FARO(ファロ)/銀座



ブルータスのイタリアン特集を巡る旅は続く。今回はリニューアルしたばかりの「FARO(ファロ)」へ。「L'Osier(ロオジエ)」に続いて資生堂がお届けする最高級イタリアンレストラン。
立地はもちろん資生堂ビル。10階から優しいイタリアンの光を銀座の街へ照らします(ファロは灯台の意)。
リニューアル後は能田耕太郎シェフが厨房を統べる。長くイタリア本国で活躍し、自身の店ローマ「bistrot64」はミシュラン1ツ星を獲得。帰国後は日本の食材や食器などにもこだわりながら、独自のイタリア料理を展開します。
グラスの泡は1,700円〜と中々のお値段。もちろんこの立地この風格を考えれば妥当な価格設定といって良いでしょう。ミネラルウォーターはコース料金に含まれているとのこと。
お通しはチップス。なんの変哲もないゴボウやジャガイモの素揚げなのですが、クミンなどのスパイスを敷き詰めており、それと一緒に食べれば中々の味覚です。今度ホームパーティーで真似してみようっと。
パンはしっとりと保水され酵母の風味がガツんときいたうまたんまる。素朴ですが噛みしめるほどに味が生まれます

オリーブオイルは3種類用意されており食べ比べを勧めて頂きました。中央のものがトロっと濃厚で私好み。
前菜のフラワーボックス。「アルテレーゴ(ALTER EGO)」もそうでしたが、イタリアンにまで映えを意識する料理が増えてきました。味よりも見た目を食べる料理です。
とうもろこしと青唐辛子のリガトーニ。とうもろこしが文句なしの旨さ。焦げ目のついた香ばしさが味わいにグラデーションを与え、香りも良い。リガトーニは取り扱いが難しいパスタですが、完璧な茹で加減ならびに調味で大満足。語感ほど青唐辛子は入っておらず、ほんの少しアクセントとして利用されている程度です。
イシナギのポワレ。恐らく初めて食べる魚ですが、ムチっとした食感に、魚そのものの味わいがとても強い。それに負けないソースはズッパディペッシェ(魚介のごった煮)風でお見事。
シラー主体のロゼをグラスで頂きました。ところでソムリエがボトルを注ぎ切ることなくほんの数ミリだけを残した点につき(澱があるようなワインではない)、
話題のアカウントを思い出してしまいました。
テザートは「笹薫るアイスクリーム」ということで、アイスやジュレに笹の風味をたっぷりと注いでいるのですが、これが全然美味しくありませんでした。メロンだけはまあまあ旨い。締めくくりの意図が汲めず残念。
小菓子はモナカ。求肥を詰めるまでは良いのですが、これまた謎のスパイス(?)なども忍び込ませており、ものすごく別々に食べたく感じました。当店は甘味に課題があるかもしれません。
短いコースにグラスワインを1杯、税サを込めてひとりあたり9,000円程度。お店の格ならびに銀座という街、サービスレベルの高さを考えれば悪くない価格設定ですが、9,000円のランチとして面と向かうとやや物足りない感じもします。やはりこの手のお店はケチらずワインがぶがぶ系でいかなきゃいけませんね。次回は夜に、ワインペアリングをつけて臨みたいと思います。ちなみにボトルワインも派手な値付けではなく納得感のある価格設定でした。


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