カレーやラーメンは和食ではありませんが日本の国民食と言って良いでしょう。それと同様、クスクスはフランス料理ではありませんが給食で出るほどフランスでは日常生活に溶け込んだ料理です。
なぜならフランスは北アフリカを植民地として支配していた歴史があるから。時の為政者たちがフランスに帰国する際にクスクス料理を持ち帰り、今ではすっかり日常食として支配されているという皮肉。「サピエンス全史」の「人間は小麦の奴隷である」に似ていますね。似ていませんかそうですか。
さて当店はパリで一番とも名高いクスクス料理のお店。かなり大きな店であるので予約などは不要でしょう。私もウォークインでした。昼も夜もメニューは同じです。
お通しの煮込み(?)。牛肉・人参・ジャガイモなど。家庭的で悪くないのですが、後の料理と味覚が丸かぶりなので、誰か注意してあげたほうが良いと思います。
前菜は注文せずクスクスのみを注文。「ロワイヤル」を注文。クスクスとカレー的野菜の煮込みスープがベースであり、注文内容によって肉料理が変化します。
「ロワイヤル」は牛肉の串焼きに骨付きの肉、ソーセージ、鶏肉とバラエティに富んでおりまさにロワイヤル(何が)。とりわけ串焼きの牛肉が旨く、そこらへんのビストロのステーキよりもレベルが高い。部位はハラミかなあ。逞しい歯ごたえに猛々しい鉄の味。それでいて飲み込みはスムーズであり、本日一番のお皿です。
野菜の煮込み。このあたりの料理に全く疎いので、表現に誤りがあればごめんなさい。印象としてはインド的スパイスを抜いたベジタブルカレー。ニンジン・ナス・カブ・ヒヨコ豆などがゴロゴロと入っており、なんなら肉抜きであっても満腹になるボリューム感です。スパイシーなカレーを食べ慣れている日本人にとってはややパンチに乏しいか。
主題のクスクス。「世界最小のパスタ」とも呼ばれており、硬質小麦であるデュラム小麦が原料の粒状パスタです。フランス料理であればタブレ(サラダに用いてドレッシングつぶつぶなやつ)として頂くことが多いですが、これ単体で接すると迫力があります。先の煮込みと半ば混ぜ混ぜしながらカレーのように頂きます。
お酒は頼まずクスクスだけと注文して16.40ユーロ。安いですねえ。パリ中心地であれだけの肉を食べ、たっぷりと野菜ならびにクスクスを摂取してこの価格は素晴らしい。パリパリした超絶技巧の料理というわけではなく、言うなれば下町料理。連日のフランス料理から趣向を変えたい場合に是非どうぞ。
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