Homemade Ramen 麦苗(むぎなえ)/大森


ラーメンが嫌いで嫌いでしょうがない女の子から「だがしかし、麦苗のラーメンだけは食べることができる」と妙な勧められ方をしたので調査に入ります。
食べログのラーメン部門では第2位のスコア(1位は新小岩の「麺屋一燈」)。ミシュランガイドではビブグルマン(リーズナブルでそこそこ美味しい店)として掲載されており、首都圏では神話的な人気を誇るお店です。
JR京浜東北線大森駅または京浜急行大森海岸駅からそれぞれ徒歩7~8分。ちょっと信じられないくらい普通な街並みに、ちょっと信じられないくらい行列が生じています。11:30オープンの店であり、私は11:28に列の最後尾につき、12:30に食券を買い、12:45に入店し、12:53に着丼といったスピード感。グループの大小により待ち時間は前後するみたいですが、いずれにせよ後の予定がガラ空きの状態で訪れるべきお店でしょう。

お店は不定休なので公式ツイッターを確認してから訪れましょう。ちなみに店主は湯河原の「飯田商店」で修業された後に2016年独立。ちなみに「飯田商店」も辺境の地にも関わらず朝6時から整理券を配り始め連日完売御礼という超人気店です。
行列にも色々とルールがあり、待ち合わせや途中抜け(トイレもNG)と厳しい。しかしながら店側が高圧的かというとそうではなく、これまでにトラブルとその解決を積み重ねた結果のコモン・ローに過ぎません。きちんとルールを守りましょう。
外観はラーメン屋というよりもカフェっぽい雰囲気。席数は9であり、ある程度の人数がまとまって入れ替わる仕組みです。ロット調整のために1人客がスルっと入り込むことができる場合があります。「せっかく90分も待ったんだから」ということで2杯食べる客も多いようで、その場合は食券提出時にその旨を店員に伝えておきましょう。
80~90分まってようやく着丼。第一印象は「王道」。麺が妙に太かったりスープがドロドロだったりなどの奇をてらった要素は一切なく、ややもすると学食や社食のようなシンプルで素朴なラーメンです。
こちらは「特製醤油らあめん」。美しく澄んだスープは醤油色の見た目に反して鶏の出汁が支配的。その他、鰹や昆布、煮干しといった魚介系の風味も感じられます。醤油は全国から厳選したものをブレンドしてあるようであり、なるほど列の長さも納得の味わいです。

トッピングは岩中豚肩ロース、バラ肉、豚モモ吊るし焼き、鶏モモ、味玉、海老ワンタンと豪華絢爛。加えてそのいずれもが素晴らしい品質であり、トッピングというよりもそれ単体で立派な料理としてその存在を主張しています。メンマは最高の出来栄え。トッピングを別皿に酒のお供にしたいくらいです。
麺も複数の小麦粉をブレンドした自家製麺。冷や麦のような太さのストレート麺であり程よい噛み応え。ただしスープやトッピングのレベル感に比べると後塵を拝してる気がしないでもない。
10食限定で「実家の魚飯」も500円で用意されています。店主のご実家は緑ヶ丘の「魚桂」という、創業150年のお魚屋さんだそうで、魚介関連はそちらから仕入れているそうな。なるほど銀座「はっこく」の突先を彷彿とさせる旨さなのですが、ここで食べる必要は無いかな。希少性という意味を考えると、もう1種のフレーバー「にぼらあ」を連食したほうが良かったかもしれません。

いずれにせよ、確かに美味しいラーメンでした。最大2時間は待つつもりで、本やゲームボーイをしっかりと用意して訪れましょう。冬は防寒対策、夏場は帽子や日傘をお忘れなく。


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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。

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