古屋賢介シェフはフランス、スイス、ベルギーの星付きレストランで研鑽を重ね、ベルギー「オー・ガストロノム」の料理長を2年務めました。当店はその暖簾分けという位置づけです。
夏も近づき、白ワインの美味しい季節となりました。店内はテーブルが4つのみとコンパクト。シンとした上品さのある内装です。
まず初めにグリーンアスパラガスのスープ。緑の濃い味わいにサマートリュフの芳醇な香りが素晴らしい。調味は結構強く、冷たい液体の割に食べ応えのある1杯でした。
フォアグラのテリーヌはベーシックな味わい。コッテリと滑らかな脂が実に美味しい。白眉は付け合わせのサラダ。別に何てことのないサラダなのですが、色合いが良く調味も抜群。人はこれをセンスと呼ぶ。
パンにはバターと、豚の脂が用意されます。アツアツのパンに豚の脂を乗せ少々の塩をかけると美味、のはずだったのですが、この豚の脂に独特の臭みがあり、私は好きじゃありませんでした。パンは複数種用意されており、いずれも最高レベルの味わいでした。
お魚料理は宇和島の真鯛。個体の特性なのか調理に因るのかは不明ですが、火入れの頂点を過ぎてザキザキとした食感に変性しておりピンと来ません。ソース・シャンパーニュはグッドです。
メインはイベリコ豚の肩ロース。個人的にイベリコ豚は生ハム以外の調理(?)方法は好まず、今回もあまり好きじゃありません。脂の金属っぽい風味が苦手なんです。まあ、好みはひとそれぞれ。シェリービネガーソースとムースリーヌ・ド・ポム・ド・テール(上品なマッシュポテト)は見事な美味しさでした。
合わせるワインはブルゴーニュ。このワインのチョイスはかなりセンスが良い気がします。しかもグラスで1,400円程度と良心的。
デザートは様々なトロピカルフルーツにグリーンピース。美味しいのですが、グリーンピースの緑の風味は余計に感じました。
メインのデザートは温かいブラウニーにシチリア産ピスタチオのアイスクリーム。これはべらぼうに美味しいですねえ。ブラウニーが発する真実味のあるカカオの風味が私の好みを突いて来ます。ピスタチオの味覚も複雑であり、本日一番のお皿でした。
お茶菓子とエスプレッソで〆てご馳走様でした。お会計はひとり7千円弱。これは大変リーズナブルですねえ。1万円を超えたとしても納得する食後感の良さです。今回はたまたま好きじゃない食材(個体?)に当たってしまいましたが、ソースづくりに係る無謬性は間違いありません。本物のフランス料理です。次回は夜に、リクエストを事細かに伝えてから行ってみようっと。
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- ル・マンジュ・トゥー/神楽坂 ←接客は完璧。料理は美味そのもの。皿出しのテンポも良く、とにかく居心地の良いお店。客層も好き。
- ラフィナージュ(L'affinage)/銀座 ←王道中の王道。銀座とは考えられない値付け。
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- クレッセント/芝公園 ←グランメゾン中のグランメゾン。
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