泡はカヴァが4,500円~と絶対額が安く、「エスキス(ESqUISSE)」に比べると随分とカジュアルに感じます。恐らくは上階のセカンドライン的な位置づけなのでしょう。村島輝樹シェフは銀座「ル・マノアール・ダスティン」や恵比寿「モナリザ」、梅田「ル・コントワール・ド・ブノワ」などで活躍し、台北「L’atelier de Joël Robuchon」ではスーシェフを務めました。
アミューズは稚鮎のフリットにキュウリ・ナス・ショウガ。稚鮎のフリットは、まあ稚鮎を揚げたよねという味わいで普通に美味しいのですが、キュウリは全然ダメ。妙に青臭く、今後のストーリー展開に暗雲が立ち込めました。
前菜は「人参のムースとコンソメジュレ ウニ添え」。おおー、これはまさに銀座「ル・マノアール・ダスティン」のスペシャリテそのまんまじゃないですか。品の良いニンジンのコクに鶏肉の強い旨味、ウニの官能的な味わい。発達した積乱雲のようにボリューム感もあり、本日一番のお皿でした。
パンはまあまあでしたが、バターはあまり美味しくありません。
ところで当店のサービス陣はあまりタイプではありません。イケメン揃いで雰囲気はあるのですが、化粧でもした美容師のようにナヨナヨしており、背筋を伸ばしてハキハキと振舞ってくれません。もっとしゃんとせい。
お魚料理はノドグロ。焼いたそばから脂が溢れてきそうなメタボ体質。ほんの数ミリ口に含んだだけでジューシーさが爆発し、素材の勝利である。ソースはクラシックなもので好きな味わいなのですが、この魚に合わせるには互いに少々もったいない気がしました。
メインは鶏肉。皮はバリっと、身はしっとりと。メリハリのある調理で王道に美味しい。プレゼンテーションに比べて随分と硬派な味わいで驚きでした。盛り付けはブランドイメージに沿ったものなのかな。
デザートはチーズケーキとのことですが、チーズの風味はほとんど感じられず、これまでの料理に比べると相対的にイマイチに感じました。
小菓子とコーヒーを飲んでごちそうさまでした。
雰囲気やサービス、プレゼンテーションはさておき、シェフの味付けの方向性はすごく好き。一国一城の主となってクラシック寄りの料理を出すようになれば、通い詰めたくなるほどタイプです。
ランチのコースと一番安い泡をふたりで飲んで2万円弱でした。立地にブランド力、料理の質を考えると大変お買い得です。それなのにこの空席の多さは何なのでしょう。ランチは常時満席になってもおかしくない実力なのになあ。飲食店経営って難しい。このビルのテナント、入れ替わり激しいから、風水がよくないのかな。
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- ナベノイズム ←世界観がきちんとある。
- ル・マンジュ・トゥー/神楽坂 ←接客は完璧。料理は美味そのもの。皿出しのテンポも良く、とにかく居心地の良いお店。客層も好き。
- TAIAN TOKYO(タイアン トウキョウ)/西麻布 ←流行り廃りに捉われないマッチョな料理。
- ラフィナージュ(L'affinage)/銀座 ←王道中の王道。銀座とは考えられない値付け。
- ル・マノアール・ダスティン/銀座 ←まさに正統。
- SUGALABO ←料理だけなら一番好きかも。
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