Le Petit Vendôme(ル プティ ヴァンドーム)/パリ2区

宝飾店や高級ブティックが乱立するヴァンドーム広場から徒歩数十秒。フランスいちスノッブな地域なはずなのに、びっくりするほどレトロなビストロがあります。 店内の食事はもちろんのこと、テイクアウトのサンドイッチも評判が良く、かのアラン・デュカスが「パリで一番のサンドイッチ」と太鼓判を押し、トム・クルーズやクリントンなどアメリカ系セレブレティもこぞって通い詰める有名店。
我々は念のため、18:30という早い時間にトリップアドバイザーから予約を入れてお邪魔しましたが、どちらかと言うと予約ナシで訪れている客が多いように見受けられました。その後30分ほど経つと店内は満席、カウンターやテラスまで席が埋まり、立ち飲み客まで出現。平日のランチタイムの混雑は更に激しいようです。
パリを長く歩いた後だったので喉がカラカラ。まずは生ビールで水分補給。飲み物は数ユーロから始まり、ワインボトルの最多価格帯は20ユーロ台です。そうだ、ワインはみんなのものだ。
基本はフランス中南部オーヴェルニュ地方の田舎料理なのですが、いわゆるビストロ料理が数多くラインナップされています。私は焼いたシェーブルチーズのサラダを注文。新鮮でたっぷりとした野菜に生ハムが覆いかぶさり、その上に酸味のきいたチーズがドンドンドンと3つ並ぶ。これ系のチーズは日本で食べると3〜4倍の値段を取られる(かつ鮮度は劣る)ので、フランスに来るとなるたけ食べるようにしています。
旨そうなバゲットも並ぶのですが、今後の展開のために手は付けず。
連れはオニオングラタンスープを注文。出汁そのものの味は悪くないのですが、玉ねぎの糖度がそれほど高くなく、タマネギのスープというよりはタマネギが具材として入っているスープに感じました。
私はメインとして牛肉のタルタルを取ります。この料理も先のチーズと同様、フランスに来ると極力食べることにしている料理のひとつです。日本はユッケがあかんくなったからな。挽き方が細かく、ネギトロのような口当たり。肉そのものは赤身主体でありサッパリとした味覚。多種多様のスパイスが用いられており、食べ飽きることなくモリモリと食べることができました。
ワインはボージョレのガブガブ飲むタイプをカラフェで注文。日本でボージョレと言えばヌーボー(新酒)一辺倒で、きちんと熟成させたものに接する機会は少ないですが、それを普通に注文できるのがフランスの美点である。水がわりにスイスイ飲んで、500ミリリットルで2,000円もしません。
連れはランプステーキを注文。一口頂きましたが、これはあまり美味しくありません。黒焦げで苦味がある一方で、内部は真っ赤っ赤な割に妙に硬い。ソースの味も緩くぼんやりとした印象でした。救いはポテトですね。フレンチフライと呼ばれるだけあって、フランスのフライドポテトはどこで食べてもめちゃんこ旨い。
飲んで食べてお会計は2人の総額で70ユーロ。なんだよこの安さ無茶苦茶かよ。もちろんサービスなどあってないようなものだし、客が増えれば途端に皿出しが滞る局面も多々ありますが、この一等地でこの価格を維持してくれるのであれば何も文句はありません。日本で言えば、安くて美味しい予約不可の人気居酒屋という印象。フランスらしさを感じたい場合に是非どうぞ。


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