アミューズからブーダン・ノワールと凝って来ます。豚ではなくエゾジカの血液を用いており、リンゴのピュレの爽やかな甘さがベストマッチ。
10種類近い前菜から2種選択できるので10分近く悩んでしまう。まずは「初夏の香り、鮎のガトー仕立てと胡瓜のサラダ」をチョイス。この時期限定のレアキャラであり、鮎を用いたムース、鮎の出汁とそのジュレ、肝をケーキのように仕立てたもの。これは凄い料理ですねえ。もちろん鮎そのものの味が強いのですが、まさにガトーといった造形であり、それでいてしっかりと旨い。この時点で当店は本物だと確信。
連れの前菜一皿目はスペシャリテの「人参のムースとコンソメジュレ ウニ添え」。ニンジンの風味が立っており、ウニが無くても充分に主役を張れるほどの味覚とのことでした。
バゲットは普通です。温かいでもなくバターにコクがあるでもなく標準的。
私の前菜2皿目は「帆立貝の温かなロワイヤル、帆立貝のクリームソース」。こんな贅沢な茶碗蒸しは無いというほどゴロゴロとホタテが詰まっています。ホタテの美味しさはもちろんのこと、生地までしっかりとした旨味が詰まっていました。
連れの前菜2皿目は「旬の美味しさ、鰯のティアン、ニース風 鰯のスープと共に」。撮影は彼女なのですが、さすがは私の愛読者だけあって、私とテイストが良く似た写真を撮ってきます。ちなみにこの皿には鰯の味覚を凝縮したスープが付随していました。
私のメインディッシュは「朝霧高原豚のパイ包み焼き」。
ナイフを入れると内容はミンチ肉でした。牛肉ほど野暮ったい風味は無く、クリアで清澄な味わい。白眉はソース。やや酸味を感じる濃密な味覚であり、やはりフランス料理とはソースであると再認識させてくれる味わいです。
連れのメインは「スズキのポワレ」。のはずなのですが、話が違うじゃないか、何だトップを飾るエビ・ホタテのフリットは!ぐぬぬ、このような仕様であれば私も魚料理をオーダーしたというのに。なんとも心地よい嫉妬心が生まれた瞬間でした。
ちなみに魚料理にはオマケでラタトゥイユもついてきます。オイルとエキスがきちんと乳化されており、絶妙なとろみと共に絶頂に達する味覚とのことです。
デザートはふたり揃って「とろける温製チョコレートケーキとヴァニラアイスクリーム」。これがもう、奇をてらっていない王道中の王道な味わいで真剣に美味しい。
異なる温度帯であるため別皿で供されるヴァニラアイスクリームも正統的な美味しさ。ややこしく奇抜な外観ばかりがもてはやされる昨今、こういった基本に忠実なスイーツに出会えると本当にう嬉しくなる。
小菓子はアボカドの一口スプーンにホワイトチョコレートの一口スプーン。小さいながらも存在感のある興味深い締めくくりでした。
これだけ食べて、料理だけだと5,500円です。奇跡かよ。もちろん斬新で映えまくる料理かと問われると少し違うかもしれませんが、直球ストレートで必ず美味しいと感じさせる力強さがあります。やっぱり「北島亭」や「ラブランシュ」「ル・マンジュ・トゥー」など、このあたりのオヤジフレンチ勢は心から美味しい。次回は夜にお邪魔したいと思いました。
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「好きな料理のジャンルは?」と問われると、すぐさまフレンチと答えます。フレンチにも色々ありますが、私の好きな方向性は下記の通り。あなたがこれらの店が好きであれば、当ブログはあなたの店探しの一助となるでしょう。
- ガストロノミー ジョエル・ロブション ←最高の夜をありがとう
- アピシウス ←東京最高峰のレストラン
- ナリサワ ←何度訪れても完璧
- ナベノイズム ←世界観がきちんとある
- ル・マンジュ・トゥー/神楽坂 ←接客は完璧。料理は美味そのもの。皿出しのテンポも良く、とにかく居心地の良いお店。客層も好き。
- ル・マノアール・ダスティン/銀座 ←まさに正統。
- SUGALABO ←料理だけなら一番好きかも
- エクアトゥール ←天才によって創られる唯一無二の料理
- ete(エテ) ←美食の行き着く先はお抱えの料理人
- レヴォ ←人里離れた場所にありながら、日本いや世界でもトップレベルのフランス料理店
- フロリレージュ ←間違いなく世界を狙える
- クレッセント/芝公園 ←グランメゾン中のグランメゾン。
- アサヒナガストロノーム/日本橋 ←そこらのフランス料理店とは格が違う。
- キャーヴ・ドゥ・ギャマン・エ・ハナレ ←世界を狙える日仏料理
- ティエリー マルクス ←料理の良さはもちろんのこと、ワインのペアリングが見事