パリ一番のオカマと共に、ロワールの古城を巡る旅


パリから日帰りでロワールの古城を巡るツアーに参加します。いつものようにベルトラ経由で現地ツアーを申し込み、当日集合場所へ訪れバスへと乗り込む。するとガイドが典型的なオネエ言葉でバス内騒然。オカマである。
「母親に確認したら、アタシのこの話し方は5歳からみたい」「甥っ子からはオバサンって呼ばれてるの」「アタシのパートナーは…」などの断片的な情報を総合するとやはりそっち系であり「みなさーん、『パリ オカマ』で検索するとアタシが一番に出てくるからフォローしてね❤」とスマッシュが決まりました。
ちなみに彼(?)の名は八代隆司といってオカマ界では相当の有名人らしく、シンクバンクという芸能事務所に所属し、パリにおける番組コーディネートはもちろん、カンヌ映画祭のレポーターやインタビューアーとして第一線で活躍する凄腕のガイドだったようです(写真は公式ウェブサイトより)。「新婚さんいらっしゃい」では、番組史上初同性婚カップルとして出演したそうな。

■シャンボール城
フランス・ルネッサンスの傑作として名高いお城であり、実写版『美女と野獣』のロケ地でもあります。レオナルド・ダ・ヴィンチのアイデアである、人がすれ違わないで昇降できる2重の螺旋階段が名物。
「ここー!マクロンが凄く好きで〜、カレの40歳のお誕生日会もここでやったのよ〜。5月2日にはまたカレが遊びに来るのよ〜!!」ガイドの解説が日本人のミーハー気質を突いた解説で実に面白い。


■La Cave aux Fouées
http://www.lacaveauxfouees.com/fr/
石切場を活用した洞窟レストランで昼食。席数は数百あり、団体ツアー向けのレストランです。
サラダは葉っぱを並べただけです。ドレッシングはおそらく既製品でありフラットな味わい。
このあたりの名物であるリエット。壺等に入れて数ヶ月間は保存できるパテに似た肉料理であり、豚肉を細かく切って塩を振って、ラードの中でゆっくりと加熱し、ペースト状になるまで冷やした料理。フランスにおける一般的なビストロと同等の味わいです。
店名にもある「フエ(fouées)」という名のパン。この地方の村落は住人が共同で利用する薪のかまどがあり、転じてそれで作られる中が空洞のパンをそう呼ぶそうです。「オカマがオカマの話をするのもナンだけどぉ〜〜〜」
ワインが安い。ハーフボトルで1本6ユーロ。せっかくなので白赤両方頂きましたが、まあ、値段相応といったところでしょうか。
メインは鴨とソーセージのコンフィ(?)。見た目通りのベーシックな味わいであり、フランスにおけるカジュアルなビストロの味わいです。それでも団体ツアーの昼食としてはかなりのレベルと言って良いでしょう。
温野菜も用意されるのですが、これは火が通りすぎておりグズグズでイマイチです。前日にパリ8区の「Le Cinq(ル・サンク)」で食べたグリーンピースとは似ても似つかぬ味。もちろんこれだけの人数を待たせずに受け入れるには仕方のないことでしょう。
デザートはリンゴのタルト。こちらも家庭料理を大量生産したような味わいでした。


■シュノンソー城
アンリ2世と王妃カトリーヌ・ドゥ・メディシスの居城だったシュノンソー城。16~19世紀まで代々の城主は女性であり、「6人の女の城」と呼ばれています。「アンリ2世ってのが、すんごくイイ男だったらしぃのよぉ〜〜〜」。


■クロ・リュセ城
レオナルド・ダ・ヴィンチが晩年を過ごし、1519年に息を引き取った館。彼の寝室や客人を迎えた大広間をはじめ、ダ・ヴィンチの数々の発明品の設計図や模型が展示されています。「カレは絵描きのイメージが一番強いかもしれないけどぉ、音楽、建築、数学、幾何学、解剖学、生理学、動植物学、天文学、気象学、地質学、地理学、物理学、光学、力学、土木工学みたいに色んな分野で顕著な業績があるのぉ〜〜〜。それに、すっごく美男子だったみたいなの!」
ということで、コンテンツとして映えない観光地ではありましたが、とにかくタカちゃんのガイドが素晴らしかった。オカマとしての印象が鮮烈ではありますが、それを差し引いても最高クラスに素晴らしい超一流の観光ガイド。知識量が半端なく、話は面白く、それでいて低姿勢であり品も良い。これまでの人生で参加したツアーではダントツに楽しい時間を過ごせました。


食べログ グルメブログランキング

関連記事

「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。

関連ランキング:フレンチ | シャルトル