すし処 宮葉(みやば)/浜松町

浜松町にある老舗の江戸前鮨。先日他界した店主のミスター宮葉は江戸時代から続く鮨屋の8代目。現在はその歴史をお弟子さんたちが守ります。
ゲストの半数以上は外国人。日常的に英語が飛び交い国際色強め。親しみやすいネタケースに近所のリーマンたちがケータイ片手に来たりと、思っていたよりもずっとカジュアル。ランチは3千か5千円のコース2種とのことだったので、後者を注文。
名刺代わりに大トロ。これはイマイチ。ペラッペラに薄くマグロの旨味も脂も感じることができない。妙に筋が多いのも気になりました。
中トロ。こちらは一般的な味わいです。それでもやはり筋は多めであるため、まあ、ランチのセットのタネとはこんなものなのかもしれません。
マダイもどうでしょう。乾いているというか何というか、ボソボソとした食感で魅力に乏しい。
ホッキ貝に至っては独特の臭みが強く息苦しい味わい。
コハダも〆の頂点を過ぎており、ボソボソとした食感と酸が目立ち美味しくなかった。
お椀は上品を通り越して調味が薄い。コハダの暴力的なまでの締まりっぷりの後で賞味すると、どうにも力不足に感じてしまいました。
カツオは良いですね。すごくいい。鉄分たっぷり筋肉質な味わいに、ショウガのサッパリとしたエキスがベストマッチ。本日一番の一貫でした。
煮アワビは可も無く不可もなく中くらい。5千円のランチでこれだけのものが出るという意味では価値はあるのかもしれません。
ウニはグッド。凝縮感のある濃密な味覚がシャリと共にリゾットのように迫り来る。
アナゴは旨味と脂が抜け切っており、その食感を除けばツメの味しかしませんでした。
鉄火巻きは美味しい。先のカツオよろしく猛々しい赤身の風味と海苔の香りが見事な組み合わせです。
デザートはキャロットゼリーにコーヒー。これは謎。ラストに鮨屋としては珍妙なものを持ってくるからには何か哲学があるのかと思いきや、ゼラチンがガチガチに強く美味しくない。コーヒーも白湯のように薄く、ミルクはコーヒーフレッシュという拘りの無さ。意図が全く見えない締めくくりでした。
素材そのものの質は5千円税別にしては頑張っているほうかもしれませんが、じゃあ5千円のランチとして満足したかと問われると答えはノー。十番の鮨「いいと(eat)」のランチ4,860円とどうしても比べてしまいます。夜は夜で数万円は覚悟しなければならない超高級寿司らしいのですが、このベクトルの延長線上にあるのであれば暖簾をくぐるのは躊躇ってしまう、そんな鮨屋でした。


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鮨は大好きなのですが、そんなに詳しくないです。居合い抜きのような真剣勝負のお店よりも、気楽でダラダラだべりながら酒を飲むようなお店を好みます。
この本は素晴らしいです。築地で働く方が著者であり、読んでるうちに寿司を食べたくなる魔力があります。鮮魚の旬や時々刻々と漁場が変わる産地についても地図入りでわかりやすい。Kindleとしてタブレットに忍ばせて鮨屋に行くのもいいですね。

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イル バッティクオーレ(Il batticuore)/白金台

恵比寿「イル・ボッカローネ」の初代料理長として来日したフランコ・カンツォニエーレシェフ。新宿御苑にて「イル バッティクオーレ(Il batticuore)」として独立し、2019年春に白金台の地に移転オープン。
新宿時代と異なり、かなりスタイリッシュになりました。カウンター席からはオープンキッチンが丸見えであり臨場感に溢れます。
ランチは土日祝のみ。3,500円のプリフィクスコースであり自由度の高い組み合わせ。もちろん夜のアラカルトメニューも注文可能。
私は前菜として「シェフのおまかせ前菜の盛合せ」。ピスタチオ入りのパテにカポナータ、真鯛のカルパッチョです。真鯛が筋肉質でフレッシュでした。
連れは「本日のアンティパスト」。イタリア風味のチャーシュー的なもの。ひとくち頂きましたが、調味が薄く印象に残りづらかった。
パンは全然イケてません。水分が抜け切っておりボソボソと味気なく、スポンジを食べているかのような食感でした。
パスタは「海の幸のトマトソース スパゲッティ」を注文。悪くは無いのですが、どうにも家庭料理的というか、素人の私でも再現できる味覚です。ここは追加料金を払ってでも「手長エビのトマトクリームソースのパッパルデッレ」を注文すべきだったかもしれません。
連れはニョッキ。「シャドークイーン」という、紫色のジャガイモを用いたもの。ひとくち頂きましたが、滋味あふれる味わいでニョッキそのものが旨く、加えてトリュフ風味のクリームソースも美味しかった。
私のメインは「オリーブポーク肩ロースの香草ロースト」。どうにもボンヤリとした味付けであり何がしたいかハッキリと伝わってきません。豚肉には臭味が残り、香草の用い方も控えめでした。
連れは「カジキマグロとオニオン、オリーブのトマトソテー、リヴォルノ風」。こちらはトマトの風味ばかりが強く、何の魚を食べているかが取り辛い。
「本日のドルチェ」は良いですね。とりわけ苺のタルトのボリューム感と風味の強さに心を奪われました。
エスプレッソをグイっと飲んで〆。ごちそうさまでした。

料理だけだと3,500円。うーん、こんなもんでしょうか。全体を通じてどうにもピントがボケた味付けであり、記憶からすぐに零れ落ちてしまいそうになる味覚でした。もちろん現代的ではなく、かといって郷土に振り切った剛健さも無い。普通に美味しくはありますが捉えどころのないイタリアンでした。


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イタリア料理屋ではあっと驚く独創的な料理に出遭うことは少ないですが、安定して美味しくそんなに高くないことが多いのが嬉しい。
十年近く愛読している本です。ホームパーティがあれば常にこの本に立ち返る。前菜からドルチェまで最大公約数的な技術が網羅されており、これをなぞれば体面は保てます。

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んっ/栄町(沖縄)

4年前の2015年に、栄町の飲み屋で隣り合わせた年配カップルに勧められたお店。当時の場所から栄町へと移転しており私にとっては好都合。
料理人と配膳係のツーマンセル体制の割に大きなハコ。カウンター席が5〜6席に大きめのテーブルが10卓近くあったような気がします。当然にテーブルウォッチングや配膳が滞りがちですが、そこはまあ、栄町ということで。
オリオン生ビールで乾杯。暑い日に厚いジョッキで雑なビールをガツンと飲む。夏の醍醐味である。
お通しがきちんと美味しい。海老を焼いただけのシンプルなものですが、殻の焦げ目の香ばしい香りに強い塩気。ビールにピッタリ。
刺身の盛り合わせ。確か1,000円からそこらだったような気がします。いずれも淡白でフレッシュな魚たちであり、モグモグと食べ進めることができて気持ち良い。ツマもたっぷりであり、サラダ要らずの1皿でした。
焼鳥の盛り合わせも7〜800円だったような気が。東京の凝りに凝った高価な焼鳥とは芸風がまるで異なりますが、こういう焼鳥こそがむしろ王道と言って良いでしょう。
角煮は悪くないのですが量が少ない。先の刺身や焼鳥に比べると費用対効果は低い。他方、東京で同じものを食べれば数割増であることは間違いないので、つまり良いお店です。

那覇の沖縄料理屋は観光客向けのお店が多いですが、当店は地元客が多いのが特徴的。サービスに時間がかかったり、喫煙がOKだったりと気になる点はありますが、それらを我慢できるシチュエーションであれば利用する価値は大いにあります。


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1年で10回沖縄を訪れることもあります。1泊15万円の宿から民宿まで幅広く手がけています。
TACが世に出した一風変わった沖縄本。もはやガイドブックではなく参考書の域です。非常に情報量が多く、かつ、うまく整理されており読みやすい。大判ではないので持ち歩きやすいのも素晴らしいです。オールカラーの割に高くない。数多ある沖縄ガイドブックの中では突出した存在です。

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エメ(Eme)/武蔵小山

日本一長いアーケード商店街の脇に入ると花屋、というかグリーン専門のお店「TRANSHIP」があり、その奥に秘密のビストロがあります。
武藤恭通シェフは代官山「タブローズ」、フランスの三ツ星「ラムロワーズ」などで腕を磨き、帰国後は代官山「マダム・トキ」の副料理長に。2018年、フランスの郷土料理や南西部バスクの料理や総菜を提供する気軽なビストロをオープン。
飲み物はワインはもちろん、クラフトビールや日本酒まで自由自在。いずれもリーズナブルな価格設定であり(確かこのビールも1,000円しなかった)、普段使いし易いお店のようです。
コースもありますが、我々はアラカルトでの注文。2人であれば前菜3~4皿にメインをひとつで丁度よく、お腹に余裕があればゴハンものも用意できるとのこと。
「フレンチタパス盛り合わせ」。これはまあ、普通ですね。不味くはありませんが、目新しさはない。家庭料理の延長でした。
「牛肉のタルタルステーキ仕立て」。いわゆるユッケ的な料理であり、日本ではあまりお目にかかることができないものです。フランスのそれに比べるとしっかりと火が入っており、牛タタキを食べているような感覚でした。
「天然海老のビスクのクレームブリュレ」。ビスクをクレームブリュレに仕立てた逸品であり、海老の強い旨味と甘味、キャラメリゼの香りとほろ苦さがベストマッチ。ありそうでない、見事な一皿でした。なんでも甲殻類専門店「うぶか」の指導を受けているそうな。
「オリジナルHerbワイン」という、白ワインにハーブを漬け込んだ企画モノワインを注文。なるほどハイビスカスとバラの香りが漂い面白い試みです。1,000円を切る価格設定も嬉しい。
「牛頬肉の赤ワイン煮込み」。これは美味しいですねえ。特殊な調理を施しているというわけではありませんが、究極の普通というか、オーソドックスに完璧に旨い。量も結構あり、当店に係る満足度がスパイクした瞬間でした。
お肉にあわせてワインも頂きます。上品なタンニンにジューシーな果実味。先のお肉にピッタリです。
「ひとりあたり7~8千円かなあ」とお会計を相談し合っていたのですが、伝票が届いて驚き、5.5千円です。これは安い!酒1杯1,000円として、料理は2.5千円ですか最高かよ。なあんだ、これならもっとバカスカ食べれば良かったなあ。ちなみにランチタイムであれば子連れでもOKとのこと。地域に溶け込んだ、普段使いしたい素晴らしいビストロでした。
ちなみにこのお店を見つけたのはコチラの本から。グルメな方々が自分の好きなお店を好き勝手語ってる自由なグルメ本です。有名な予約困難店に偏ることなく、日本じゅうのニッチなお店が紹介されていて面白かった。


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「好きな料理のジャンルは?」と問われると、すぐさまフレンチと答えます。フレンチにも色々ありますが、私の好きな方向性は下記の通り。あなたがこれらの店が好きであれば、当ブログはあなたの店探しの一助となるでしょう。
日本フレンチ界の巨匠、井上シェフの哲学書。日本でのフレンチの歴史やフランスでの修行の大変さなど興味深いエピソードがたくさん。登場する料理に係る表現も秀逸。ヨダレが出てきます。フランス料理を愛する方、必読の書。

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和チャイナ Roppongi/麻布十番

鳥居坂下から六本木ヒルズ方面へ徒歩数分。「肉とスパイス JINDARI」や「豚タツ」 と同じビルディングに入居する中華料理店。食べログ公式ウェブサイト上には「1日限定3組の営業」との記載があり哲学を感じます。
満席で15名ほどでしょうか、テーブルが数卓あるのみとコンパクトな店内。シェフがワンオペでこなしており場面で待ち時間が生じます。その車幅感覚をシェフは認めているか、この日は半分の入りだったのに、その後訪れた客を満席だと断って帰していました。見上げたプロ根性である。
私は「国産豚フィレ肉使用!酢豚定食」を注文。1,250円です。開けた厨房からジュウジュウと思いきり中華鍋を振り回す様が見え、視覚から既に美味しそう。
小鉢のクラゲの酢の物(?)。太さががりザクっとした歯ごたえが印象的。ネギがたっぷり含まれたタレは味わいが複雑で、キュウリの清涼感も心地よい。量もたっぷりです。
豚汁は抜群に美味しいですねえ。魚介系の濃厚ラーメンを思わせる出汁の強さがあり、ゴロゴロと大ぶりにカットされた具材も食べ応え抜群。豚肉のコクも重ねて旨い。
主題の酢豚。奇をてらわず王道中の王道といった味わい。酸味のきいたソースが食欲を掻き立てます。もう少し豚肉が多いと嬉しいのだけれど。
ライスは一般的な中華料理屋の定食のそれと同等。小さな茶碗ではありますが、サイドメニューが豊富であるためしっかりと腹が膨れました。
お漬物も恐らくは自家製。食感を残したスライスであり、酸味が強く美味しかった。
デザートもきちんとした量で出してもらえます。杏子の風味がきいたモノホンの杏仁豆腐であり、程よいフルーツのアクセントも的確。これ単体で数百円は取れそうなレベルの高い一皿でした。
大満足のランチでした。もっと早くに出会っていれば良かったと後悔するほどの納得感。ちなみに担々麺は自家製芝麻醤に京都の白味噌や和辛子、わさび、ヨーグルトなども用いているそうで、著しく興味アリ。夜の部は貸し切り歓迎のようなので、今度気軽なパーティでも開いてみようかなあ。


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当店の近所の中華料理店は下記の通り。どの店も圧倒的にランチがお得です。十番で中華は昼がオススメです。
  • 火鍋 三田 ←なんて素敵な地獄絵図。暑い夏に最適なレストラン。
  • 新中国家庭料理 浅野/麻布十番 ←杏仁豆腐が絶品。
  • 和チャイナ Roppongi/麻布十番 ←もっと早くに出会っていれば良かったと後悔するほどの納得感
  • 飄香 ←夜は高級店ですがランチは驚くほどリーズナブル!
  • 永新 ←単品モノは高いですが、スープの旨さに悶絶!
  • 登龍 ←ギョーザが1人前2,000円という地獄。
  • 御膳房 ←ここもランチ。ランチコースもありますが、一番安いセットメニューで充分。
  • 萬力屋 ←チェーン店ですが結構おいしくリーズナブル。
  • 北京 ←こういうお店、結構好き。
  • 富麗華 ←中国飯店グループの旗艦店。ですが、高いだけです。
  • 紫玉蘭 ←富麗華のセカンドライン。ランチは800円~と一気にお得に。
  • 麻布十番グルメまとめ ←ほぼ毎日、麻布十番で外食しています。その経験をオススメ店と共に大公開!
 
東京カレンダーの麻布十番特集に載っているお店は片っ端から行くようにしています。麻布十番ラヴァーの方は是非とも一家に一冊。雑誌なので売り切れ注意!