リストランテ濱崎/外苑前

濱崎龍一シェフは山田宏巳シェフに師事した後に渡伊。帰国後は乃木坂「リストランテ山崎」で料理長を務めた後、2001年に独立(写真は公式ウェブサイトより)。人を威圧するようなリストランテではなく、温かみのある雰囲気の小さなお店です。
カデルボスコは1万円弱、その他のグラスワインは2千円~とお酒は結構お高めです。コースが始まる前にシェフが来て下さり、体育会もかくやと思わせる大きな声で溌剌とご挨拶。
最初の一口はおなじみチーズの薄焼き。粉チーズをフライパンで溶かして冷ますという単純な調理ではありますが、なかなかどうして酒のツマミにはピッタリ。
豪華な前菜盛り合わせに嬌声があがる。11時から時計回りにフェンネルのサラミ巻き、水牛のモッツァレラにトマト、ワカサギの南蛮漬け(だっけ?)、スイカに薄焼きパン、アナゴの南蛮漬け(だっけ?)、ヒラタケの天ぷら、タコ、中央はトウモロコシのスープ(ムース?)。いずれも泡のツマミとして優秀な出来栄え。最初におつまみセットがジャーンと出て、のんびり酒を飲みながら料理を待つスタイルって素敵。
パンはシンプル。断面に焼き目をつけている点を除いては特徴に乏しいものでした。
コンソメのジュレ。まさに味わいだけといった半固体であり、これを1皿の料理として持ち出すのは面白い。旨味が強く、カロリーオフながら満足感は抜群。
青森県産のシラウオのパスタ。シラウオとパスタのどっちが量多いねん、というほどにシラウオに満ちた一皿であり、この日は人生で最もシラウオを食べた一日になりました。磯の香りに満ちたスープ旨し。
チーズたっぷりのショートパスタ。もっちりくっきりした歯ごたえで茹で加減はパーフェクト。濃厚なチーズの旨味は万人受けする味わい。小麦粉とチーズだけのシンプルな皿なのに人をここまで満足させる。まさに料理とは芸術なり。
お魚はハタ。丁寧にポワレしアメリケーヌソースで調味します。魚の肉質がむっちりと最強で、まるで陸上動物を食べているかのような錯覚。先のパスタも然り、シェフはムチっとした食感が好きなのかな。僕もグラドルが大好きなので(特に川村ゆきえ)気が合うかもしれません。
お魚に合わせてはフリウリのシャルドネ。樽が強く濃密ながら繊細な味わい。これがイタリアの白かと驚愕する味わいでした。ちなみに魚料理が出るのに結構時間がかかっていたので、「お待たせして申し訳ありません!もう少しおつぎします!」とソムリエが注ぎ足していったのですが、それにもしっかりと1杯の値段がつけられていました。超有料かよ。
お口直しはパイナップルのソルベ。お口直しの氷菓は惰性で食べることが多いですが、こちらはきちんとパイナップルパイナップルしてて純粋に美味しかった。
メインはもちろん「リストランテ山崎」時代からのスペシャリテ「ウズラのグリル ハチミツとバルサミコ風味 ニンジンのスフレ添え」。筋肉質でクリアな味わいのウズラに丁寧に下味がつけられており、炭火でガリっと焼き上げます。計算された焦げ目の苦味とハチミツの甘さ、バルサミコの酸味が良く合う。
赤ワインはグラスで料理に合うものをお任せしたのですが、エレガントなバローロと重厚なトスカーナを半量づつで提案して下さいました。ネッビオーロはそれほど好きな品種ではないのですが、この1杯は格別の味わい。タンニンが非常に円やかで酸も上品。草や土などスパイシーな香りも見事です。
テーブルの上にグラスがいっぱいあるって楽しい。
デザートは盛り合わせで。マンゴーのスープの手間のフワフワした何かがとても美味しかったので、次回は盛り合わせでなくこれ単品を狙いたい。
上質なエスプレッソで〆てごちそうさまでした。

全体を通してオーソドックスな料理が続き、高品質な素材に愛情をもって接している空気が濃密に感じられました。お会計はひとりあたり2万円超と、イタリアンのランチとしてはかなりの支払金額となりましたが、そのほとんどは酒代でもあるため、上手く食べればリーズナブルに落ち着くでしょう。チャラついたギャルとオッサンのような客はおらず、食べるのが大好きな妙齢の女性客が多いのも好印象。次回は季節を変えた夜にお邪魔してみようかしらん。


食べログ グルメブログランキング

関連記事
イタリア料理屋ではあっと驚く独創的な料理に出遭うことは少ないですが、安定して美味しくそんなに高くないことが多いのが嬉しい。



日本のイタリア料理の歴史から現代イタリアンの魅力まで余すこと無く紹介されており、情報量が異常なほど多く、馬鹿ではちょっと読み切れないほどの魅力に溢れた1冊です。外食好きの方は絶対買っておきましょう。

関連ランキング:イタリアン | 表参道駅外苑前駅乃木坂駅