現役のCAに聞く、機内でCAをスマートにナンパする方法

「最近すんごい飛行機乗ってるよね?相変わらず忙しいんだから」現役のCAは私の頬をつねりながら言う。歳は随分と下なはずなのに自然なタメ口。生意気な女だ。

ひとつだけ君たちに文句を言いたいんだけど。私は背筋を伸ばして言う。機内で預けたジャケットが返ってくるタイミング、変すぎじゃない?着陸直前に手渡されても着るわけないし、かといって膝の上で後生大事に持っておくのも邪魔でしかない。なんであんなタイミングで返してくるわけ?迷惑なんだけど。
「だってマニュアルにそう書いてあるんだもん」彼女は手をひらひらとなびかせながら悪びれもせずに言う。もう一歩踏み込めよ。マニュアルにそう書かれた理由を僕は聞いているんだ。
「うーん」眉間に皺を寄せたっぷりと考えながら彼女は言う。「たぶん、サービスをする最後のタイミングだからかなあ。それ以降はシートベルト締めてもらって、こっちも安全業務に集中しなくちゃいけないからさ」なるほどそう言われると、まあそんなもんかと納得してしまう。気弱なクレーマーである。

ナンパとかされることあんの?私はそういったことに全く興味はないのですが、読者の代わりに聞いて差し上げる。「そんなのしょっちゅうだよ。珍しくも何ともない。名刺もらって、そこに書かれたメールアドレスなりLINE IDなりに連絡する。食事ぐらいなら気軽に行くけどね」
会員ステータスとか、ファースト・ビジネスだとか、客を値踏みすることはあるの?「うーん、ステータスは『ダイヤモンド会員』と『その他』ってカンジかなあ。ダイヤモンド会員には毎回挨拶しに行かなくちゃいけないし、彼らは飛行機に乗る回数が圧倒的に多いから、他のフライトで再会するってことも珍しくないのね。『その他』のお客様とは接点が無いに等しいから、お客様以上の関係になることはまず無いなあ」それを値踏みというかどうかはわからないけれど、彼女は小さく付け加えた。
「エコノミー客にナンパされて応じることは無いなあ。だって、知らないんだもん。ビジネスクラス以上だとそれなりに会話する機会があるから人となりがある程度わかるけど、食事を配っただけで一言も話したことのないエコノミー客に名刺渡されても困惑しちゃう。余程のイケメンとか芸能人だとかなら話は別だけど、それは飛行機だろうか街中だろうが同じことね」
ダイヤモンド会員じゃないしエコノミークラスなんだけど、どうしてもナンパしたい場合とかはどうすればいいの?私はそういったことに全く興味はないのですが、読者の代わりに聞いて差し上げる。
「機材にもよるけど、一番後ろの席かなあ。最後尾だけ席の並びがヘンになって、謎にCAとの距離が近くなる場合があるのね。加えて降りる時にも時間がかかるから、自然とCAの近くにいる時間は長くなって、声をかけ易いと言えばかけ易いかも」その席をわざわざ狙って必死に絡んでこられても困るんだけどね、あたしたちは仕事中なんだから。彼女は牽制球を投げるのを怠らない。
「要注意なのはアップグレード客。普段ビジネスに乗り慣れてる人はそんなことないんだけど、アップグレード客は何が何でも全サービスを堪能してやるんだっ、っていう意気込みが凄いから、お酒のメニュー全制覇とかにチャレンジしてくるわけ。泥酔したり吐いちゃったりするとお互いに悲劇だから、サービスで気を付けるよう最初からマークしてる」
「まあ、お客様と付き合うCAなんてザラにいるし、結婚することも珍しくないよ。全然ハードル高くないから今度声かけてみたら?でも、同伴客としてファーストクラスラウンジとかに連れて行ったりはしないでね。この前それが会社にバレて大問題になった子がいるからさ」

私はそういったことに全く興味はないのですが、読者の代わりに今度声かけてみようかなあ。

【続きの記事はコチラ】


食べログ グルメブログランキング

人気の記事

「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。