「このあたりで一番旨い食堂と言えば」ということで、泊港に隣接する船員会館近くにある「マルミヤ食堂」にお連れ頂きました。「定食は大体500円前後。一番高くて550円かなあ」
客層はタクシーの運転手や作業着姿のガテン系が中心。テーブルが数卓に小上がりの座卓があります。まさに食堂といった雰囲気であり、恐ろしく愛想の無い店員がちょっとしたスパイスです。
一番人気の「煮付け定食」を注文。てっきり魚の煮付けが出て来ると思いきや、おでん的なものが出てきました。「沖縄で『煮付け』といったらこういう食べ物」と地元民は涼しい顔。「『ちゃんぽん』は中華丼みたいな料理だしね。白ごはんの上に餡掛けの野菜炒め的なものをかける」なるほど長崎ちゃんぽんの接頭に「長崎」を付けるのも意味があるのだ。
座布団のような造形の豆腐。首里の岸本豆腐という名店のものを使用しているらしく、弾力があり密度が高い。味もしっかりと染みており、豆腐がゴハンのオカズとなる不思議。
主役は豚の三枚肉。東京の沖縄料理屋で注文すれば1,000円を余裕で超える圧倒的なボリューム感です。煮付けの風味はカツオやコンブが中心なのですが、豚肉のエキスも含めて炊き込んであるため、味覚が複雑化しています。濃厚でコクがある。
味噌汁は一般的な定食屋のそれです。ただし定食のメニューとして「味噌汁500円」なるものはあり、そちらを注文すると特大の丼に森のように具材が放り込まれ並々とスープが注がれ、それにゴハンなどが付随するそうな。そしてその仕様は沖縄の食堂においては一般的な仕様とのこと。
ゴハンはボソボソとした食感でイマイチ。ただしその欠点を補って余りあるほどのボリューム感。どうやら男性は大盛りサイズになるらしく、大食漢の女性は事前に申し出ておいたほうが良いでしょう。
いずれにせよ、これだけ食べて550円という価格設定というのは、カロリーの面としてはもちろんのこと、味わいという観点からも非常に費用対効果が良いと言えるでしょう。アクセスはあまり良くありませんが、泊港に用事がある際などの食事の候補としてオススメです。
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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。