠るでしょうが、私の経験上では「サクララウンジ」のほうがゲスト1人あたりの面積では勝っているような気がします。もちろん子連れ客は極端に少なくなるため静寂は確保されるのですが、この逆ザヤ現象は何だかなあ。
ビールは「サクララウンジ」に比べると格上のラインナップ。私は飲み屋であまりに見かけない「アサヒ熟撰」をチョイス。国際線「ファーストクラスラウンジ」とは違ってワインなどは置かれていません。
「サクララウンジ」に置かれる食べ物はあられミックス程度ですが、「ダイヤモンド・プレミアラウンジ」には軽食がいくつかありました。とは言えパンとおにぎり、スープが2つ程度であり、このラインナップだけで食事を済ますのは難しいでしょう。もちろん機内でも食事が出るので、これで充分と言えば充分かもしれません。
「JAL特製焼きカレーパン」と「青パパイヤスープ」を頂きました。カレーパンは国際線ラウンジの「JAL特製オリジナルビーフカレー」をベースに開発した具だそうで、フォカッチャ生地で包みサックリと焼かれており、カレーパンとしてはかなり美味しい部類でしょう。油で揚げてないので罪悪感も小さい。他方、スープは食べ放題のスープ味でした。
せっかくなのでトイレも。ダイニングエリアもそうですが、「サクララウンジ」と仕様はほとんど変わりません。大きな違いとしては「子連れ客が少ない」だけであり、ラウンジとして激しく魅力的かと問われると答えは中くらいです。ラウンジにはあまり期待せずにどうぞ。
搭乗時刻が近づいて参りました。搭乗順序は一般的に「①車椅子など足腰の弱い方→②妊婦や子連れ→③ファーストならびに超上級会員→④中くらいの上級会員→⑤その他」ですが、今回は③と④をまとめての案内です。それにしてもわかりづらい。普通の人に「ダイヤモンド会員」とか案内してもわからんだろうに。ANAみたいに「グループ1の方~」って案内すればいいのに。
今回は767-300ER型機だったので、ファーストクラス座席は5席のみです。安定飛行に入ればカーテンがシャっとひかれ、トイレを5席で専有できるので快適。なのですが、国内線なので結局トイレに行くことはありませんでした。
ちなみに767-300ER型機だと2席ずつ7組で14席です。
搭乗しました。シートは高品質な本革であり、ヌメヌメとした肌触りがクセになります。足は伸ばし放題ですが、フルフラットにはなりません。もちろんすぐに到着するのでそこまでする必要もありません。
毛布は一般的なものよりも上質。機内用のスリッパも完備。コンセントは無いのですが、USBで繋ぐ特大のモバイルバッテリーが各席に配備されていました。こういう割り切った考えは割と好き。
国際線ファーストだと搭乗してすぐにウェルカムドリンクを頂けますが、国内線ファーストでは安定飛行に入ってから飲み物がサーブされます。「Cuvee Jean.Baptiste」というブランドノワールであり、一般ウケが求められる飛行機ドリンクの中ではかなり攻めたセレクションと言えるでしょう。
食事は冷やし中華でした。便によっては超有名店とのコラボ料理が供されるのですが、今回はノーマルバージョン。カニとローストビーフがトッピングされているのが斬新ですが、本質的にはセブンイレブンのそれと大差ありません。オマケのエビチリはエビのサイズと食感がマーベラスであり、主役を喰う美味しさです。
冷やし中華の方向性からトマトジュースのほうが合うのではないかと考え「トマトジュース岳人」を頂く。北海道は余市町の渡辺農園産のものであり、とにかく濃厚。トマトよりもトマトの味が強く、ここまで美味しいトマトジュースには中々巡り合えません。
コーヒーも相当美味しい。コーヒーハンター川島良彰の全面協力のもと開発された1杯であり、純喫茶で提供される1杯1,000円のコーヒーに比肩する高貴さです。酸味の強いコーヒーはあまり好きではないのですが、これは別格。見事な味わいでした。
2時間半で羽田到着。「ファーストクラス」というネーミングではありますが、その内容は国際線ビジネスクラス以下であり、ANAの国内線プレミアムクラスと同等のクオリティでした。ANAの国内線プレミアムクラスとの大きな違いは「路線が少ない」「国内線ファーストクラスラウンジが利用できる」であり、やはり短距離路線での品質の追求は限界があるのかもしれません。
それでも+8,000円で上記の快適性を買えることにつき、新幹線のグリーン車に係る追加料金に比べると大層お得に感じます。移動で食事を食べ損ねた際にアップグレードの空きがあれば、話のタネに試してみると良いでしょう。
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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。