13時過ぎだったからか先客は外国人のカップルのみ。店の奥で店主がひとり水タバコをふかしており、妙にサマになっています。そう、当店の目玉はシーシャ。水タバコとも呼ばれ、イスラム圏で大成した喫煙具の一種。てっぺんのお皿で燃えたタバコの煙を水にくぐらせ、ろ過された煙を喫煙します。煙が水を通ることで冷やされ、有害物質が除去され、マイルドな味わいになるそうな。
さて私はカフェとしてではなく腹を空かせてお邪魔したのでランチプレートを注文。秒でセットのサラダが供されるのですが、酸味が強く、ちょっと普通の日本人であれば表現が難しそうな調味であり、おお、このお店は面白いかもしれないと期待で胸が膨らみます。
10分ほどしてプレートが到着。左は「ナン」と記載されていましたが、インド料理店で食べるバターたっぷりのそれとは異なり、ごく薄いカラっとした生地が膨らんでいるような形態。小麦の味を感じながらパクパクと食べ進めることができるクセになる味わい。お代わりは無料と気前も良い。
「マッザ」と記されていたフムス的な何かでしょうか。このあたりの料理について全く詳しくないので多くは語れませんが、味の濃いペーストをナンと共に食べるのは万人受けする美味しさです。右のオリーブとピクルスを和えたものも、ありそうで無い味わい。
「シャワルマ(ロールサンドイッチ)」。ラップサンドの表面を押し焼いたような外観。中身はたっぷりの野菜とチキン。味わいこそは今あなたが想像している通りなのですが、具材がギュっと詰まっていてかなり腹が膨れます。
「コッパ(ひき肉とナッツのコロッケ)」「ファラフェル(ひよこ豆のコロッケ)」「サンブーサ(チーズの春巻き)」とアラブ圏の料理が続きます。いずれもやはり自宅では実現が難しい調味ばかりであり、実に興味深い味覚です。ちなみに肉類は全てハラル(イスラム教の作法に則った肉)を用いており、豚肉・豚製品は一切使っていないとのこと。
食後にはお茶も供されます。合わせて出される小菓子もあっち系のものだとは思いますが、砂糖の味が直線的であり血糖値スパイク。コーヒーの味も中くらいでした。
ナンを1回お代わりするとすっかりお腹が膨れました。お会計は1,200円と十番駅近でこの価格設定は実にリーズナブル。加えて空間から音楽・店員・客層・味覚の全てが非日常的であり、何とも冒険心が掻き立てられるお店です。ドバイの観光地を巡るよりもずっとアラビアンな空気に浸ることができる。こういう訳の分からないお店が普通に溶け込んでいるのが十番という街の懐の深さでしょう。まずはランチタイムで雰囲気を掴みましょう。オススメです。
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