ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ。世界最高峰の料理人のひとりであるポール・ボキューズが展開するブラッスリーのライセンシーなのです株式会社ひらまつは。まあそういった肩書はさておき、閉館後の国立新美術館に潜入できるのはこの上ない興奮。私がヘンな所に紛れ込まないように、警備員がゲートからレストランまで案内してくれます。
泡と共にバゲット。添えられるのはバターではなくカレー風味のするフムス的な何か。パンに塗りたくるペーストとして非常に優秀な味覚であり、この時点で既に満足してしまう魔力があります。
フォアグラのソテー。ポレンタ(トウモロコシのペースト)を土台とし、フォアグラとグレープフルーツ、ポテトチップスをトッピング。いずれもベーシックな味覚であり外すことはありません。脇に添えられたグレープフルーツの皮のコンフィチュール(?)の苦味が良かった。
魚料理はスズキのロースト。スズキの味覚も基本に忠実であり、付け合わせのホワイトアスパラガスとホウレンソウもまさにビストロといった味わい。気取らず初心は損なわず、印象の良い料理でした。
合わせるワインはブル白。樽の風味がバァンと効いて迫力がありました。
肉料理は仔牛のヒレ肉。衣をつけて揚げ焼きでカツレツ風です。焦がしバターのソースにケッパーのアクセントが大人の味。食感は柔らかくも食べ応えもあり、王道中の王道といった味覚でした。
ワインはサンセールの赤。赤系果実の風味がしっかりとしたストレートな味わいであり、その奥にミネラルもたっぷりと感じられ、先の控えめな牛肉にピッタリでした。
デザートはザッハ・トルテに牛乳のアイスクリーム。いずれも気をてらわず教科書通りに安心できる味わいです。
正統的なコーヒーを飲んでごちそうさまでした。
株主だからといって肩を持つわけではなく、普通に良いレストランです。そんなに高くない割にそこそこ旨い。ある種の雑さを兼ね揃えた、フランス料理らしいフランス料理です。キャビアやトリュフもいいけれど、フランス料理の神髄とはこういった素朴な料理にあるのではなかろうか。
加えて雰囲気が抜群にいいですね。夜の遊園地に忍び込むかのようなワクワク感に完璧なサーヴィス陣の身のこなし。圧倒的な非日常間。穴倉のようなカウンターフレンチもいいけれど、誰でも知ってる空間でヒネってくるセンスも見逃せない。まさに穴場と言って良いレストランでしょう。地味にオススメです。
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六本木は難しい街です。おっと思えるリーズナブルな店から、高くてギラギラしてるだけのハリボテのようなお店も多い。私が好きなお店は下記の通りです。
- 龍吟 ←和食というジャンルを超越した存在
- Takumi ←このコース料理で6,500円というのは安すぎ
- ル ブルギニオン ←質実剛健これが本物のフランス料理
- エディション コウジシモムラ ←スペシャリテの牡蠣は必食
- s`accapau ←最先端でカッコイイ
- アジュール45 ←さすがリッツ・カールトン、パーフェクトです
- ウルフギャング・ステーキハウス ←ランチのハンバーガーが絶品
- 霞庭まつばら ←素晴らしくバランスの取れた飲食店
- 豚組(ぶたぐみ) ←今のところ東京で一番好きなトンカツ
- 鮨西むら ←六本木の格調高い鮨屋でこの価格は見事
- RRR bistro ←シャンパーニュ飲むなら絶対ココ
- JEAN-PAUL HEVIN ←デザートに悶絶、食事もしっかり
- ラ スフォリーナ ←六本木のきちんと美味しいイタリアンでこの費用対効果は素晴らしい
- ラ ブリアンツァ ←全体を通して気前が良い
- クッチーナ イタリアーナ アリア ←この費用対効果の高さは異常