焼鳥今井/外苑前

ワインスクール講師と飲み。「ワイン系より居酒屋系、どうでしょ?」というリクエストだったので、評判の焼鳥屋をピックアップ。食べログは3.85(2019年8月)で百名店入りも果たした勢いのあるお店です。
今井充史シェフは高級焼鳥のはしり銀座「バードランド」、北千住「バードコート」を経て千駄木の地で独立。その後、外苑前へと拡大移転。30席と焼鳥屋としてはかなりの大箱。それでも全席2回転で満員御礼と大人気です。
アウトサイダーブルーイングのIPAで乾杯。ホップの香りが素晴らしく、程よい苦味も食欲を刺激します。ただし1,200円というのはこのグラスではチト高い。
6,800円のコースを注文。自家製レバーのパテは見ての通りの美味しさなのですが、パンの複雑味が心に残りました。どこから仕入れているんやろ。
サラダはあ、いわゆる普通の葉っぱです。
磯辺焼き。胸肉(?)に軽くタレを塗り、ワサビをトッピングして海苔で包んで頂きます。美味しいのですが、ややパンチに乏しい。もうちょっと強めのタレのほうが私は好き。

淡白な鶏肉に合わせて連れが白ワインを注文しようと店員に声をかけると、「甲州とブルゴーニュ・ブランとシャルドネがございます」との提案。思わず顔を見合わす我々。細かな説明は省きますが、レンタカー屋で「マーチとトヨタとプリウスのどれにしますか?」と言われるのに似た違和感です。
「ブルゴーニュ・ブラン?つまりシャルドネって意味ですか?」プロ中のプロがカドが立たないように確認すると「いえ、ブルゴーニュ・ブランです」と言い切る店員。ブルゴーニュ・ブランというブドウの品種があると仰っている?と私も丁寧に訊ねるのですが、「その通りです(ドヤ」と、腹が立つほど元気な声で自信満々に回答されました。この店のワインは絶対にヤバいと判断し、ハートランドを注文。
レバー。やや火入れは強くホクホクとした食感。清澄な味覚で美味しいのですが、個人的にはもうちょいレアのほうが好き。
つくねもプレーンな味わいに調味もごくごく薄い。なるほど当店は味付けはコンパクトなものに留め、なるべく鶏そのものの味わいを楽しむお店なのかもしれません。
甘長唐辛子。強めに火を入れやや焦げた外皮が大人の味。ジューシーで緑の味が強く美味。
砂肝はコリコリと食感を楽しむ1本。芸風の違いなのでしょうが、私はもっと大ぶりなカットでムシャムシャと貪り食う方が好きかもしれません。
うずらの卵はトロンとした食感が半熟英雄です。黄身の味が濃厚であり、本日一番の1本でした。
ズッキーニ。面白い試みではありますがプレーンな味覚であり、あまり印象に残らず。

ワインは絶対に避けようと誓い合い発泡性の日本酒を注文。するとさっきと違う店員が恭しく説明を始めました。「これはシャンパーニュと同じ瓶内二次発酵なので酵母が生きているんですよ」。
『なので』は絶対におかしいでしょう。何のためにデゴルジュマンという工程が存在すると思ってるんだ。もちろん酵母が生きたままのシャンパーニュというものは、私が知らないだけでこの世のどこかに存在するのかもしれませんが、そのような例外的なものを取り上げて汎化するだなんて!!!「もういいよ、たぶん何言っても無駄だから」どうどうどうと、彼女は私の肩を叩く。
シャモミックス。シャモの色々な部分が組み込まれており、食感や味わいの変化が楽しい。
シシトウもやはり強めに焦がしており、シシトウのぬらりとしたエキスと共にアダルトな味覚です。
丸ハツ。素材としては迫力のあるもののはずですが、ちょろりとした塩のみでの味付けであり非常にシンプルに感じました。
カボチャもガリっと焼いております。ホクホクとした甘味に恵比寿顔。
もう少し飲もうと竹鶴を。日本酒は1合で1,000円~と、他のアルコールよりも値付けが控えめに感じられました。
せせり。ゴリゴリした食感にたっぷりの脂。調味も強く、私得の仕様です。
「最後は焼チーズ」と聞いてきたのですが、衝撃的な1本。ゴーストバスターズのスライムのような造形です。しかしながらモッツァレッラ系のチーズであるらしく、くるくると回転させれば水あめのように串にまとわりついてきちんと食べやすい。アイデア賞な1本でした。
〆は焼鳥土鍋まぶしご飯です。ガッツリと男前な盛り付けで大食いの私にとっては嬉しい限り。鶏肉もしっかりと組み込まれており調味も強い。最後にガッチリと満腹中枢を押さえてくれる素敵なお食事でした。トマトのスープは悪くはないですが、ここは鶏のスープを頂きたいところ。

お会計は1万円強。うーん、ちょっと高いなあ。焼鳥はそれなりに美味しく量もたっぷりなのですが、サービスが全般的に混乱をきたしており客単価1万円の接客ではありません。やたらとグラスや皿を下げたがる傾向があり、「まだ飲んでいます」「まだ食べています」といちいち引き留めなければならないのが気まずい。我々は2回転目で後がつかえているわけではないのに何をそんなに急いでいるのか。

また、酒については黙って出されればコチラも黙って飲むのですが、付け焼刃の知識で知ったような口をきかれると全力で突っ込みたくなってしまいます。もちろんどこかにワインに詳しい人がいるのでしょうが、伝言ゲームが繰り返され末端の店員においては意味不明状態に。サービスがこのレベル、かつ、賑やかなカウンター席のみなので、接待などではちょっと厳しいかもしれません。お酒の飲めない焼鳥友達と共にビールか安い日本酒で訪れるのがベストでしょう。


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イタリア料理屋ではあっと驚く独創的な料理に出遭うことは少ないですが、安定して美味しくそんなに高くないことが多いのが嬉しい。

それほど焼鳥に詳しいつもりは無いのですが、私のコメントが掲載されています。食べログ3.5以上の選び抜かれた名店を選抜し、お店の料理人の考えを含めて上手に整理された一冊。

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